【つながっていいとも】第65回 佐々木晃さんの「洛中で日本酒と関わる人々を守る日々」 | ゲスト=佐々木酒造株式会社 代表取締役 佐々木晃さん
オンライン時代でも出会える!話せる!つながれる!
毎週木曜日12時30分からの18分間のオンライン生配信「つながっていいとも」第65回 9月16日(木)OAのまとめです。
今回は、第64回ゲストの京料理 萬重 田村圭吾さんからのご紹介、佐々木酒造株式会社 代表取締役 佐々木晃さんの「洛中で日本酒と関わる人々を守る日々」です。
京都の街中に唯一残る酒蔵として地域の方々と協力して事業を続ける意義、先のことを考えて準備する「酒蔵ツーリズム」、ノンアルコール飲料や麹を生かした食品原料開発への挑戦…そんな佐々木さんの「人となり」が存分に伝わってくる18分!見逃された方は、こちらから!
第65回ゲスト 佐々木晃さんとは
佐々木酒造株式会社 代表取締役
1970年4月1日京都生まれ
大学卒業後、産業機械販売会社(関西日立㈱)に就職するものの、本来の予定であった兄(俳優・佐々木蔵之介)に代わり家業を継ぐことに。1995年入社。
平成20〜21年近畿経済産業局地域イノベーション開発事業・産学公連携による「米と米麹を使った食品原料」の研究開発事業でプロジェクトマネージャを務める。その成果物として2012年4月よりノンアルコール飲料「白い銀明水」を販売する。
新しい酵母の開発や各種タイアップ・コラボ商品など、時代のニーズに合わせた商品づくりに努めるとともに、日本酒講座や京都の食文化についての講演、各種イベント企画を通じて新たな日本酒ファンを増やすことに注力している。
自己紹介
京都の街中で造り酒屋を128年やっている。日本酒をメインとし、10年ほど前にノンアルをスタート。このほか、レモンやゆずのリキュールも取り組み始めた。
ーコロナの影響は
厳しい。飲食店が営業自粛するなど、業務用が動いていないので厳しい。造り酒屋も規模が大きくなると、スーパーなどでの流通も多く、家飲みが増えているところもあるようだが、中小の酒蔵は業務用の売上が多く、厳しい。
クラウドファンディング(クラファン)には、2000人以上の方からの支援をいただいている。普段の商売では、卸業者が相手であり、その先に小売店、飲食店、さらにその先に消費者がいる。消費者の方々とはそれほど直接の関わりがなく、どういう方が飲んでいるかわからなかった。クラファンを通じて、一般の方からいろんな支援や意見をいただいた。実際に飲んでいる方々の意見を聞く機会はありがたい。
ー消費者の意見を聞いての新たな取り組みは?
今は、コロナで厳しく、新しい動きを取りにくい。しかし、コロナが開けた時には、京都に観光客や外国人旅行者が戻ってくると思う。
今、全国的に酒蔵を観光資源にしていく動きがある。弊社でも観光客に酒蔵を見学してもらって、お酒を試飲していただき、こうしたお酒に触れる機会を作っていく。
こうした準備は、今だからこそできる。目の前に仕事がたくさんあると、こうした先のことができない。コロナのこの時期だからこそ、新しいことにチャンレンジできる。
京都はつながりを大切にする
ー先日のNEWS23で採り上げられていたように、お米を作る農家の方をはじめ、いろんな方々とのつながりを、日頃から意識している?
仕入れ先や得意先はそこがなかったら仕事ができないから大切にしていくことは当たり前。それに加えて、普段から仕事に直接的に関わりなくても、京都で仕事している仲間と仲良くしている。
すると、何か新しい事業を始める時に、これをやりたいなと思った時に、あの人に頼んだらいけるぞ、あの人とこの人がつながるとこういうことができるぞ、と思い浮かぶ。頼んだら、快く受けてくださる。新しいことにチャレンジしやすい、それそれの専門家や協力者が、常にがたくさんいる。
(先週ご出演の田村圭吾さんもお話しくださっていたが、京都は新しいことに挑戦しやすい街なのか)伝統産業とは、その時代の最先端である。
最先端に挑戦し、乗り越えてきた苦労
ノンアルコール飲料を開発する際に、飲み物だけでなく食品原料にも取り組んだ。(日本酒の製造に使う)お米は農家さんが作るが、我々はお酒を作るのに使う麹を作ることに我々は長けている。その麹を使って食品原料を作ることを、京都市産業技術研究所と取り組んだ。
アルコールは消毒に使うくらい、安全なもの。お酒は腐らず、健康被害はない。しかしノンアルコールや食品原料は腐るので、難しい。いろんな専門家に話を聞き、食品メーカーにアドバイスをいただいたり、一部を委託して製造してもらうなどして、製品になった。
今、近畿ローソンさんの店舗2,500店で、麹の原料が入った、京都の洋菓子店「マールブランシュ」さんとのコラボした「お濃茶のティラミス 」と、京都の小川珈琲さんとのコラボした「珈琲のやわ大福」が販売されている。
我々はノンアルコール飲料などの飲み物を作ることはできるが、食品を作ることは難しい。こうした広がりは、研究所の協力や専門家のアドバイス、食品の加工の会社との協力があって、成功した。
今後、つながりを使ってやりたいこと
酒蔵を観光資源にする「酒蔵ツーリズム」をしっかり形にしていきたい。
うちで酒蔵見学をした後に、京都の町歩きをしていただく。
西陣織、京都御所、京都迎賓館、茶道の家元などを経て先週のゲストの萬重さんへ。そこで京料理と日本酒を楽しんでもらう観光プランも考えられる。
今ある観光資源を活かす。みんながそれぞれ、普段通りの事業を行っていればよく、新しいことをやる必要はない。
蔵見学は、飲食店さんや酒屋さん向けに研修として、今までもやってきた。萬重さんには、料理を作り、その説明をいただけばよい。そこに私が行って、日本酒の話をするということも考えられる。
この酒蔵ツーリズムは、普段の仕事の延長ででき、難しいことではない。長く続けられる事業ではないかと思う。
今、この街で酒蔵は我々だけ、鴨川の東側には松井酒造さんがあるが、昔はたくさんあった。皆さん、前向きに事業を拡大し、街の外へ移っていった。
こうした中で、この街で事業を続けさせていただく意義は、ここで地域の皆さんと一緒にやっていくこと。それが社会貢献、地域貢献だと思う。なので、地域の皆さんと組んでやっていく、という気持ちは強い。
第66回ゲスト 若村亮さん
大学の観光ガイドサークルの先輩と後輩。社会人になってその関係がわかり、つながりを感じるようになった。
(若村さん)普段飲んでいたお酒が佐々木さんのところのものとわかり、学生時代のつながりもわかり、ご縁を感じた。酒蔵ツーリズムをご一緒させていただけることに嬉しさを感じている。
(佐々木さん)自分はそのガイドクラブの落ちこぼれ。1年経たずにやめた。このように挫折したが、若村さんは優秀。4年間つとめ上げ、さらに会社を立ち上げ、観光の仕事に至った。年下だが尊敬している。酒蔵ツーリズムを考えた時に、これはらくたびさんにお願いするしかない、と思いお声かけしたところ快くOKしてくださった。ありがたい。
MC後記
文字通り「つながっていいとも」を体現されている方、でした。
日頃から、仕事に直接的に関わりなくても京都で仕事している仲間と仲良くされ、何かしようと思うと、そうした方々に声をかけ、新しいことを実現していく。
しかも、その際に動きを共にする方々に、何か新しいことをしてもらうのではなく、それぞれがすでに持っている専門性や、日常の事業を生かしてもらえばいい…組み合わせを変えることで新しいことを生み出す、これこそ「イノベーション」だな、と思いました。
「伝統産業はその時代の最先端」ゆえ、それ同士を組み合わせれば、さらに新しい「伝統」が始まるのだな、それが歴史ある京都で新しいものが生まれ続ける理由なのだな、とも思いました。
来週のゲストの若村さんも、そんな京都に特化した生き方をされています。お話を伺えるのが楽しみです。ということで、9月23日(木)12時30分からも、また見てくれるかな??
【The Community Lab. #コミュラボ】 コミュラボは、コミュニティが生まれる・動く「きっかけ」の場所です。関心の度合いに応じて①ゼミ、②ラボのラボ、③チアの三層構造となっています。その活動をおすそわけします。