スパイスウォーズ 第三話

毎週金曜日の20時からRBCにて放送されているラジオ番組「シンカの学校」に投稿した文章です。採用されたのは一部でして、このまま闇に消えるのも勿体無いのでここに書き出しておこうと思います。なお、他の方が採用されて設定が変わるため、物語の前後が噛み合わない所もあります。

スパイスウォーズ 第三話
学校から帰宅してもずっと考えていた。
産休の代理で赴任して来た比嘉先生は、何やら秘密を抱えている。裏門で話してたあの綺麗な女性は誰なんだろう。そしてみさきから「比嘉先生は初めて見る顔ではない」と言われたこと。
何だか謎だらけだ。
「こういう時はいくら考えても思いつかない。寝よう。」そう自分に言い聞かせ、目をつぶって数分、私はベッドから飛び起きた!
「あの人だ!間違いない!」
私は1人興奮し、横になりながら朝を待った。

翌朝、朝一番に登校した私は生徒会室の前に立っていた。
ここには歴代のスターカレーパン購入上位者が顔写真付きで掲示されていた。百名以上も並ぶその掲示板は圧巻で、みな自信に満ち溢れた表情をしていた。端から順に見ていく。そしてお目当てのものを見つけた。
「やはり、私の読み通りでやんしたね、美鈴氏」
「うわっ!どこから出てきたみさき!」
「さっきからいやしたよ。ほら、間違いないでしょ?」
「うん、初めてではなかったね」
そこには、若かりし頃の比嘉先生が歯を光らせながら笑顔で写っていた。彼はスターカレーパンのヒエラルキーのトップにいた人なのだ。しかも初代ではないか。
「初代という事は、彼らの学年が始めたんでやんすかね?」
「そうかもね。一度先生に聞いてみようかな」
その時「ガタン!」と誰もいないはずの生徒会室から物音がした。みさきと顔を合わせ、そっと部屋の中を覗いてみた。
中には比嘉先生がいた。少し引きつった表情で何やら星の模様がついたカバンを持っている。
「あっ、それはもしかして伝説のスパイスのレシピ!」みさきが叫んだので先生に気づかれた。
「君たち…見ていたのか…そしてこれを知っているのか…」
先生の顔は怒ったような悲しいような、不思議な顔表情をしていた。みさきが慌てて早口で続けた。
「いやいやいや、学校の都市伝説みたいな噂で知っただけなんすよ。何処かにスターカレーパンのレシピが有るって噂を七不思議同好会のパイセンから聞いただけなんです。それだけなんすよー!」半分泣きそうになっている。
先生が一歩前に来る。
「僕も半信半疑だったが、噂は本当だったよ。まさかこんなあっさりとレシピが見つかるとはね。これで本社に報告出来る」
私は突然の展開に戸惑いつつも聞いた。
「本社?先生は一体…」
また一歩近づいて来た。
「僕?僕はね…このスターカレーパンのね…」

「待て!そこまでだ!」
後ろから知らない男の人の声がした。振り返ると驚いた。
「あ、あなたは!」
続く

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