第六章 総括

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※ kindle版に収録済です。内容と表記の重複を御容赦くださいませ。


『主導権の在処と行方(改訂版)』by La CHENAMITOJ / the SHYNAMITES, The Mat Mirror publishment, 2018.

第六章 総括

最終的な結論はおそらく出ないだろう、と述べてしまった手前、結論の章を設けづらくなったので、軽く総括させていただく。
当方は、〈今、自分の居る境遇において、誰がどの程度、主導権を握っているのか〉、ということに、何となく気に留めながら日々を過ごしてきた。当方から主導権を奪われたという経験をした覚えはないが、当方には元々主導権が無かったはずなのに、そして、当方がみずから主導権を追い求めたわけでもないのに、やむを得ず地味に地道に慎重に過ごしていると、知らずのうちに、おのずと主導権が当方の手元に寄り集まってきて、いつの間にか当方自身が有利になっていた、なんて経験も在ったような、有ったような、と、そのように実感していた。
それで、有り難いことに、本日まで無事である。
ところで、とりわけ主導権に留意するという観点は、なにも、そうした個人的な水準に限らず必要なようだ。馬渕睦夫氏の『国難の正体』(MABUCHI 2012/2014)では、この世界で、いったい誰が主導権を握っているのか、ということが、一貫して問われている。少なくとも当方にはそう読めた。
その所感を、三点ほど述べてみる。
まず、自分で主導権を握っていようがいまいが、また、自分から主導権が奪われていようがいまいが、〈主導権を握っているのが誰なのか〉という点には、常に留意している必要があると思われる。勿論これには、それなりに洞察が要る。というのも、わざわざ当方から述べるほどのことでもないとはいえ一応云っておくと、やはり主導権を握っている者こそ、表に出ないものだからである。覚悟のないまま表沙汰になったり無防備に表面化したりすると、どうしても主導権を他者に奪われやすい。かといって、ずっと自分で主導権を握り続けるのも、かなりの負担になるので、誰か相応しき人すなわち適任者に、主導権を譲るなり委ねるなりすることも有り得る。その際にも、人選をどうするか、課題となる。主導権の握り方の下手な人、あるいは、助け方の下手な人、助けられ方の下手な人を、当方もときどき見かけるが、さすがにこんな連中に主導権は渡せないし、当方も、こんな奴にはなりたくない、と思った。
第二に、有限のくせに無限を装うべからず。たとえ平等が有りうるとしても、それは、いわゆる〈神の前では皆平等〉といったように、せいぜい神の前においてのみなのであって、先程の精神と肉体の共存といったような類いのことであろう、少なくとも人間の前における平等なんてあり得ない。たかだか人間の分際で平等を唱える者は、まさか御自分で神を装おうとでもしているのだろうか。資源に限りがある[それどころか枯渇寸前かもしれない]にも拘わらず、あたかも全員に均等に配分できるかのような虚言を吐くなど、軽率で無責任な態度であろう。
第三に、当方がせっかく当事者になった件については、どうせなら人権どころか特権を遠慮なく容赦なく頂戴します。たしかに〈主導権〉や〈特権〉とは異なり、〈人権〉は明確に定義されてはいない。思うに〈人権〉と称しながら、じつは端的に〈人間の特権〉を求めているのかもしれない。人間以下の扱いを受けているうちは、人並みに追いつくことだけで苦労しているので、〈人間の特権〉を獲得することが重要な目的となる。が、一旦〈人間の特権〉を得てしまえば、当然、それだけでは充ち足りず、人間の中でも〈自分だけの特権〉とか〈自分の属する集団や組織や階級だけの特権〉など、次なる特権を要することになる。何しろ、〈人間の特権〉なんて、良かれ悪しかれ人並みの権利と権力しかないのだ。なので、当方がせっかく人並み以下の水準で過酷な生活を送ってきた場合には、わざわざ人権云々などといった人並み水準で一旦停止せず、たとえば〈当事者の特権〉などのように、率直に、素直に、それ相応の特権を求めてみるつもりだ。
わざわざ全員を巻き添えにまでして平等にしようとせず、各人が己に相応しい生活ができればよいわけで、それぞれ分相応の権利なり権力なりを求めてみずから向上すれば済む話である。
ついでに云うと、〈特権〉や〈主導権〉とは異なり、〈人権〉を要する場合、なぜか必ず主語は〈すべての人間〉である。これは、人並み以下の者に権利および権力を授けようと[すなわち人並みの水準まで引き上げようと]する際、それと引き換えに人並み以上の者から権利および権力を剥奪する[つまり人並みの水準以下にまで貶める]ことを意味する。もし、どうしても有限な力で特定の人々を敢えて助けたいなら、もっぱらその人々を助けるだけにして、他に余計なことをしないようにしたいものだ。なにも大勢の部外者を犠牲にすることなく、助かるはずの人が実際に助かっていれば、それで良いような気もする。
総括は以上です。御精読に感謝します。

※ 第六章は、ここまで。閲覧ありがとうございます。

cf. あとがき[kindle初版のための]

本書は、当初、電子書籍化する予定でさえもなかった。端的に馬渕氏の著作の読後記録だったからである。しかしその後、同時に他の書籍を並行して読むうちに、自分なりに構築されたものが発生したので、せっかくだから一冊作ってみることにした。
誰から頼まれたわけでもなく、相変わらず、大量の引用文を再構成することになった。そして相変わらず、三種類の体裁で拵えているが、簡便な仕上がりで勘弁して頂きたいのと、これ以上公開が遅れると内容の鮮度もいよいよ落ちそうなのとで、本書には一種類の体裁だけを収録することにした。つい先程、そう決めた。すなわち、出典を伴い引用符を省いた体裁である。なお、他の二種類の体裁[すなわち、出典と引用符を伴う体裁、および、出典と引用符を共に省く体裁]については、別の機会にでも改めて公開できるかもしれない。
主に二〇一三年までに公開された、先見性の高い言葉の数々を、遅ればせながら、当方が二〇一四年末以降、授かり紡ぐうちに、予定より更に遅れて、とうとう二〇一六年も終わろうとしている。
当初予定になかったことをする[つまり書籍化する]にあたって、読み込みにも苦心したし、表現する際の苦労もあった。たとえば二〇一三年に、あるいはもう

少し前に、「今」(いま)と述べられた事実を、二〇一六年現在に、どう受け留め、いかに処理するか。文脈や内容に応じて、当時の「今」は、現在だと、〈今更〉、〈今のところ〉、〈今となっては〉、〈今頃〉、〈たった今〉、〈まさに今〉、〈今でもまだ〉、などというように、当方の責において様々に解して派生させることができる。それでも、元々出典自体が時代の先を行っていたから、ちょうど今くらいで時代に合ってきたのかな、と思いたいし、そこで言及されている過去や当時の事実については、現在においても変わらぬ鮮度で大いに参考になるから、物知らずの当方としては、今回は特に有意義な営みとなった。
本書の制作を経て、当方の思想や知識も大幅に更新された。当方は、元々知識が乏しかったし、思想もさほど固まっていなかったから、べつに何かを喪失することもなく、却ってむしろ柔軟に対応できた。
そして、ほかにも良いことがあった。引用しながら書くという制約をみずからに課すことで、却って一人称も語尾も次第に自由に遣えるようになった。これは実生活や従来の拙著などにおいて、なかなかできなかったことだ。
それで、今となっては大いなる安心感・充実感・達成感・誇らしさを得ているところである。

二〇一六年一〇月二九日 電子書籍デビュー六周年を迎えて

La CHENAMITOJ / the SHYNAMITES

cf. kindle改訂版についてのあとがき

kindle初版について、脱字を訂正したり、表記を変更したり、表現を改善し たり、という改訂を、おこなったが、本書の内容には全く影響しないので、その箇 所については、敢えて言及は致しませぬ。(記:二〇一八年三月朔日)

参考文献


MABUCHI 2012/2014: 馬渕睦夫『[新装版]国難の正体—世界最終戦争へのカウントダウン—』(総和社、初版2012、ビジネス社、新装版2014)

KUSAKA 2013: 日下公人『日本精神の復活 安倍首相が「日本の自立」と「世界の再生」を果たす』(PHP研究所、 2013)

WASA 2013: 和佐大輔『テトラポッドに札束を すべては絶望から始まる』(幻冬舎、2013)

奥付

『主導権の在処と行方(改訂版)』by La CHENAMITOJ / the SHYNAMITES, The Mat Mirror publishment, 2018.

2016年10月31日 初版(Kindle版)発行
2018年3月2日 改訂版(kindle版)発行
2019年3月2日 未公刊特集(note版)公開

 
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