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【第二部完結編】インフルエンサーじゃない私が、「インフルエンスが求められる局面」に立たされたときどうするか、どうしたか。


こんにちは。

こちらのイベントのツイッター拡散施策↓

に関する考察の第二回【完結編】になります。

前回は、

・インフルエンサーを”スピーカー的”に活用するのは簡単なようでなかなか難易度が高い
・参加者の発信傾向ポートフォリと発信の安全性を確保した上でインフルエンサーに”アンプ的”に動いてもらうとオーガニックに多面的な「褒めポイント」の訴求が可能になる

という二点について述べました。(くわしくはこちらの記事をどうぞ→https://note.mu/thattori/n/n05c74cb0d489。上記二点を図案化したものもPinterestのボードに貼っておきますのでご自由にというか積極的にご活用いただけると幸いです→https://www.pinterest.jp/n198230/graphic_recording/


【結果のふりかえり】

結果としてこのイベント、前回の記事内でもご報告しましたが参加者20数名でツイッターのトレンド入りを果たすという大成功をおさめています。

最終的な盛り上がりに対して、参加者人数の制限もありそこまで大々的に事前の告知がされていたわけではないので、いまこの記事で存在を知って「え!そんなイベントあったんだー。行きたかったなぁ…」という方もいらっしゃるかもしれませんね。

事前の段階で私のTLにも

「うらやましい!超行きたい!
「党首(=田中泰延さん)の爆笑トーク聞きた過ぎるー!」
「ハットリさん、現場からの実況、楽しみにしてます!」
「実況あるの?あ、でも、自分、その時間、仕事だ…無念…」

といったツイートが複数寄せられていました。さすがはツイートファンタジスタ田中泰延さん。


…と、ここでみなさん、何か違和感をおぼえませんか?


【主役が”好奇心に無視”されている】

上記、イベント前に私のTLに流れてきた一連のコメントを見て私は「ん?あれ?これ、ちょっとどーなのかなー」と思いました。

なにごとかといいますと、みなさん「田中泰延さんに会いたいなぁ」「田中泰延さんの面白いトークが聞きたいなぁ」「超絶映画通の田中泰延さんと観たいなぁ」なんですね。

ツイートくださった方々の主観を図案化するとこういう感じ↓

田中さんにしか目がいってない。

でも、このイベント、Netflix『ロストイン・スペース』のプロモーションなわけなのです。にもかかわらず主役であるはずのNetflixもロストイン・スペースも視界に入っていない、もしくは入っていてもフォーカスが全く来ていない…。

もちろん、「企業名を刷り込む」ことや「作品名を拡散して認知を上げる」ことも、それはそれで意味のあることなんですけどね、

でも、べつにそれって「広告=ペイドアド」でもできるんですよ。

で、経験上その文脈でいくと結局、オーガニックでやることの優位性が「あんまり媒体費をかけずにできた」ってことに着地しがちでして、それってほんとにどーなのかなー、と私なんかは思うわけです。(いったい何が「どーなのか」に関してはまた機会を改めてきちんと書こうと思います。しかも厳しく辛辣に)

かつ、上記の最後に取りあげたコメント

「実況あるの?あ、でも、自分、その時間、仕事だ…無念…」

これが違和感ポイントの極め付けかなぁと思うのですがどうでしょう?


では、30秒でお答えください。私=ハットリは「何に引っかかった」のか?(←私は30秒ぐらいで結論が出たので。ちなみに街クリの西島編集長は3秒以下の瞬殺でした)

…よろしいですか?簡単ですよね。

あのですね、

「Netflixの強みは”好きなタイミングで観られるオンデマンド”のはずなのに、田中さんだけに興味が向いていて、当該イベントの対象となるコンテンツどころかそもそもの最大の強みすら完全に無視されている」

です。

もちろん、リアルタイムでしか体験できないことの価値ってのが存在しているのは重々承知してますけどね、でも、くどいようですが今回のこれはNetflixのイベントですから、その価値観の文脈上にはないし、むしろ積極的に「ライブじゃなくて、オンデマンド」の優位性に目が向く構造であるべきではないだろうか、と思ったんですけどみなさんのお考えはいかがでしょうか。


【”好奇心の視線”を誘導する】

主催者側の視点で考えると、べつに興味の入り口が田中泰延さんでも全然かまわないんですよ。ただし、きちんと”Netflix”および”ロストイン・スペース”に関心を向けてもらうことがなにより大切であることは譲れない。だってクライアントさんにとってはそのためのイベント開催(=投資)なわけですからね。

というわけで、ここでまた図案化すると、ユーザーの好奇心の流れ(田中泰延さんきっかけの場合)は↓


となるのが理想形。きっかけが田中さんならば田中さんの動きを活用してこちらの見せたいものまで導く。

ちなみに私はこの作業を、『”好奇心の視線”の導線を設計する』と呼んでいます。

というようなことを意識して、以下のようなツイートコンテンツを今回の施策における一連の中にまぶして放出しました↓

おわかりいただけますでしょうか?

「映画通で知られるあの田中泰延さんも身を乗り出すようなシーンがある」と知った場合、すでにNetflixに加入されてる方(で、田中さんのファンの方)なら「えー、そのシーン気になるなー。ちょっと観てみようかなー」って思っていただけるんじゃないかなぁと。

で、そういう展開まで持ち込めればあとは「そのシーンだけをピックアップして観て面白さが理解できなかったらもったいないから、ちゃんと最初から観てみようかなぁ」と思っていただけるのではないかなぁと。

ちなみに事前の基礎知識として、

オンデマンド系のオリジナル映像作品は、初回のXX分で観客を掴むフックを設定して離脱の可能性を下げるのが定石(ハリウッド映画もそうですよね)、かつ2話目の視聴に進んでくれた場合、その後の継続視聴率は著しく向上する構造になっている

ので、(今回はNetflixさんから詳細なデータを頂戴していたわけではないので、私の目測&主観で序盤の山場を想定&イベント後、再視聴しての確認作業をして)ストーリーの山場後のタイミングを紹介するようにツイートコンテンツを作成しており、同様の理由で2話目に入ってからのタイムラインを紹介するコンテンツも放出しています。

あと、ムービー素材にすると通信容量を気にする若いターゲットに嫌われそうなのでGIFにしてある、とかそういう細かいこともいろいろ気にかけてはいますがまぁ末節ですかね(まぁでもわりと大切なことかも)。

で、もうひとついうと、イベントの際に「何かが起こった=田中さんが反応したタイミング」のタイムラインを紹介することで、”リアルタイムの時間”ではなく”Netflixの作品上のタイムライン”に基準となる時間が置かれる構造になっていることが最大のポイントですね。

要するに、「オンデマンドであることの優位性」に基盤をおいた形になっているわけです。(ちなみに西島編集長はこのアイディアを提案した瞬間0.2秒ぐらいですべて理解してくれましたね。さすがです。)


【たとえばこんな応用編】

自分でいうのもなんですがこのアイディア、かなり応用性が高いかと思うのですがいかがでしょうか。

たとえば、単に有名人を連れてきて通り一遍の感想を聞くような試写会にするのではなく彼ら彼女らが反応したシーンのタイムラインを公開するとか(”長澤まさみが試写会で反応したキスシーン”とか興味あるでしょ?ないですか?絶対あるでしょ!?ぼくはありますっ!!…取り乱しましたすみません)、

(田中泰延さんのような)映画通をキャスティングできなかった場合でも、一般視聴者を集めて鑑賞中の心拍と脳波データをとって「X割の視聴者の脳波が”面白い!”と反応したシーンはX分XX秒」って形にして提示するとかetc.

Netflixさんのイベント用に考えたものなので、オンデマンド系の映像配信サービスとの相性がいいのは当然なのですが、べつにNetflixさんのためだけのものでもないので、ご興味ご関心お持ちになられるA○mazon PrimeさんやU-N○xtさん、D○Vさん、いらっしゃったら企画、展開、応用アイディアなど指南いたしますのでお声がけください。


【作品がもつ価値の新しい可視化】

加えて、私がここでやりたかったのが「ある作品が有する価値をいままでなかった形で可視化して付与・提示する」という試み。

映画やドラマに代表される映像コンテンツは、もちろんそのままでもそれぞれの作品固有の価値を持つわけではありますが、でもそれって”中身を観ないと伝わりづらい形の価値”ですよね。端的にいうと「観てみないと面白いかどうかわからない」ということ。

なので、視聴に至るまでのハードルを下げるために、たとえば「試写会で”最高でしたー!”ってコメントする素人の映像でCMを作る」とか「”全米が泣いた”ってコピーをつける」とか「実際に観た人による評価を提示する(ex.評価:★★★☆☆)」とか「評論家にレビューを書いてもらう」といった方法で、可能な限り”観てみないとわからない価値”を可視化して提示しようと試みてきたわけです。

でもまぁ上記に挙げたような従来の方法って「映画館で映画観るのが主流」の時代の形式だよなぁと。好きなときに好きなポイントを選択して視聴できるサービスが普通に提供されてる時代をキャッチアップしたソリューションではないよなぁと。

あと、そもそも(評論が代表的ですが)作品の中身に触れないでコンテンツが内包するストーリーの価値を伝えるのが不可能だって時点で制約が大き過ぎるよなぁと。

というわけで、

・オンデマンド視聴というテクノロジーの肩に乗って

・ストーリーに抵触せずに作品への興味を喚起する

方法を考えて、あのような手法にたどり着きました。

プラス、

・田中泰延さんという独自の映画評論で影響力を勝ち得てきたインフルエンサーが”作品に触れてこんな反応を示した”という「いままで誰も可視化しなかったけれど、ターゲットの好奇心の視線を惹きつけることができる新しい価値」をコンテンツに付加することも試みています。


【これからの”価値”はどこに宿るのか】

ここまでの内容を読んで、『「あの人が”おもしろい”って言った」「あの人が”いい!”って言った」なんてことは、広告宣伝のフックにはなるかもしれないけれどそれを「価値」なんて呼ぶのはおおげさだろう』っていう方もいらっしゃるかと思います。(noteの読者の方には少ないかもしれませんが、私が日常のビジネスで接する方々は大半がそのような価値観をお持ちなんじゃないかぁと個人的には感じています)

が、この書き方からもおわかりのとおり私自身はそれ(=あの人がいい”って言った)がコンテンツに大きな価値を付与する持つ時代がくると考えています。

この場合の”価値”というのは、現状のような心理的なものというだけでなく”経済的に価値がある”という意味です。

もっというとその価値が「金銭(=マネー)に置き換えられることなくそのまま価値として流通する」という時代がくるのではないだろうか、と。(私はこれを”ファンタステイック経済圏構想”と呼んでいますが、この話しだすととてもじゃないけど終わらないのでまた改めて少しずつ書きます)

長くなるのでさわりだけ書きますが、

これまでの時代の価値が「工場と会議室」で生まれていたのに対して、これからは「人の心と脳に宿る価値」も実際的な力を持つ時代がくる

というのが私の考えです。で、くるのを待ってるのもなんなので自分で積極的に迎えに行こうというのが私のスタンス。ご興味ある方は一度飲みにいきましょう。


【まとめ】

まとめます。

・「露出→認知獲得」だけなら広告(ペイド)でもできることなのでそんなの広告代理店のやつらにまかせちゃえばいいじゃん

・オーガニックの利点を「お金かけずにできた」って考えるのは古いしカッコ悪いし面白くないしそもそも考え方が貧乏くさくてダセェよな

・「”好奇心の視線”の導線を設計する」という発想で、訴求するべき製品・サービスにターゲットの関心フォーカスを向けさせること。それができてないとクライアントさんの投資にきちんと応えたことにはなんないでしょ

今回、まとめが荒れてますね、すみません。で最後がぼくが一番いいたいこと↓

これまでの時代の価値が「工場と会議室」で生まれていたのに対して、これからは「人の心と脳に宿る価値」も実際的な力を持つ時代がくる。

ので、新しい可視化の方法をきちんと考えて実践していくようにしたほうがいいですよ。AIやアルゴリズムは既存の価値を計測するのはお得意ですが、たとえば今回ぼくがやったみたいなツイートコンテンツを提案してくれることは(いまのところは)ありません。ということはそこがぼくらの勝ち目でもある、と。

もちろん、可視化によるサポートをするだけでなく、観た人の心に「これは価値がある」と認識してもらえるようなコンテンツを世に生み出していける人が幸せになるほうがいいよなぁと思うのですがみなさんいかが?

私はそのほうがいいなぁと心の底から思っているので、そういう世の中にしていこうかなぁ、ということで、ここから先はまたいつかどこかの機会に。


【おまけ】

なにが起きてるのか知りたくないですか?


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