スパイスウォーズ 第一話
毎週金曜日の20時からRBCにて放送されているラジオ番組「シンカの学校」に投稿した文章です。採用されたのは一部でして、このまま闇に消えるのも勿体無いのでここに書き出しておこうと思います。なお、他の方が採用されて設定が変わるため、物語の前後が噛み合わない所もあります。
すーずー、いっちゃん先生、くにひろ先生こんばんは。ラジオネームTEY(てい)です。
遅くなりましたが演技の時間第二弾、考えてみました。闘い、学校、カレーパンのテーマなので、きっと似たような話が来てると思いますが、ご一読下さい。
タイトル 闘う学校 第一話
SE(学校の鐘の音)
4校時が終わりお昼休みになった。
いよいよ闘いが始まる。
そう、我が久茂地高校の売店で繰り広げられる、パン争奪戦。中でも一番人気は稲福製パンさん特製の数量限定のカレーパン。コクがあってまろやかなカレーが柔らかいパン生地に包まれている。出来立ても美味しいが、時間が経つとカレーの風味が増して更に美味しくなる、まるで美味しさの魔法にでもかけられたかのようなカレーパン。思い出しただけでヨダレが止まらないぜフフフ…おっと女子にあるまじき行為だ、慎もう。
紹介が遅れたね。あたしの名前は天願ハルカ。久茂地高校の2年1組出席番号1番の少しオタクな女子だ。見た目は細身の黒髪サラサラで顔はまあまあ、鼻は少し高いかも。将来の夢はモデルだがもう少し身長が欲しいところ。牛乳もっと飲まないといけないかなー。
おっとっと、話が脱線してた。許しておくれ。
そう、今日もカレーパンを巡っての闘いが始まるのだ。鐘の音はスタートの号令で、私たちは一斉に教室を飛び出す。廊下は走っちゃいけないけど知った事か。どうせ全員走ってるから先生方だって止められない。むしろこういう時は先生方に勝ち誇った気分でニヤニヤしながら走ってる。我ながら不気味だ。
そうこうしているうちに売店に到着。既に近くの教室から飛び出した3年が買い物を始めている。私のお目当てのカレーパンは…まだあった!
残り少ないが今なら行ける!手を伸ばした瞬間、横から腕を掴まれた。
「それは私の獲物よ、天願さん」
「げっ!おまえは!」
そう、こいつは2年2組の出席番号2番、山里ミサキだ。友達じゃないんだけど、好みが同じなのか昔から同じものを取り合っている。そのせいで何でもかんでも競争になってしまうライバルみたいな存在だ。しかしミサキもカレーパンを狙っていたとは…。
「これはアタシが先に見つけたんだ!」
「私は角を曲がった時から見つけていましてよ」
「そんな訳あるか!どんな目をしてんだ!タカかお前は!」
「相変わらず下品ねえ。もう少しお淑やかに話せないもんかしら」
あたしはこいつのお嬢様言葉が大嫌いだ。大体金持ちでもないくせにお嬢様ぶってる所が気に食わない。なのに、何故かお付きみたいな女子を連れて歩いてる。アタシも相当だが、コイツもかなり変だ。タカは言った。
「今日はカレーパンが残り一個なんですの。私に譲ってくれた方が貴女も気分良いんじゃない?」
「どういう理屈だ!とにかくこれは私のだからね」そう言って手を伸ばした瞬間、誰かがカレーパンを取りあげた。
「「あっ!」」
ミサキと2人で声を上げ、カレーパンを取った主を見る。そこには見知らぬ男子が立っていた。イケメンだ。
「これは僕が買っておくよ。そしたら2人が喧嘩する事もないだろ?」
耳触りの良い声に聞き惚れ、校内なのに爽やかな風が吹いた気がした。
「それじゃ」
そう言うと風、いや彼は去っていった。
〜えっ、この人誰なの?めっちゃタイプなんですけど!こんな人ウチの学校にいた?転校生?〜
アタシが顔を赤らめながら妄想にふけっていたら、いつしか売店は閑散としていた。残されたのはミサキとアタシ。
ぼうっとした顔をミサキに向けると驚いた。
ミサキも顔が真っ赤っか。しかも目がハートになってる。
まさか…まさかまさかまさか、ここまで好みが同じなの!!
SE(始業の鐘の音)
私の心の絶叫と共に、カレーパンだけじゃなく、恋の闘いが始まろうとしていた。
続く
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