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MEMO:思春期ブロッカー


思春期ブロッカーを肯定的に扱った記事や本

「違う性別で生きたい」子どもが打ち明けたらどうする? 18歳で性別適合手術を受けた女性に聞く“生きたい性”の選択に必要なこと ヤフーニュース 岡山大学 中塚幹也 (2022/11/30)

学齢期の当事者が直面するこうした危機的状況に、どう対応すれば良いのか。GID(性同一性障害)学会理事長を務める岡山大大学院の中塚幹也教授は、一つの選択肢として「思春期ブロッカー」と呼ばれる薬を挙げる。正式名称は「GnRHアゴニスト」といい、性腺刺激ホルモンの分泌を抑えることで、第2次性徴に伴う体の変化を一時的に抑制する作用を持つ。

 この薬による変化は可逆的であり、使用を中断すれば第2次性徴が再開されるのが特徴だ。もし途中で「トランスジェンダーではない」と診断されたり、本人が「体の性を変えることまでは望まない」と決めたりした場合は、薬の使用をやめれば元の身体の性へと再び変化を促すことができる。

 つまり、(1)ホルモン療法を受けられない学齢期において「望まぬ性」への身体的変化を一時的に止めておく(2)本当に体の性を変えるべきかどうかを慎重に判断する―という二つの意味で「時間を稼ぐ」ことができるのがメリットだ。副作用として、子どもが長期にわたって使用すると、骨の発達に影響を及ぼす可能性も指摘されており、学会のガイドラインは使用開始から2年をめどにホルモン療法に移行するか、治療をやめるか判断するよう求めている。
 

 ▽家族に求められるのは…

 学会が思春期ブロッカーの使用基準を策定してから10年が経過したが、体の性を変えることを望む当事者の間でも、この薬の使用が普及しているとは言いがたい。背景には、公的医療保険が適用されない自費診療になるため治療費が高額になることや、専門家の中でもこの療法に詳しい人は少ないといった事情がある。

 中塚教授はこうした理由に加え「性別に違和感を持っていても、子どもたちが口に出しにくい学校や家庭環境の問題も大きい」と指摘する。子どもたちが身体の性に強い違和感を抱いた時、「生きたい性」の在り方を選び取っていくためには、何よりも周囲の理解と協力が不可欠だと話す。

 鈴木さんは昨年4月に女性として大学に入学し、今年20歳になった。苦しみ、悩み、考え抜いたこれまでの時間を振り返って、こう語る。「母の理解がなければ、今の私はなかった。これから大きくなる子どもたちが性自認に悩んだ時、少しでも生きやすくなるよう、一番身近にいる家族にはそっと寄り添ってほしい。そして彼らが悩んだ末に選び取った決断は尊重してあげてほしいと思います」。

「違う性別で生きたい」子どもが打ち明けたらどうする? 18歳で性別適合手術を受けた女性に聞く“生きたい性”の選択に必要なこと
2022/11/30

書籍『子どもの性同一性障害に向き合う~成長を見守り支えるための本~ 』(西野明樹著)|日東書院本社より出版

二次性徴抑制療法
 小児に対して行われる比較的新しい治療法です。希望する性別の特徴を促進することはできませんが、身体的性別に即した望まない第二次性徴を抑制することができる製剤の投与を、定期的に受けます。投与を中断してしばらくすると、身体的性別に即した第二次性徴が再開されます。第二次性徴が抑制されている間に性自認に沿ったホルモン剤の摂取を始めると、骨格や身長などが生まれた時の身体的性別に即した第二次性徴を経験することなく、性自認に沿ったホルモンの方に影響された体の変化を得ることができます。
 たとえば、生まれた時の身体的性別が男性である場合、のど仏が出ずに済むようなことがあります。比較的安全に投与できるといわれていますが、副作用やリスクがないわけではありません。また費用が非常に高額なため、実際にこの治療を受けられる人はごく少数にとどまります。

書籍『子どもの性同一性障害に向き合う~成長を見守り支えるための本~ 』
(西野明樹著)日東書院本社
p198.199

にじっこ 子どもの性別違和、まず知っておきたいことは?大阪医科大学准教授の康純先生にインタビューしました!

Q7 身体への違和感と治療について
二次性徴が苦痛だ、という子に対しては二次性徴抑制の治療を行うことができます。一般的にGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)アゴニストという薬を使用して望まない身体の変化を止め、その間に自分がどのような性別で生きていきたいかを落ち着いて考えることができます。大学病院で行う場合には学校を通院で休む必要があったり、また費用が高額だったりするので、そのあたりのハードルはあります。
二次性徴が始まる時期になると、視床下部というところからGnRHという物質が出て下垂体に働き、下垂体から性腺ホルモン刺激ホルモンが出ることによって、精巣がある場合は男性ホルモンが、卵巣がある場合は女性ホルモンが出てきます。GnRHアゴニストはGnRHの働きを止めてしまいますので、性腺ホルモン刺激ホルモンは放出されず、二次性徴が起こる前の状態に留まります。GnRHアゴニストの使用を中止すると二次性徴が始まります。GnRHアゴニストは前立腺癌や乳癌の治療薬として使用されており、様々な副作用が報告されています。子どもに対しては思春期早発症という二次性徴が非常に早く始まってしまう疾患に使用されていますが、思春期早発症に使用した場合には重大な副作用は報告されていません。

子どもの性別違和、まず知っておきたいことは?
大阪医科大学准教授の康純先生にインタビューしました!

ママテナ トランスジェンダーの子、将来どうなる?

小学生の高学年から中学生頃まで続く思春期は、身体つきに著しい変化が生じる二次性徴にもあたり、トランスジェンダーの子どもにとっては苦悩を抱きやすい時期でもあります。

そこで、最近はこのような二次性徴に伴う強烈な違和感を緩和させるための『二次性徴抑制ホルモン』による治療も国内で始まっていると言います。

「『胸が出てきたらとてつもなく嫌だ』とか『男性っぽい声になるのが耐えられない』という子は、身体の変化にともないメンタルヘルスの状態が悪化しがちです。『二次性徴抑制ホルモン』を使用すれば、そうした身体の変化を一時的に止めることができます。
トランスジェンダーの人が行うホルモン療法といえば、15歳以上を対象として、心の性にあわせた性ホルモン(男性ホルモンや女性ホルモン)を定期的に投与し、望みの性別らしい身体つきを手に入れるというものがありますが、一度起きた変化を元には戻しにくい側面があります。一方で、『二次性徴抑制ホルモン』は副作用も少なく、投与をやめれば元通り通常の二次性徴が起こります。さらに、15歳未満でも使用することができます。この療法によって、二次性徴による苦悩を劇的に減らし、本人のメンタルヘルスが良好な状態で、将来自分がどのような性別で生きたいのかを改めて模索してもらうための余裕を持たせることができるのです」

トランスジェンダーが希望どおりの性別で生きていくためには、必ずしもホルモン療法や性別適合手術は必要ではなく、服装や周囲からの扱われ方、名前などを変えることで、本人が安心して生きていけるケースもあるのだとか。

「身体を変えなくても、自分が望む性別で就職して、好きな人と暮らしているトランスジェンダーたちだって、たくさんいます。そういう人が身近にいないと、子どもたちは落ち着いて自分の将来を思い描くことが難しいですよね。追い詰められた挙句、二次性徴に思い悩む子どもの中には、誰に相談したら良いのか分からず、ネットなどでいきなり安全性が保障されていない男性ホルモン剤や女性ホルモン剤を購入して使用してしまう例もあります。医師の指導や定期的な血液検査なしに、ひとりで素状の分からない薬を使うことは、たいへん危険なことです。そんなときには身体への負担を減らす方法をまずは考えなくてはいけないだろうし、なによりトランスジェンダーとして生きている人たちの実際の声をたくさん聞ける環境を持てるようになることが、彼らの絶望感を和らげるのではないかと思います」

ママテナ トランスジェンダーの子、将来どうなる?

遠藤まめたさんのツイート(2021/4/21)

魚拓:https://archive.md/THPpm

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