夢の雑記3本セット

夢グループをご存じだろうか。よく知らないという方はまずこちらを見てほしい。

この、いかにも高齢者向けな感じ。テンポがやけに悪いし、デーブイデーって言ってる。商品名も気になる。夢ポータブル多機能プレイヤーて。人間の蔑称か何か?
とまぁこのようにリーズナブルな(精一杯の擁護)商品を取り扱う通販事業を行っている。
……現実すぎない?「夢」を背負ってるならもっとこうラグジュアリーな、羊の剥製とか、カルバンクラインの下着とか、RTX4090(30万くらいするパソコンの部品)とか……。庶民の考える夢がショボすぎて人のこと言えませんでした、すみません。お前らにふさわしい「夢」はこの夢ポータブル多機能プレイヤー程度で十分だ、というメッセージを発しているのだろうか。

 『夢を語れ』というラーメン屋が炎上したことがある。客がTwitterで店を酷評していたところを、「もちろんもう二度と来ないでください!」とレスバに参戦し、案の定といったところである。ラーメン屋の店長の性格に難があるのは前回言及した通りなのだが、気になるのはその後で、屋号を『道の途中』に変えたとのこと。「反省の禊は済ませたということでね。いやー、こういう炎上も含めて人生いくつになっても道の途中ッスよね汗」みたいな感じがする。これも気に食わないし、まず屋号を命令形にするなという話である。客が思い思いの夢を語った結果、陰謀論とマルチ勧誘が飛び交う焼け野原になったらどうする気だったんだ。

 『アイドルタイムプリパラ』の主役、夢川ゆいは2017年当時で(そして2024年現在でも)、かなり先進的な個性を持つ。以下公式サイトのプロフィールである。

アボカド学園小学部6年生の夢見ることが大好きな、明るく活発な女の子。とても空想好きで、いつでもどこでもユメっちゃう!なんでも「ユメ」をつけるのが口グセ。らぁらと一緒にパパラ宿のプリパラを盛り上げるためにユメがんばっている。
電子ジャーの「タッキー」をいつでも持ち歩いているほどのご飯好き!

 盛りすぎである。薬物中毒者と見紛う説明文が漂う。そして好きな食べ物は「ご飯」であるという。アイドルと炭水化物ほど食い合わせの悪い組み合わせはないと思うが……。この特異なキャラが功を奏したのか、JAから「お米応援大使」を任命されたこともある。第1次産業を担う母体に擦り寄って営業するというのは、あまりに現実を見すぎてはいないか。
 ところで彼女を演じた声優の伊達朱里紗は、声優兼麻雀プロという、異色の経歴を持つ。声優業でも女児アニメの主役を任され、麻雀の方もMリーグで史上初の10万点を叩き出すなど、活躍が目覚ましい。声優の道に進んだことに関して、一度は夢を諦めたという。Numberのインタビューでこう語っている。

大学1年の夏休みにふと思い立って久しぶりにDVDを再生したら、ぶわーっと涙が出てきてしまって……。「ああ、やっぱり私、声優になりたかったんじゃん」って。それで「反対なんて知らん! 私の人生だ!」と吹っ切れまして、大学に休学届を出し、上京の準備をしたり、毎週のように夜行バスで東京に行ってオーディションを受けてみたり……。

ただただ見上げるばかりである。また、声優業に思い悩んでいたときに雀プロを志願し、実力を以て夢を叶えるというのは、並大抵の人間では成し遂げられないだろう。「夢」をその名に冠するキャラクターよりも夢にひたむきではないだろうか。事実は小説より奇なり、である。

以上、夢に関する雑記であった。夢を前面に押し出してくるような存在は、却って現実の部分が見え隠れしてしまうものだ。そして夢にひたむきな人間は、自分が駄文をしたためている間にも努力を積み重ねているのだ。期せずして示唆を帯びたオチになってしまい、反省している。

夢想する犬 むそ犬 

22 役者 てとーら

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