闘うロシアの女性たち-国際女性デーによせて-

3月8日は国際女性デーである。

日本ではあまり取り上げられることもなく気にしたことは正直なかったが、ロシアでは祝日であり、プレゼントの花が飛ぶように売れていく。

The Global Gender Gap Report 2021 (2022にロシアは不参加)でのジェンダー・ギャップ指数でロシアは81位と、120位だった日本よりも高い順位を占めている。

一方中身を見ると、
経済:25位 (日本:117位)
教育:1位タイ (日本:92位)
健康:1位タイ (日本:65位)
政治:133位 (日本:147位)
と政治に関してはジェンダーギャップが他の項目と比べ非常に大きいとされている。
(同時に、日本が全項目でロシアに完敗しているということに、改めて衝撃を受けた。)

ロシアでは確かに各分野で女性で高い地位を得ているケースも見るが、一方で男性優位な社会の雰囲気もあり、強い権力のある立場に関しては、マッチョイズム的に男性が好まれる傾向があるように思う。

しかし、ウクライナへの侵攻後も、強い女性たちが反戦層に一定の影響力を持っている。

国際女性デーにあわせ、メディアやSNSで活躍する様々な分野のロシアの女性たちを、自分の主観で選び紹介していきたい。

エカテリーナ・シューリマン(Екатерина Михайловна Шульман)

Youtube(登録者108万人): 

  Telegram(登録者42万人)

 Facebook 

開戦前からリベラル層に非常に人気のあった政治学者。
モスクワのこだまで「ステータス」という人気番組を持ち、立法面を中心にロシアの政治・社会状況に関しわかりやすい解説を行っていた。
ドイツの奨学金を得て現在はベルリン在住。出国後の2022年4月15日に外国エージェント指定。

ロシアを離れた今も、公平な目線でロシア国内の状況を見ており、個人的にも様々な状況に関する大きな指針となっている。

なおモスクワのこだま閉鎖後も「ステータス」は、自らのチャンネルを含む複数のYoutubeチャンネル同時配信で継続中(毎週火曜日、モスクワ時間21時~)。最新の回↓↓

ナタリア・ズバレーヴィチ(Наталья Васильевна Зубаревич)

モスクワ大学地理学部の教授。専門は経済地理学。

ロシアの地方経済を研究しており、自らSNSなどで発信はしていないが、各種独立系メディアに出演し、統計をベースとしたロシアの経済状況に関する見解を出している。

カテリーナ・ゴルデーワ(Катерина Гордеева)

Youtube(登録者152万人): 

Telegram (登録者10万人)

Instagram (登録者11万人)
https://instagram.com/skazhigordeevoy?igshid=YmMyMTA2M2Y=

ジャーナリスト。自らのYoutubeチャンネルで2時間前後のロングインタビューを中心に発信を続けている。2022年9月に外国エージェント指定。
開戦後に見始めたが、興味深い出演者が多く、「ロシアも捨てたものではない」と考え続けられる一つの糧となっている。

個人的なお気に入り動画。
集中収容所という苦しい過去との向き合い方を他国の事例と比較した「不都合な過去(Неудобное прошлое)」の著者、ニコライ・エップレのインタビュー。

開戦までロシアのトップスターであったウクライナ人歌手、スヴェトラーナ・ロボダのインタビュー。

数か月前にズバレーヴィチのインタビューも上がっており、そこでシューリマンの言葉を引用する場面がある。個人的に非常にテンションが上がった瞬間。

モネートチュカ(Монеточка)

Youtube(登録者34万人)

Instagram (登録者43万人)

https://instagram.com/monetochkaliska?igshid=YmMyMTA2M2Y=

アーティストの中では、チャリティーコンサートを行ってきたモネータチュカを挙げたい。
かわいらしい歌声で社会問題を風刺する楽曲を出してきた彼女。開戦後、厳しく非難を続けている。2023年1月20日に外国エージェント指定。

同じく政権批判を続けているNoize MCとのコラボレーションやコンサート共演も多い。

エヴァ・モロゾワ(Ева Морозова)

Youtube(登録者34万人)

Instagram (登録者20万人)

https://instagram.com/eva__morozova__?igshid=YmMyMTA2M2Y=

ここまで政治学者、経済学者、ジャーナリスト、歌手ときたので、最後はアーティストから。様々な風刺画をあげているエヴァ・モロゾワを。
独特な作風で、この1年何度か作品を見てきたが、非常に印象に残る。


その他

ここまで5人を挙げたが、挙げていくとキリがないので、思い当たる人々を名前(SNSリンク付き)と短評のみで紹介。

エカテリーナ・コトリカゼ(Екатерина Котрикадзе)
独立テレビ局ドーシチのメインジャーナリストのひとり。

アンナ・モンガイト(Анна Монгайт)
同じく独立テレビ局ドーシチのメインジャーナリストのひとり。

タチアナ・フェルゲンガウエル(Татьяна Фельгенгауэр)
モスクワのこだまのジャーナリスト

ダリア・セレンコ(Дарья Серенко)
ФАС(Феминистское антивоенное сопротивление フェミニスト反戦レジスタンス)を主導

エレーナ・オシポワ(Елена Осипова)
サンクトペテルブルク在住の芸術家。反戦ピケを継続。

ゼムフィラ(Земфира)
反戦を明確にしており、外国エージェント指定も受けた人気歌手。

タイーシャ・ベクブラートワ(Таисия Бекбулатова)
独立メディア"Холод" 編集長

マリアンナ・ミンスケル(Марианна Минскер)
RTVIジャーナリスト。経済番組を担当。

イリーナ・シフマン(Ирина Шихман) 
人気Youtubeブロガー。ロングインタビューを始め、さまざまな良質なコンテンツ。

マリア・ペフチフ(Мария Певчих)
反汚職基金のメディアマネジャー・調査報道担当 

クセーニャ・ソプチャク(Ксения Собчак)
非常に意見の分かれる「ジャーナリスト」


ロシアにおいて女性の力は非常に大きい。
終戦後の復興には、政治・経済分野での女性の活躍が必須になってくると、確信している。

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