賢い人たちのためのポーカー入門(2)


 前回は,ポーカーには様々な種類があることと,ゲームの流れを簡単に見てきました。もう少し深くポーカーの全体像を見てから,実際のゲームをプレイするための話をしたいと思います。

ポーカーの形式

 ポーカーをプレイする,と聞いた時,どこでプレイされていると思いますか?ラスベガス?マカオ?

 ポーカーはカジノに併設されている/内部にあるポーカールームでプレイするか,あるいはオンラインのポーカーサイトでプレイするか,はたまた親しい友人たちと自宅などでホームゲームをするか,のいずれかでプレイされることが多いです。(のんびりと酒を飲みながらホームゲームをするのはやっぱり楽しいです。はい。)

 物理的にチップとトランプを用いてプレイする場合をライブポーカー,そうではなく画面上でオンラインでプレイするのをオンラインポーカーと呼びます。ルール自体は多少差がある場合もあるのですが,ほぼ一緒です。しかし,プレイスタイルは大きく異なります。

 オンラインは世界中の(主に)若いプレイヤーが日々切磋琢磨しており,練習の場としては最高ですが,日進月歩であり,勝つのは結構大変です。ただ,少額で始められるので,ルールを覚えたての入門としては良いと思います。$20あれば結構楽しめるので。

 ライブはオンラインに比べると資金が必要ですが,他のプレイヤーと話しながらできたり,相手の顔を見てブラフしてるのか考えたりと,オンラインにはない楽しみがあります。

 ポーカーには,キャッシュゲームとトーナメントという二つの形式があります。前回の記事で紹介した動画は,キャッシュゲームといい,チップの額面=実際のお金です(なので,各プレイヤーはだいたい2万ドル前後をテーブルに乗せています)。一方で,トーナメントは参加費を払って参加し,その参加費から賞金プールが形成され,だいたい参加者の上位15%程度が賞金を受け取ります。賞金の傾斜は指数関数的であるため,またチップがなくなるとそこで終了のため,チップの価値が時間とともに変わるというダイナミックなゲームです。

 日本では,トーナメント=競技=正義,キャッシュゲーム=単なる「ギャンブル」,と思われがちですが,ポーカープレイヤーから見ると,トーナメントはより分散が大きく「ギャンブル」に近いのでは,と思えます。

役の強さ

 さて,実際にゲームに参加するにあたって絶対に知っておかなければいけないこと,それは役の強さです。

 テキサスホールデムでは,A > K > Q > .... > 3 > 2の順で強く,スート(記号)間には強さの優劣はありません。

Straight Flush

 同じスート(記号)でストレート(5枚のひと続き)を作るとストレートフラッシュと言います。例えば,9❤️8❤️7❤️6❤️5❤️です。場のカード5枚と自分のカード(=ホールカード)の合計7枚を使い,上記の役を作る確率は0.03%です。ちなみに,雑な計算ですが,運転免許保有者が1年間に死亡事故を起こす確率は0.058%らしいので,いかにレアな役かがわかります。

A♠︎K♠︎Q♠︎J♠︎T♠︎の場合,Royal Flushなどと言ったりします。

Four of a kind

 同じ数字が4つ揃うとFour of a kindと言います。一般的にはQuadsクワッズと呼ばれることの方が多いです。例えば,3♣︎3♠︎3❤️3♦️K♣︎などです。

Full house

 同じ数字3枚と別な数字が2枚揃うとフルハウスとなります。例えば,A♠︎A❤️A♦️K♣︎K♠︎などです。

 複数人がフルハウスを持っている場合は,3枚揃っているカードの強さをまず比べます。

A♠︎A❤️A♦️K♣︎K♠︎ >  K♣︎K♠︎K❤️3♣︎3♠︎です。

3枚揃っているカードの強さが同じ場合は,残り2枚の強さで勝負します。したがって,

A♠︎A❤️A♦️K♣︎K♠︎ > A♠︎A❤️A♦️Q♣︎Q♠︎  >  A♠︎A❤️A♦️2♣︎2♠︎

となります。

フルハウスは強いハンドと思われがちですが,自分がフルハウスを持っている場合は,相手がフルハウスを持っている可能性もあるため,慎重な判断が必要になります。

Flush

同じスートが5枚揃うとフラッシュです。複数人がフラッシュを持っている場合,各人の一番強いカードから勝負をします。例えば,A❤️Q❤️を持っている人と,K❤️J❤️を持っている人が,9❤️5❤️Q♠︎4❤️2♣︎のボード(=場のカード)で勝負を競った場合,A❤️Q❤️を持っている人はAハイフラッシュ(=フラッシュのスートの中で一番強いのがA),K❤️J❤️を持っている人はKハイフラッシュ(=フラッシュのスートの中で一番強いのがK)ということでAハイフラッシュを持っている人が勝ちます。

Straight

数字が5つ並ぶとストレートです。ストレートは必ず,5かT(=10)を含みます。一番強いストレートはAKQJTで,一番弱いのは5432Aです。ストレート間の強さは間違いやすいところです。特に5432AはAを含んでいるため強そうに見えますが,弱いです。

Three of a kind

同じ数字を3つ揃えるとスリー・オブ・ア・カインドになります。通称トリップスといい,ある特殊な場合にセットと呼びます。ホールカード(=自分の2枚)がペアの場合で(e.g. K♣︎K♠︎),ボードにそのカードが1枚ある場合(e.g. K❤️Q♠︎7♠︎ 5❤️ 2♣︎)をセットと言います。セットは,相手に読まれにくいため,大きな利益をあげることのできるハンドです。

Two Pair

ペアが2つできるとツーペアです。ツーペア同士の比較は日常茶飯事で,まず強い方のペアを比較し,もし同じ場合は,次のペアの強さを比較します。どちらも同じ場合,キッカーと呼ばれる残りのペアになっていないカードの強さを比較します。

K♣︎K♠︎2❤️2♣︎J♦️ >  J♣︎J♠︎T❤️T♣︎A♦️

J♣︎J♠︎T❤️T♣︎A♦️  >  J♣︎J♠︎6❤️6♣︎A♦️

J♣︎J♠︎T❤️T♣︎A♦️  >  J♣︎J♠︎T❤️T♣︎7♦️

One Pair

ペアが一つの場合ワンペアと呼びます。Aのワンペアが一番強く,2のワンペアが一番弱いです。ワンペアの場合は,しばしばキッカーの勝負になります。

High Card

つらつらと役の強さを書いてきましたが,ワンペアでさえ役を作るのは大変です。そのような役がないときはハイカードでの勝負となります。Aハイが一番強く,7ハイが一番弱いです(75432)。巷では,ペアがないと「ブタ」なんて言ったりしますが,AハイやKハイで勝っていることも結構ありますので,見捨てられません。

勝つためのヒント

 これに気付けるかどうか,というのは結構重要なのですが,ポーカーで勝つために必要なのはストレートフラッシュやクワッズを作ることではありません。なぜなら,強すぎる役を持っていても,相手がpay offしてくれないからです。より多く相手からチップを稼げるのは,自分が相手よりも「ちょっとだけ強い」ハンドを持っているときです。

 なので,AハイフラッシュはKハイフラッシュから多く稼げますし,Tハイストレートは8ハイストレートやセットから稼ぐのです。

 相手よりちょっとだけ強い役を作るためには,相手よりもちょっとだけ良い2枚のカードでプレイする必要があります。(注:ここは語弊がありますが,便宜的にいうと,そういうことです)

 次回はどのようにそのホールカードを取捨選択するか,を解説したいと思います。






 


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