19/06/20 別れは突然に

今日も今日とて何の変哲もない一日。ではなかった。

仕事に行ったはずの家人が、2時間くらいで戻ってきたのだ。
聞けば職場の人間に突然怒鳴られ帰ってきたのだと言う。あぁこれはお終いだなと思った。私と家人は同じ職場で働いている。二人して「本日をもちまして退職」となった。
はじめのうちは、家人がケンカを売ったか、売られたケンカを買ったのかと思ったが、家人の言い分によると相手は一方的に理不尽だったようだ。
私は、家人がその土俵に上がらなかったのであれば、仕事を辞めることになってもかまわなかった。夫婦とは一艘の舟なわけだからそれくらいの覚悟はしてあるし、私自身も辞めていいと胸の内で思い続けていた。

夜、職場に電話して退職の表明をした時に社長にお礼を言った。それが、一年働いたうちで一番心が通い合った瞬間だと思った。
連勤でイライラしながら働いていた去年の十二月、年内最後の出勤の日に社長が「泣いても笑っても今日が最後だよ」と私に言ったのをふと思い出した。
善くても悪くても、別れは突然である。
好きでも嫌いでも、もう会うことはない人。
人と人はこうも皮肉なものである。終わりがやってきてやっと、本当の言葉を言えるのだ。