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パヴァロッティ 太陽のテノール 

 アマプラのお勧めに出ていました。
 
 お勧めされると、ついみてしまうっていうのは「アマプラ…案外わかってるやん」ってことなんでしょうか?(笑)

 パヴァロッティ…。実に懐かしい。昔三大テノールがちょっとしたブームだったころに、私も大阪城ホールに行きました。
 クラッシックで、大阪城ホール満杯…なんて、後にも先にもこのイベントだけだったんじゃないでしょうかね?

 そういうブームだったんですけど、パヴァロッティ自身はそのころにはもう、とっくに全盛期を過ぎてたと言われていました。
 
 当時、声楽を勉強してる友達がいて、その友達の留学先のミラノに遊びに行ったことがあったんですけど。…とか言うと、いかにもハイソな感じですが(笑)
 私自身はバックパックの貧乏旅行で、その友達はいつも金欠の苦学生って感じでした。
 
 そんなわけなので、スカラ座のチケットの「つて」があって、何度か歌劇を観に行ったんです。
 カレーラス主演の「フェドーラ」とか、ゼフィレッリ演出の「道化師」とか、あといくつか。
 
 パヴァロッティとかドミンゴとかも観たかったんですけど、日程も合わないしチケットも手に入りませんでした。基本的に人気演目はチケットが手に入りにくいのは、どこも同じです。

 そんな訳なので、私的には3テのうちでは、一番ノーブルでハンサムなカレーラスが好きでした。なんせ、生の舞台をスカラで見たんですからね。

 その友達の声楽の先生も
「パヴァロッティは昔はスカラ座全体が震えるくらいの声量だったんだけど今はねえ…」
 みたいなことを言ってたし、ハンサムでもなければ上品でもなかったので、それほど興味もありませんでした。

 とまあ…そうなんですけど、実際の話が。

 今も時々聞くのはパヴァロッティなんですよねえ…。3テの中では一番ポピュラーミュージックに近かった人なのでそのせいもあるんですけど。
 ちょっと癖のある歌声だけど、3人の中では一番人間味があるというか。そこらへんが、「上品じゃない」と思った所以なのかもしれませんが。

 このドキュメンタリーで初めてパヴァロッティが「パン屋の息子」で「元小学校の先生」だった、ってことを知りました。つまり庶民中の庶民です。
 日本でクラッシックの演奏者になるのって、アホほどお金がかかるそうなので、その本人が庶民中の庶民ってことはあんまりないと思うんですけど、イタリアじゃあありうる話なんですよね。

 しかもオペラ自体もそれほど「ノーブルな趣味」ってわけでもなくって、何回か見に行ったうちの大半はいわゆる「天井桟敷」だったので。そこには、いかにも「そこらへんのおっさんおばさん」が見に来ていました。

 スカラ座って、アリーナとかバルコンの席と天井桟敷は完全に隔離されていて、それぞれのお客が絶対顔を合わさないように造られています。席も、天井桟敷は超狭い席が2列だけで、あとは立ち見です。
 しかも満員だと、アリーナに落っこちないように、つっかえ棒に掴まりながら観劇する。みたいなことになっています。

 逆にバルコン席はぜんっぜん違います。4畳ぐらいの大きさの個室で、そこにクラッシックな猫足の椅子が4,5脚置いてあるのです。ソファもあったような気がします。なんちゅう差別的構造。

 まあ、そんな訳なのでパヴァロッティがイタリア庶民の間でも人気だったって言うのは何となく実感としてわかります。
 彼って、そんなモテる感じでもなかったけど、結婚してからも若い女の子と何度か恋愛したってことも知りました。

 それらの(当時の)女の子たちには、今でも好かれているみたいでした。まあ、ドキュメンタリーだとはいえ、ファンのための映画っぽかったから、そこらへんは脚色なのかもですけど。
 ドミンゴみたいに、セクハラ疑惑も、知る限りはありませんでした(笑)

 そんなわけで、このドキュメンタリーを見た後は、なんだか色々懐かしすぎて、思わずパヴァロッティのアリア集とか聴きました。

 私も懐かしく昔を思い出す年になったのでしょうか。

 

 

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