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劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』見てきました

 もちろん面白い作品でした。多少のネタバレもあるので気になる方はバックを。

 ジャングルポケットがメインの主人公なのであるが、次第に鑑賞中の気持ちが、アグネスタキオンの感情の機微の理解に向かっている自分がいた。話の内容、予告からアグネスタキオンが重要なキャラクターになるのは分かっていたのだが、ゲーム内ではとらえどころのないマッドサイエンティスト的なキャラで描かれている。そんなタキオンを映画内でどう描くのだろうと正直興味があった。感情移入が全然できなかったらどうしようとか、不安もあった。
 結局のところ私はタキオンに掻っ攫われてしまったのだが、劇場を出たときに浮かんだ一番の感想は「アート」だった。タキオンの走り、表現、目指すべきところ、それはすべてアート、芸術なように思える。レースの勝敗は問題ではなく、走りそのものに対しての本能、さらなるスピードへの渇求、そしてそれに到達するのは自分自身じゃなくてもいい。そんなことを言いながら怪我をして走れなくなってしまったタキオンのやるせなさも、悔しさも繊細に描かれていると受け取れるところがたくさんあった。
 順位をつけるレースで勝敗は関係ないなんて言われたら、哲学というよりやっぱり芸術なような気がしてくる。抽象化された走りの、その先の「何か」をタキオンは見つけたのだろうか。ジャンポケは到達したのだろうか。散らかる部屋を片付けて、観客席に行くタキオン。オペラオーとジャンポケの雌雄が決する直前にレース場を飛び出し疾走するタキオンにはグッと来るものがあった。タキオンの見つめる先の描き方も、ウマ娘のアニメーション作品として新時代を私は感じた。タキオンが繋いだ未来を今の我々は目撃している真っ最中だ。映画もっかい見たい。

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