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狭められる選択-高校の学区制度を問う

https://twitter.com/reigetsuSKK/status/1258243907717959680?s=19

先頃、令月政策研究会の「機関誌れいげつ」に掲載された私の寄稿文です。

令月政策研究会 副代表を務めるかいちょです。今回も寄稿をさせていただきました。よろしくお願い致します。

政治とは関係の無い話にはなるのですが、今回は自らが高校受験の時に感じたこと、そして県立高校の学区制度の弊害・展望についてお話ししたいと思います。

私が住んでいる岡山県では、多くの県立普通科高校に「学区制度」が導入されています。現在は岡山県内で6つの学区に別れており、生徒は基本的に学区内の高校に出願することになります。学区外の高校を出願することも可能ですが、学区外からの生徒は総定数の5%しか合格できない仕組みとなっていて、学区外の高校への出願はかなり不利な条件になっています。

かくいう私も、以前は学区外である県南の進学校を目指していたのですが、自らの成績を考慮し、結局は学区内の普通科高校に行くことになってしまいました。学区外制度により苦しめられた経験は苦い思い出です。

この学区制度には都市部の高校への偏りを生じさせないためにあるものとは思います。ですが、この学区制度はかなりの不公平を産んでいます。

そしてこの不公平は是正に向かうどころか‥‥「田舎の学校が淘汰されていく」という理由なのか、触れられないままとなっているのです。もちろん、学区制を完全に廃止すれば、県北の過疎地域の高校は定員不足に喘ぎ、どんどん廃校していくことになるでしょう。しかし、学力格差のことを考えればそうも言っていられないのです。

例えば(資料1参照)、岡山学区(主に岡山市)には偏差値60以上の高校が5校あるのに対して、備北学区(新見市、高梁市、真庭市の一部)は50前後の高校ばかりとなり、下図のようになっています。

【資料1】
・岡山学区(岡山朝日高校ー68)
・倉敷学区(倉敷青陵高校ー65)
・東備学区(瀬戸高校ー56)
・西備学区(笠岡高校ー58)
・備北学区(新見高校、高梁高校ー51)
・美作学区(津山高校ー61)

特に、備北学区だけ異常に低いのがわかります。これが、都市部と山間部にみられる学力格差を生み出している原因なのではないでしょうか。

また、学区制が敷かれているにも関わらず、山間部の高校では定員割れの現象が毎年のように起きています。昨年度においては、県立勝山高校の蒜山校地の一般入試において出願者がいないという状況になりました。(資料2)このような高校が未だに存続していることは、効率の観点から見て非常に良くないことであります。

【資料2】


しかし、無下に過疎化が進む高校を廃止することが出来ないのも事実です。これ以上統廃合を進めてしまえば、高校がある地域に若年層が集中してしまうことになり、廃止された周辺の地域の過疎化がより一層進行してしまう結果になりかねません。

今後、改革が進行するのかは分かりませんが、県教委はジレンマを抱えながら再編に取り組むことになるでしょう。先のことは分かりませんが、いつか、大規模な統廃合が起こるのかも知れません。