【本日、代表就任しました。5】
「服の原価について」
せっかくなのでここでアパレルビジネスについて、私が知っている本質的な事をお伝えしてみようと思います。少しお付き合い下さい。
あなたが着ているその服の「原価」ってどれくらいか知っていますか?たぶんほとんどの人がそんな事を考えて服を買わないと思います。
私はアパレルに携わる様になって服の価値について目を凝らして見る様になり、今ではかなりシビアになってしまいました。
「服の原価は20%-35%」
先に答えをお伝えしておくと「服の原価はあってないようなもの」です。なぜなら本質的にはプレファレンス(およそ好感度と理解)と言われる「ブランドエクイティ、価格、製品パフォーマンス」などから構成される相対的な付加価値で服の原価率は大きくかわるからです。
ただ、一般的には1万円の服なら2,000円〜3,500円といったイメージです。どうですか?高いですか?安いですか?
それを踏まえて20世紀から続く旧来のアパレルのモデルでより具体的に説明します。
・デザイナーやスタッフ人件費、家賃「30%」
・百貨店やセレクトショップ「30-40%」
よって、旧来のアパレルビジネスモデルざっくりこんな感じになります。
原価30%※+販管費※30%+販売費30%※
=10%前後の利益
※イメージを掴む為平均的な数値
「在庫とセール」
ここで問題なのが「在庫」をどう処分するのか?です。なぜならそれを売り切って初めて利益が出る仕組みだからです。その答えはこれまでほとんどは「セール」でした。
デザイン→工場で生産→展示会で商談→バイヤーが買い付け→売り場で販売→在庫セール!
前回お話しした「アパレルは水のようにお金が無くなる。」はここに由来します。在庫をセールで売る事が出来ないとお金が回収出来ずお金が回らなくなるのです。恐ろしや…。
そして、そのモデルはすでに崩壊しつつあります。世界的有名ブランドや百貨店、セレクトショップがバタバタ潰れているのは周知の事実ですね。
「メルカリの大波」
では、なぜ旧来のアパレルビジネスモデルは崩壊に追い込まれているのでしょうか?
ここからはデジタル世代におけるアパレル界の革命児である石川涼氏からアドバイスをもらい、私自身も経験し、実感している事をお伝えします。
今のデジタル世代の子達はご存知の様にここ数年メルカリを広く利用しています。石川涼氏はその子達曰く、今は「リセール※中古で売る」が高く出来る商品を選んでいるとの事。
新品で買う→数回着る→メルカリで高値売却
→新品で買う→数回着る→メルカリで高値売却…ずっと新しい服着れて幸せ!笑
「デジタル世代の価値観」
という事は、「リセールで安くしか売れない=セールばかりやって供給過多の商品」は益々売れなくなります。これは有名ブランドや百貨店、セレクトショップなどがまだ気づいていない「本質」だと思います。
もちろんアパレルビジネスの崩壊は「リセールの問題」だけではなく、「モノ消費からコト消費への価値観の変化」や「サスティナブルな取り組みへの関心」など複合的に重なり起きている事象だと思います。
アパレルに限らず彼らの価値観は大きく変化しておいますが、日本の企業は全くそれに追いついていません。それは言葉を選ばずに言うと「日本企業の今の主役は高齢者でデジタル音痴」だから。これは日本におけるビジネスの全般に言えると考えています。
これから更にデジタル世代の価値観を正確に理解し、変化に対応出来ない企業は、これから先どんどん淘汰されていきます。
私達はそんな日本のアパレルの危機を若い力で変えていきたい。そんな事をずっと考えてきました。次回はなぜこれだけ大きく世界が変わったのかについてお話ししたいと思います。
続く…
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