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片桐仁の日本全国ご当地粘土道 第一回

俳優・芸人そして彫刻家の片桐仁による新連載「片桐仁の日本全国 ご当地粘土道」をスタートします!

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約20年にわたり「何かに粘土を盛る」という方法で粘土作品を作り続けてきた片桐仁。細部までこだわり抜いたディテールや一見するとグロテスクでありながらつい微笑んでしまう愛らしさのある作品が見る人々を魅了してきました。2015年〜2018年まで日本全国での個展を実施し、2019年には台湾で初めての海外個展も実施しました。
片桐仁のユニークで奇想天外な作品達をもっともっと世界中の人々にも見てもらいたい…そんな思いからTHAT IS GOODで、連載をスタートすることになりました。
「日本全国のご当地作品」をテーマとして、日本各地の紹介と共に、全国47都道府県の名産品、伝統工芸、地域の特徴などなどからインスピレーションを得た作品を発表していきます。

第一回 『山形県』

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タイトル 『ザ・山形(マウンテン フォルム)』
法量:縦×幅×奥行=425×360×150(mm)
材料:エポキシパテ、スカルピー、ハーティ粘土、厚紙、スタイロフォーム、タイコ鋲

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ご当地作品、連載1回目は父親の実家、天童市がある山形県にしました。
天童といえば、日本一の将棋の駒の生産地。
家に実家から持ってきた『左馬』と呼ばれる、逆さまに『馬』の文字が刻まれた、巨大な将棋の駒があったので、「こんな感じのものを作れないかなー?」と思っていた。

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その時、「『山形』を英語にすると、マウンテン…。そうだ!あの超人にしよう!」と思いつきました。栓抜きにしたのは、こういう栓抜きが実家にあったからです。でも、大銀杏みたいでいいでしょ?
※大銀杏(おおいちょう)
大銀杏とは、大相撲の十両以上の力士(関取)が結うことができる髪型。髷の先端が大きなイチョウの葉に似ていることからこの名前がある。

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将棋の駒は厚紙やエポキシパテを使ってエッジを作り、手と顔まわりはスカルピー。柔道着はハーティを使いました。モコモコした柔道着の質感と、シャープな駒の造形とのギャップがよく出たと思います。

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手足は将棋盤の脚の形をモチーフにしています。駒の木目を塗装で表現するのが、難しかったけど楽しかったです。柔道着で殆ど見えなくなってしまいましたが…。

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片桐 仁
1973年11月27日生まれ / 埼玉県出身 / 多摩美術大学卒業
ドラマを中心に舞台、映画、ラジオなどで活躍中。近年の主な出演作は「99.9%-刑事専門弁護士-」(TBS)、「あなたの番です」(NTV)、「NHK 連続テレビ小説 エール」(NHK)などがある。
俳優業の傍ら粘土創作活動も行い、2016年から2018年までは「片桐仁不条理アート粘土作品展 ギリ展」にて全国ツアーを開催。2019年は初の海外個展を台湾で開催している。

山形県天童市について

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人間将棋(写真提供:天童市)

片桐仁のルーツとなる天童市は山形県の東部に位置しており、「日本一の将棋駒の産地」として有名である。街づくりでも「将棋」にこだわり、官民一体となり様々なイベントを開催している。その中でも一大イベントとされているのが、「人間将棋」である。約2000本の桜が咲き乱れる舞鶴山を舞台に、甲冑や着物姿に身を包んだ武者や腰元達が将棋の駒となり大局を行う様子はなかなか壮観である。

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胸に「山形県」の形。腕には、山形県の特産品の「さくらんぼ」。

「左馬」について

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左馬(画像提供:天童市)

新作「山形」のヒントとなった「左馬」は、天童独自の将棋の駒である。将棋本来のゲームでは存在せず、福を招く商売繁盛の守り駒として、家を新築した方や商売を始めた方への送り物として重宝されているとのこと。「左馬」が縁起物とされることになった由来は、
・ 左馬は「馬」の文字が逆さに書いてある。「うま」を逆から読むと「まう」と読める。「まう」はという音は、昔からめでたい席で踊られる「舞い」を思い起こさせるため「左馬」は福を招く縁起の良い駒とされている。
・ 「馬」の字の下の部分が財布の巾着の形に似ているとされ、巾着は口がよく締まって入れたお金が逃げていかないため、富のシンボルとされている。
・ 一般的に馬は人がひいていくものだが、その馬が逆になっているため、通常とは逆に馬が人をひいてくる(=招き入れる)ということから商売繁盛に繋がるとされている。
など諸説あると言われている。

記念すべき第一回目が、縁起物「左馬」からインスピレーションを受けた作品の誕生となり、2021年に向けて福も一緒にお届けできればと幸運を願っております。日本には地域によって数々の「縁起物」があるので、連載の中で紹介できることもあるかもしれません。是非新作の発表も楽しみにお待ちください。

著:THAT IS GOOD編集部 藤田

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