[学び読書]『業務スーパーが牛乳パックでようかんを売る合理的な理由』著:沼田招二・神田啓晴(1741文字)

業務スーパーを利用されたことはありますか?
牛乳パックを応用した水ようかんやプリン等のスィーツが売られているのを知ったときは、へー、奇抜なことを考えるなあと思ったものです(⦿_⦿)。

今回、読んだ本は図書館で借りました。

著者のひとり、沼田正二氏は業務スーパーを運営する神戸物産の創業者で、現在は経営をご子息に引き継いでおられます。

この本は沼田正二氏へのインタビューをもとに、日経トップリーダー記者の神田啓晴氏が編集・構成したものです。

一代で成功をおさめた起業家の多くは、アクが強くて(キャラがたっていて)、俺が俺がとメディアに出たがる人といった、根拠ない勝手なイメージをボクは持っているのですが(⦿_⦿;)、そういえば業務スーパーの創業者ってあまりテレビで見かけないないぁと思い、本を手にとりました。

本書の書名『業務スーパーが牛乳パックでようかんを売る合理的な理由』ですが、ははぁ、これはキャッチーなタイトルで人目を引いて本を買ってもらおうという戦略で、本の中身とタイトルの関連性は薄いという「ビジネス書タイトルあるある」だな( ᯣ_ᯣ )、と思ってたら、わりかし最初の方にちゃんと理由が書かれていました。決めつけてすまんこってす(•﹏•;)。

「牛乳パックでようかんを売る合理的な理由」にいたる沼田正二氏の思考法とその過程が、大胆にして新鮮で面白かったです。
そこにフォーカスして見ていきましょう(⦿_⦿)/。

スィーツ、いいよね~(⦿_⦿)

【問題の起点】
2008年初頭、中国製餃子による中毒事件が起きる。
業務スーパーは、この中毒事件を起こした工場から餃子を仕入れていなかったにもかかわらず、中国製食品に対する消費者の懸念から、一時的に客足が遠のく。

当事者でなく、自身や取引先になんら問題がなくても、顧客の心理的な要因で、売り上げに影響する場合があるという一例ですね(⦿_⦿)。

【問題への対策】
神戸物産は製造拠点を中国から日本国内へと転換することを目指す。
 ■ネック
  
イチから製造工場を作ると、コスト(お金)・それに要する時間
  かかる。いわゆるコスパ・タイパ問題です。

 ■解決策
  
国内の中堅・中小食品メーカーを買収する(多くは経営難で民事再生、
  私的整理に追い込まれるなど経営破綻した企業)。

  その企業の中に牛乳を主力商品とする企業がありました。

創業者の沼田正二氏は、この本の中でこう語っています。

私は面倒なこと、しんどいことが嫌いです。
考えることはちっとも苦労にならないのですが、手順、作業に時間をかけたくない。
「先憂後楽」主義者、といってもいいのかもしれません。
 
もうからない牛乳を休まずに作り続けるのは、作業としてもメンタルとしても事業としても、そもそもしんどい。
(略)ドル箱を作りたいなら、こうしたレッドオーシャンは避けるべきなのです。
 
私は自分の好きでないことを従業員に押し付けるのも嫌いです。
「利益をだせるようにするのはもちろんだけど、このしんどい働き方をしいている工場の運営も根本的に変えてしまいたい」。

これは経営者としての理念ですね(⦿_⦿)。
理念があるから、それに基づいた経営ができるのではないかと思うのです。
まあ理念と経営のベクトルが一致してない企業は多いと思いますが💦。

そして、理念の次は合理的について、です。

そもそも私の場合、考える時間がとにかく長い。なぜかとい言いますと‥‥。

細胞レベルまで分解して考える
 
これが私の思考法だからです。
とにかく物事を微細なレベルまで分解し尽くします。分解した上で、そのなり立ち、仕組みを理解します。仕組みに必要な要素を原理原則まで理解してから計画を立てるのです。

細胞レベルまで分解するという思考法は、本書の主要キーワードのひとつです。

買収した牛乳を主力商品とする企業が、どのような合理的理由で、牛乳パックにようかんをつめて製造販売するようにいたったのか、興味がある方は本書を、図書館で借りるなどして読んでいただくとして。

流通とはあまり関係のない仕事をしているボクですが、「細胞レベルまで分解するという」根本的な部分まで理解するという考え方は新鮮で、日々の仕事にも必要なことではないかと思ったのでした(⦿_⦿)。

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