JOPT 2023 TOKYO ♯1 Poker Players Championship(PPC)優勝までの一年間 〜試行錯誤とスタイルの確立〜

この度、JOPTのPoker Players Championshipを優勝させてもらったので、自分のための雑感として、ツラツラと書き記したいと思います。(読み返しながら、ちょこちょこ編集しました。)


相当に長くなるので、お時間がある方だけ、お読みいただければ幸いです。


ポーカーネームはフクと申します。

個別のハンドの思考は、再現性が低いものも多く(ライブトーナメントではシチュエーションや相手が変化すれば、変わる可能性が高いと考えます。)トーナメント全体において考えていたこと(後述する経験不足により、大いに間違っている可能性が高いことは承知ですが、恥を偲んで)を自分なりに残したいと思います。


その前に、今回のPPC参加に至るまでの経過を、ポーカーとの向き合い方を含めて、記録として記します。



〜〜〜〜〜〜



まず、ポーカー歴についてですが、初めてアミューズメントでポーカーをしたのは、5年くらい前です。そこから数回程度リングゲームに参加したものの、暫くお休みをしており、その数年後、何を血迷ったのかラスベガスへ行き1-2でボコボコ。サイドギャンブルでぼこぼこ。悔しすぎて勉強を開始し、ポーカーが趣味ですと言えるようになったのは、ここ1年半〜2年くらいだと思います。


アミューズにはほとんど行かず、JOPTメインのサテライト目的で、都内のスポットにお邪魔させて頂くくらいなもので、馴染みの店舗みたいなものも特にありません。ライブポーカーの経験はおそらく平均で月に1〜2回程度で、生涯で参加したライブの総トーナメントも、サテライトやJOPT本戦を含めて30〜40トーナメントくらいだと思います。


時は遡り2021年の年末です。2022年の目標として、日本最大のイベントであるJOPTのメインイベントに出ることを掲げました。(当時はライブポーカーは自分にとって、まだまだ遠い存在だと思っていました。)

調べてみると、なんと2022年の1月にJOPTが開催されるではないでしょうか!!!

年末に取り残した有給消化のため、12月の最後の一週間を休暇とし、サテライトにとにかく出てみることとしました。

結果としては、5トーナメントで3権利獲得という上振れもあり、あれ?意外とライブポーカー得意?という感覚になったのを今でも覚えています。そんなこんなで1月のJOPT本戦を迎えました。


メインが始まる前日にJOPTに慣れておこうとの考えで、初日の一番初めのイベントであるGG 150 Bountyに出ることとしました。

初めてのJOPT。会場作りの素晴らしさに感動し、すげー、ポーカーってカッコ良い!と思ったのが、初参加したときの印象です。


件のサイドイベントは途中残り30人くらいの状況で、3bbという辛い状況となったものの、プリフロオールインで復活しつつ、なんとかFTまで残ることができました。


舞い上がっており、その時の思考をうまく整理することはできないのですが、FTのアベレージが10bb以下ということもあり、とにかく生き残り、1つでも順位を上げることだけを考えていたと思います。

FTではバウンティーなのに、一人も飛ばすことがないまま、あれよあれよとヘッズアップになり、おそらくお互い20bb持ちくらいのヘッズとなりました。ヘッズが始まってから、十数ハンド目、SBからのKJoのプリフロオールインに、BBからAKoでコールというあっけない幕切れで、JOPT初出場、初優勝という、これまた上振れを引くことができました。

お相手の方はとても上手でしたが、有効スタックの浅さが功を奏したのではないかと感じます。


翌日のJOPTメインday1当日は、当日の朝方四時までヘッズをやっていたことや、興奮も冷め止まず、きちんと睡眠も取れずにヘロヘロな状態で朝を迎えました。

前日の優勝はあったものの、3bbからの大復活で優勝したということもあり、目標はday1突破と決めて、テーブルで自分が一番下手くそなプレイヤーであると、謙虚な気持ちで挑むこととしました。


以下省略しますが、メインイベントはストラクチャーも良いことから丁寧にタイトにポーカーをした結果、day1突破、day2突破(インマネ)、day3には残り24人でチップ量は四番目の状態で、進むことができました。要所要所で納得のプレーラインも決まり、調子良くday3へと進むことができたと思います。day1突破が目標であったのに、まさかのインマネ!!!再び舞い上がっていたと思います。

day3では、開始直後に2ハンド連続でぶつかりスタックが崩壊。結果20位でフィニッシュとなりました。day2で同卓したUさんが、FTまで行っていたのには本当に驚きました。バブルラインの当落線上にいたUさんのスタックを考えると、ポーカーってチップがあればなんとかなるもんだなあ、実力がある人は残るものだなあと思っていました。

僕の敗因は、分散の大きなプレーをしてしまったことだと今でも、とても反省しています。

ここで、ライブポーカー熱が爆発!!とも行かず、まあまあプライベートとポーカーを両立するような生活を送っていたと思います。


反省を踏まえて、上手い人のトーナメント技術を真似る方法はないのかを段々と考えるようになり、WSOP、EPT、PokerGo、トリトンといったYouTubeでも視聴可能な動画を見ながら、自分の思考と実際のアクションを照らし合わせつつ、何故プレーヤーがそのアクションを取ったのかについて考えるようにしていきました。


そして迎えた5月のJOPTメインイベント。今回は1権利で参加することとしました。

というのも、1月のように容易にサテライトでチケットが取れず(3回目でやっとでした。)また、前回参加した際に1権利での参加者も多かったことから、それほど不利にもなりにくいとの判断をしました。

day1は1権利参加ということもあり、前回同様丁寧さを心がけながらポーカーをしつつも、ビックポットでのAハイでのブラフキャッチや、ビックポットをブラフで獲得したりと、気付いてみれば、まさかのチップリーダーで通過していました!


day1終了後、day2の作戦を考えました。チップリーダーの役目をテーブルでやってみよう!!!楽しそう!!!そんな考えで、day2を迎えたのですが、これが大失敗の始まりでした。

day2が始まってからはルースにアグレッシブに攻めまくりました。その結果、テーブルの皆さんからは当たりたくないと恐れられ、チップはみるみる増えていきました。この調子と思いつつ、100万点のスプリンターも2位で通過!まずまず上々の滑り出し。調子に乗っていたと思います。

しかし、勢いそのままにトリプルバレルのブラフが捕まってからはスタックがみるみる崩壊。前回同卓したUさんもやってきて、一旦あげたギアを正常に戻すことができず、Uさんにもスタックを吸収されていき、そのまま残り60人くらいの状況で終了となりました。この時もUさんはFTまで行ってらして、やっぱり上手な人は上がっていくものだなあ、実力足りてないなあと勝手に凹んでました。反省点としては、場の状況をきちんと把握し、その場でできる最善の方法を検討しなかったこと。スタックが減ったことで、少し投げやりになってしまっていたことだと痛感しています。



そんな失敗をしてしまった次の7月のJOPTメインイベント。

day1Xにて早々にチップリーダーとしてday1を通過することができました!!!

ライブの権利も今回1権利あったので、day1Xのチップ量を超えるべく序盤からアクセルをかけていきました。その結果、、、もちろんday1で飛び!!!

うーん、反省が一切生かされていない。自分が嫌になり、しょぼくれながらday2を迎えることになります。

day2はアベレージスタックより多いくらいの状態でスタート。

調子良く進みながら、ネクストBBで配信卓へアサイン!!!初めて参加したJOPTは配信卓まで届かなかったことがショックで、木原さんに解説されたかった〜が1番の感想で終わったくらいでした。そのため、緊張というよりも、むしろ、不思議とやる気がみなぎってきました!!!!

テーブルのみなさんから、頑張ってとの暖かい声を掛けていただき、それに対して僕は『スーパーブラフ見せてきます!!!(グッ)』


あー、またやってしまいました。再びです。


配信卓での一度目のリバー特大ブラフレイズオールインは、後で見返したら、恥ずかしくなるくらい無理筋でしたが、かろうじて!!!たまたま!!!お相手がコールできるハンドではなかったためポットを獲得。

またしてもギアは入りっぱなし。緩めることを知らないまま、またしても60位くらいでday2にて飛翔。

何度も何度も同じことを繰り返し。前回の反省をいかせず。ポーカーはもうやめたほうが良いのか。



10月のJOPTメインイベントについては、何となく自分の中で燃え尽きていたのもあり、サテライトには参加せず。でも直前になって、メイン出たいなー、あの場所いきたいなー、いいなー、と思いながらメインのチケットを持ってないことを後悔。メインのプレーヤーを横目に、初めてPPCに参加。気合も入らずに、なあなあでポーカー。もちろん序盤にとび。翌日、メガスタック飛び。6max飛び。初めて、なにもプライズ取れず。

あーーー、もーーー、才能なし。努力足りてない。全部ダメ。反省する材料もなし。



11月のWPT。Crazy8バブバブで飛び。無駄なオールイン。ポーカーへの情熱は何処へやら。ライブの大型イベントに参加することが目的になってきた。また、家に篭りながら、ポーカーしようかなあ。やめようかなあ。そんな感じでした。



そんなとき年末に近づき、GG 150 Bountyのヘッズアップのお相手から麒麟児戦のことを教えてもらったことを思い出しました。

ヘッズアップが終わり、写真撮影が終わった後、『麒麟児戦の権利がないのが一番ショックです。』『麒麟児戦ってなんですか?』『優勝した人だけが出られるトーナメントです。』『え?それ、僕も出られるんですか?』『余裕で出られますよ!!!300人以上参加してたので。年末にありますよー。』


出るしかない!調べました!名人戦?日本トップの人たちと戦えるチャンスあり?やるしかない!!!気合が満ちてきました。すぐさまエントリー登録。


麒麟児戦当日。久々に気合を入れて挑戦!day1突破!day2飛び!40位くらいでした。

名人戦出たい!白虎!飛び!

ティルト状態入っていたし、やりすぎたなあ。反省。

これでポーカー納め?やり足りない!!!そうだ!来月のJOPTメイン出よう。サテライトは?出られるの日程的に今日だけだ。参加!飛び!ターボ苦手。無理。

翌日、ポーカー納めにストラクチャー良しのブラカップ!!FTバブルで飛び!!ブラカップでは色々なことを試しましたが、やはりタイトにベーシックにポーカーをするのが自分には向いていることを、年末最後のライブトーナメントで再認識する良い機会となりました。



年明け。2023年、どんな年にしよう?去年はJOPTのメインに出ることが目標だったけど、今年はトロフィーがもう一つ欲しい!でもメイン出れない!うーん、PPCかー。前回は全然ダメだったしなあ。でも出るか!やるしかない!!!いえす!!!


と、今回のPPCへの参加へと至りました。


〜〜〜〜〜〜


ここからは本題!今回のPPCへ!


今年初のトナメ!正月に一人作戦会議!!!

まずストラクチャーを確認。45分ブラインド、ストラクチャー良し。エッジ出そう。

いままでの反省を考えると、

①ルースアグレッシブは自分のスタイルには向いてない、②今まで結果を残せたときは相手へのリスペクトが高いとき、③ストラクチャーが良いから無理をする必要はない、④チップを持った時も落ち着いて丁寧にプレー、⑤ビックポットを取った時・失った時こそ落ち着く、⑥どれだけチップが少なくなっても諦めない(無駄なプリフロオールインはしない・ポストでエッジを出す)

タイトに丁寧にバリューを取り、相手を観察する!やりすぎない!病気を出さない!



PPCエントリー!!!



今回のトーナメントで集中しながら観察していたことは主に7つ。というよりも、いつもと同じ。

①有効スタック数、②アグレッション(各ストリート)、③CB頻度、④ベットサイズ、⑤BBのディフェンス頻度、⑥オープンレンジ、⑦コールレンジ


常に有効スタックを確認し、相手の考えていることは何か?アグレッシブなラインをどれだけ取る相手なのか?CB頻度やベットサイズは適切か?ショーダウンになった時のバリューハンド、ブラフハンドは適切か?を常に集中力を切らさずに確認していました。(day2終盤は集中が切れている場面があり、反省です。)


特に序盤は、色々な方がいらっしゃるため、例えばペアボードやモノトーンボードなど、ベットサイズやCBの頻度に一定の特徴が現れるべきボードテクスチャーで、どの程度のベットサイズを用いてCBまたはCheckしているのかなどを確認し、一見上手そうに見える方でも相手のポーカーの理解度や実力を図っていました。

あとはテーブルで話している内容、チップやカードの扱い方で、その人の経験やスキル具合を検討できるのはライブMTTの利点かもしれません。

あまりにポーカーを理解していないと思われるプレイヤーには、こちらのベットサイズテルも理解されるわけもないので、サイズを調整しながらバリューを最大化するように努めました。また、タフにレイズをされていると感じる場面でもエクスプロイト気味にフォールドする事を意識し、自分のチップを減らさずに、後のメイドハンドで全弾を取る気持ちで。あくまでも分散は小さく、バリューは大きく!!!(ウサギさんの言うところの"気合太郎"の可能性も大いにあると思いつつ)

それに加えて、何でもかんでもCBを継続しているタイプの人も序盤は多く見受けられるため、よく観察していました。複数のベットサイズを使っているのか?バリューやブラフのベットサイズにテルがあるのか?等々を必ず確認するように、各ストリートのアクションを振り返ったりしていました。今までのメインのday1も麒麟児のday1も、この作戦で行った時は、全部通過。きっと上手くいく。


そんなこんなで、day1序盤は観察です!ワニのように、水面からじっと観察!

観察終了!!!といった感じで、序盤に、まあまあチップを持ちましたが、あくまでもタイトに!丁寧に!無理をしない!バリューを取り切る!を目標にプレー。

テーブルチェンジもday1は複数回ありましたが、同じスタンスでじっと観察。

きっと周りの方からは相当タイトに見られていたと思います。何せ、VPIPはいつもの半分〜2/3くらいに抑えていたので。またポストフロップもアグレッションを落として、分散を小さく!!!

みさわさんがJOPTの解説で仰っていた"暴走機関車"がいつもの僕のやりすぎるときのスタイルなら、それの真逆を行くスタイルで。


というよりも、僕の場合はこれくらいが適切なのかもしれないと途中で気付きました。僕からバリューしか出てこないもんだから、相当バリュー過多だと思われていたので、むしろ自分から宣伝し始めました。『ブラフないですよー。』と。

その効果だとおもいますが、day1でもブラフが要所要所で決まったなと。

まあ、みなさん降りまくってくれました、、、


day1は残り76人/748人。アベレージが30万弱で、僕は38万9千点。途中50万まで行ったけど、チップを減らしてしまった。

まあ、上出来!!!病気と発作も出なかった!完璧!隣のお兄さんに、『明日同卓できたら良いね。グッドラック!』とキムタクばりに爽やかに帰宅。


ふー。疲れた。明日も目標は同じ!プリフロはタイトに、ポストはやりすぎずに、バリューを最大化!!!就寝‼︎なかなか寝付けず、翌日朝に。


新宿駅には早めに着く予定で出発も、途中で腹を下す。寒さなのか緊張なのか。渋谷で途中下車しようと逡巡するも、新宿まで粘る!!!いける!まだいける!山手線がんばれ!いや、暴走機関車がんばれ!!!
電車を降りて走り出し、暴走機関車状態!今日は持ち堪えた!!勝ち。

新宿駅西口近くのトイレ、先着一名、負け。

幸先悪い。朝からバットビート。


そんなことをしつつ、11:00から開始のday2に遅れて到着。初めての起床サテ通過失敗ではなく、お腹サテ失敗という珍しいパターンで、テーブルへ。もちろんテーブルには全員着席済。隣のお兄さんに、ブラインド通過しましたか?と確認も、ちょうどボタンスタートで、次がビックブラインドですよ!と。一週目で到着したみたい。勝ち。今日はリバーでアウツ2枚を引けそうな日。


day2も序盤は観察!!!丁寧に丁寧にバリューとブラフを織り交ぜて。ブラフ多そうな人には、チェックレンジ強めで打たせてショーダウン。day2もバリュー過多ですよ週間を実践。

発作が出ないように集中!!!徐々にチップが増えていき、途中、フラッシュオーバーフラッシュで、スタックが約2倍になり、150万近くまで。


メディアです!チップリです!に対して、『そうなんですか?』と格好つけすぎました。普通に、分かってました。ごめんなさい。

後でカメラマンが来るので写真お願いしますって言われていたのだけれど、いつのまにかTwitterに載ってました。


やっとこさ、ハンドフォーハンド!二百万点以上持ってる状況。絶好の得意な状況‼︎ここでいかにアグレッシブに行けるかどうか!いや待てと。

ここでスタック崩壊させることに意味があるか?ない!!!タバコ休憩。ハンドフォーハンド中に。むしろ、滾らないように離席。そう、スタックがある時こそ注意、落ち着け!!!自分をエクスプロイトしていく感覚。割と早めにハンドフォーハンドが終了。この後、ルースになる人が多いから注意が必要と自分に言い聞かせる!

COオープン、BTNコールに対して、SBから僕がAQsで3bet、BBから100万のリスチールALL in。長考するもコール!!!相手AKo。スタック半壊。120万点に。まただ。やってしまった。あれほど、ダメだと言い聞かせていたのに。でも降りられなかった!!!!泣きそう!!!

離席して立て直し。状況をきちんと整理して、やり直す。絶対に諦めない‼︎今日は絶対に優勝すると決めてきたんだ!!!

残り16人でアベレージよりちょい下。今日もどうせ同席者からはダイヤモンドのように硬そうに見えてるはずだ。タイミングを狙って、ショートに圧力をかける?いや、同じくらいのスタックの人を狙うべきだ。ショートがいるのに、ぶつかって、飛びたくないはず。冷静。今日は冷静。タイミングとシチュエーションを考える。きちんと状況が整理できている。但し、無理筋だけはダメなのと、ICMが効いてきている状況。そのうちFTバブルも起こる。それまでにスタックを回復したい。丁寧に丁寧に。徐々にスタックを回復。


見え方、ボード、完璧なシチュエーション、スタックをカバー、リバーでエアーでOOPから特大ドンクオールイン!!!お相手は2PをショーダウンしながらFOLD。上手な人でよかった。ふう。


アグレッシブなラインを取るときの精神状態において、選択肢の順番が圧倒的にレイズ(ベット)になっていたことがかつての敗因。今でも、あのドンクオールインは正解か、不正解か分からない。今回のPPCを通して、唯一の"病気"が出た瞬間。でもきっと、今トロフィーが手元にあることを考えると、あのオールインが勝因で、決め手となったハンドの内の一つなんだと思う。だけど、全く同じシチュエーションが来たら次はチェックフォールドのラインでまわすと思う。チップは命であり、1bbでも残っていたら優勝の可能性はある。それは、去年のJOPTで身に染みている。少しでも優勝の可能性を残した方が良いかなと、少しばかり大人になった。



ついに10人まで来た!ショートがALL in、僕の手はKK。コール!300万点。残り9人、FT確定。



FTが整えられている最中に日本のプレイヤーの中でも、勝手にだいぶ尊敬させて頂いている前述のUさんが近くにいらっしゃった。後でわかったのは、メインに残られているお仲間を応援しにいらっしゃってたみたい。同卓した時にプレーラインの綺麗さに驚き、ああ、ポーカーはこうやってやるのかと感心したうちの一人。

Uさんに思わず『作戦をください。三百万点で、セカンドです。』『優勝を目指すべきです。』『三位以内でも結構プライズ大きいと思ってます。』『優勝意外は価値ないです。』そう!絶対にUさんなら、その通り答えてくれると思ってました!吹っ切れました。もはや頭の中からICMという言葉が消えた瞬間だった。


FTの開始前に、休憩時間があり、落ち着きながら、どうやってトロフィーを持ち帰るかと考えた。とにかく考えた。

まず、目的はプライズではなくトロフィー。そこにしか価値はない。

観察しよう!!!プレイヤーを3パターンにまずは分ける。①ICMを考慮しガチガチになっている人、②ギアを上げすぎている人、③どちらでもなく中間でバランスを取っている人の3パターン。

またチップ量に対してどのようなプレーラインを指向する人が多いのかについても考えた。チップリは、圧力をかけようとしてくると仮定(のちにFT開始後、この仮説は開始数ハンドで確信に変わった。)ショートはICMを考慮すれば、相当に縦長なプライズになっているため、自分よりショートがいる場合は飛びたくない。でも、一番ショートはオールインスチールの価値が高い。中間の人は、ショートになりたくない。つまり、チップ量が中間の人は①パターン、ショートとチップリは②パターン。仮説があっているかどうかは、FTで確認。またスタック数も常に把握しながら、①②③のどのパターンに入り得る可能性が高いのかも、自分のアクションに考慮することとしたい。

僕の作戦はもちろん③でいく。チップ量は相対的に、全体の1/7程度保有しており、50bbと余裕がある。また、バランスをとりながら、俯瞰的に頭の中を覗かせてもらうつもりでいた。今日はいたって冷静な判断を下せる日だ、優勝は後一歩まできている。そしてなによりもチップがある限り決して諦めないこと、無駄なオールインはしない、ポストでエッジを出すこと。つまり、①に抵抗されたら、レンジ全体の相当程度強いところ以外は諦め、②に抵抗されたら、フロートしつつ、ハイカードやドローを含む一定程度のエクイティのハンド以上の部分で勝負をすることを作戦とした。また、ウェットなボードテクスチャー等の相手にアウツが残りうるボードでは、とにかくポットを焚き上げないように注意することとした。

FTのメンバーでセミファイナルのメンバーからすれば、僕の戦略は①に見えるだろう。そのため、僕に対してだけ②の戦略を使ってくる可能性の人もいると考え、チェックレンジの強化を含めたカウンターエクスプロイトも必要かどうか考えていた。


さあ、勝負の始まり!!! 

前回優勝時のFTでは、開始前に保持チップ数の申告があり、それを確認しながら対処していたため、フロアに『チップ数を教えてほしい。』との要望を出した。しかし目視での確認との回答があったため、後ろに隠れているチップの色をまずは確認することから始めた。

FT開始直後からチップリが圧力をかけ始め、また、全体的に、かかってる②タイプが多いことに気がつき、①パターンの人が少ないことに気がついた。これはチャンス。予想通り、早めの段階で、どんどんと人数は少なくなっていき、僕はフロートしながらもエッジを出していく作戦が功を奏し、平均のアベレージ以上を常にキープしながら、どんどんとFTの人数が少なくなっていく。ターンやリバーのタフなスポットは放棄し、ポジションの優位性や、強いレンジでのチェックやブラフを織り交ぜることを意識。とにかくポットをコントロール。状況次第ではあるが、10bb以上のショートのオールインは、プレミアハンドでないと一切受け付けない心づもり。このFTでは、チップを減らす覚悟で、チップを増やすことに価値はないと認識した。ナッシュレンジくそったれ、ファックGTO!!!スモールボール作戦。いや、BB弾作戦!

残り4人にまできた。外側で見ている限り、僕以外の3人は、チップは常時変化しつつも、常に②パターン。これはラッキーだと素直に感じた。誰かのチップが増えるのは一向に構わない、自分のチップが減らなければ良い。ヘッズアップまで持ち込み、チップ量が2対1までであれば、許容できる範囲であり、そこで対処しようと考えていた。

そんなこんなで、またしても誰もFTで飛ばすことはなく、悪く言えば自分の手を汚すことはなく、残り3人となった。チップ量は平たい。ただ、②タイプの二人がそのままのアグレッションを維持していたことから、適切に頻度でブラフを混ぜることで、ダイヤモンドの僕へと自然とチップが寄ってくる環境が出来上がっていた。チップ量が、縦長になってきた時、ショートがオールイン、それに対して後のヘッズアップのお相手がコール。一枚フラッシュで、ヘッズアップ確定となった。この段階で、チップ量はおよそ1対1。あとは、自分の実力を信じて戦うのみ。

クロックはそのままとのことであったが、二人仲良くタバコ休憩。正直ここまできたら、もちろん優勝しか見えていなかったが、諦めがつく。良くやったといえる。むしろ、作戦勝ち。お相手のお兄さんは、めちゃくちゃナイスガイで、男が惚れそうな程だった。『お兄さんの危険察知能力が半端じゃないです。』とのお褒めの言葉をいただいたのですが、フロートしていたこと、タフスポットを避けていたこと、シチュエーションを相当に考慮していたことが要因なのかと思います。毎回毎回、僕のヘッズのお相手はナイスガイが定番みたいだ。


ヘッズアップについては、10万-20万 ante20万という、お互い50bbスタートと割と深いヘッズアップとなりました。最終的には、15万-30万ante30万で終わり。ヘッズの作戦と、途中経過については、僕の心の中に留め、特段記載しませんがラストハンドのみ。ただヘッズになってから、ナイスガイのお兄さんは②→③と変わり、むしろやり易くなった印象でした。
ラストハンド時にスタックは多少僕がカバーしている状況でした。


〜LAST HAND〜

SB(Hero) Tc2c

BB(Villain"nice guy") AsAh

flop Th2s4s

turn 6d

river Js


アクションは想像にお任せします!!!

見てくれるかわからないですが、ナイスガイのお兄さん、またやりましょう!ヘッズ楽しかったです!お兄さんが相手で最高でした‼︎

終わった瞬間は緊張がほぐれ、安堵の方が大きかったと思います。あー、疲れた。

メインステージでの写真撮影を促されましたが、翌日も仕事だったため、そそくさとFTでの写真撮影を済ませて帰宅。華やかな写真撮影とはいかずソロでの写真撮影のみで終了。

トロフィーは前回のトロフィーやメダル、チップリーダー賞やスプリンター賞のプロテクターと一緒に、自宅にひっそりと飾っています。ただ、まだまだ空きスペースはあります。JOPT二勝目となったものの、未だに自分の実力は正直測りきれていません。生涯をかけても収束しないと言われるトナメの上澄みを掬っているのにすぎない可能性もあるからです。これからも、空きスペースを埋められるように、思考実験を繰り返していこうと思います。


とはいえ、二年連続で年初めのMTTでJOPT優勝というなかなかない経験をさせてもらい、今年の目標を早々に達成してしまいました!今年は、どんな一年になるのか。
ジンクスとすると来年のWSOPのmainまで、トーナメントに出ない方が良いのでは?とも思うのですが、次なる目標はまだ模索中です…

ここまで読んでくださる方はいらっしゃるんでしょうか?そこのあなた!!!どうも、ありがとうございます!良いお年を!良いポーカーライフを!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?