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✨ひとり旅小豆島編8 ハートのオリーブの葉の幸せ🍀✨

🍀🌏この話はひとり旅小豆島編1〜7の続きです。よろしければそちらから読んでいただくと嬉しい☺️💖

 最後の観光地はオリーブ園道の駅。山の裾野のたくさんのオリーブの木が連なっているところに観光バスは到着した。
バスガイドさんの説明によれば、このオリーブの葉の形がハートのものを見つけると、幸運がやってくるらしい。四葉のクローバーみたいなもの。
だが外は燃えるように暑い。太陽がギラギラと照り付けてくる。あまりの暑さに外にいられない。みんな、目の前の資料館のような建物に飛び込むように入った。中はクーラーが効いて気持ちいい。魔女の宅急便のホウキの貸し出しもある。

ホウキにまたがり、ジャンプした瞬間撮影すれば、飛んでいるように見えるらしい。でもホウキにまたがる気分でもなかったので、外に出ることにした。
ガラスの自動ドアが開き、一歩外に出るとむわっと熱気が

   暑、、い、、

動く気がなくなり、その場に立ち止まる。すると傍から声が

「また会いましたね」

おっ?! この声はまさか?

びっくりして声がする方へ向けば、寒霞溪の山頂でお会いしたあの石ガールさんがそこに。お顔が艶ッとさっぱりして、ニコニコ笑顔で立っている。

「えらく、スッキリした顔をされていますね」
「そこのお風呂に入ってきたんです。いろんな種類があって全部入ってきちゃいました」
指差す隣の建物は、日帰り風呂なんだそう。いいなあ。すると彼女は

「ついてきてください」

そういって、私の前に出たかと思うといきなり走り出した。
直感が彼女についていけ!そう叫ぶ(笑)
迷うことなく急いで彼女の後をついていく。
石ガールはオリーブ畑のまん中にある階段を、大きなリュックを背負いながら走ってどんどん下へおりていく。
なんだかおもしろくなってきた!
階段の一番下までおり少し歩くと、新芽がぴょんぴょん飛び出して伸びているオリーブの木の前で立ち止まった。そして新芽を指先で優しく触れながら

「この辺りの木の新芽だと、ハート型が見つかりやすいんですよ。私も友達のお土産に見つけました」

途中の説明も全部省いているいきなりの言葉なのに、よく理解できた。
すでに心が通じ合っている私たちの間に、いまさら社交辞令は必要ないのだ(笑)

「ありがとうございます、バスガイドさんが言ってました。見つけたらラミネート加工をさっきの建物でしてもらえるって」
「どういたしまして。私も、おじいさんにここにも連れてきてもらって、よく分からない中ハート型見つけてこいって言われて、言われるがまま見つけたんです。私も誰かに、おじいさんによくしてもらったお裾分けがしたいなと思って」

なんていい子なの?!(本日二度目の心の叫び)
そしておじいさん。石切場だけじゃなく、いろんな場所を案内してあげたんですね。あなたもいい人。

「本当にありがとうございます。それじゃあ、私も今日もらったいいこと、誰かにお裾分けしますね」
「はい、ぜひ」

ニコニコと、互いの心からの笑顔を見つめ合う。

彼女の乗るオリーブバスの出発の時間がもうすぐらしいので、少しだけ会話を続ける。

「私、ひとり旅って初めてだけど、全然ひとりじゃなくて驚いてるんです。こんなにいろんな場所で人と話をする機会があるものなんですね。ひとり旅って楽しいです」
「私もいつもひとり旅なんですけど、そうなんです、私もなんかよく人に話しかけられるんです、逆に話しすぎちゃって、いつも反省してて、、、」

わかるわかる、それね〜〜

お互いまたうふふ、と微笑み合う。

「「良い旅を」」

互いに手を振り合うと、バスに間に合うよう、石ガールは急いで私の目の前を走り去っていった。その元気な背中を見送りながら、ある言葉を思い出す。

     恩おくり

それは仏教の言葉の一つ。自分が他人から受けた恩を、また別の人へ渡していくというもの。そして受け取った人がまた別の人にいいことをしていく。
「pay forward 」というアメリカ映画でも似た話がある。それもいいことを人から人へ贈っていくという話だ。

私たちは互いに名前も知らない。貸し借りでもない、彼女から「恩」というステキな贈り物をいただいた。
彼女の姿が見えなくなると、こちらも観光バスの時間が迫ってきているのに気がつき、慌てて教えてもらった場所で、オリーブの葉のハートを探しながら

次に私がこの恩を贈るタイミングってどんなだろう?
それにどんな人と出会うんだろう?

考えていると、これからの人生が楽しくなってきた。

さてここまではいい雰囲気だったのに、油断しました。っていうか旅、なめてました。次回最終日、無事には終わらないひとり旅、何をやらかしたかというと、、、。

〜〜続く〜


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