クールフォルテの3歳夏/秋ローテ検討

3歳になっても桃花賞2着、浦和桜花賞3着と堅実に良績を挙げているリアルダビスタのクールフォルテ。ちらほら関東オークス以降のローテーションについて聞こえてきたので、この記事でも検討を行っていきたい。

0.まず前提として―条件戦は出走すべからず

 この記事では南関での条件戦や古馬混合オープン戦は出走するべきではないという立場を取りたい。なぜならば、クールフォルテは東京プリンセス賞と関東オークスのどちらでも掲示板入りすらできない場合と東京プリンセス賞5着のみである場合を除きB1以上が確定しており、南関の古馬牡馬混合となる条件戦では非常に厳しいと言わざるを得ない相手をさせられるからである。
 例えば、ウインハピネスの南関B1クラスでの着順を見るに、もしB1で掲示板入りできるくらいの実力があれば、東海地区の古馬混合重賞を勝てるくらいの活躍はできるので、3歳の間に条件戦を使う必要はないと判断した。

1.関東オークス後にもう1戦する場合

では本題に入ろう。
まず、関東オークス後即休養に入らない場合について考えてみる。
この場合考えられるレースは

①スパーキングレディーC(川崎1600 中央交流古馬混合牝馬)
②ノースクイーンC(門別1800 地方全国交流古馬混合牝馬)
③オパールC(盛岡芝1700 地方全国交流3歳)
④ジャパンダートダービー(大井2000 中央交流3歳)
の4つくらいであろうか。

 このうち、①スパーキングレディーCと④ジャパンダートダービー(以下JDD)については出走するべきではないだろう。これはグレードレースの連戦となり疲労がかなりのものとなることが想定される上、スパーキングレディーCは中央オープンクラスまで上り詰めた牝馬とJDDは3歳限定とはいえ中央の牡馬とやりあわなければならないからである。もし関東オークスで嬉しい結果であったとしても流石に厳しいと言わざるを得ない。
 そして、残る2つのうち②ノースクイーンCは古馬混合の牝馬限定戦であるがここ最近の勝ち馬を調べると昨年のコーラルツッキーはエーデルワイス賞以来1年9か月ぶりの勝利であったり、一昨年の勝ち馬クオリティスタートは南関のB1B2条件戦で惨敗を喫していたりとレベル的には3歳牝馬上位であれば十分チャンスがありそうに見える。門別への輸送の後エクワインでの休養に直行することができるのもメリットであるといえるだろう。よってこのレースは十分有力たり得ると言える。また、例年通りであればシニスターミニスターの種付権が生産牧場に贈られるのもうれしいところか。(4月11日追記、今年からダノンスマッシュに変更になった模様。)
 もう一つの選択肢③オパールCは盛岡名物芝コースの3歳限定重賞である。3歳馬限定の定量戦であり、今年から500万円に賞金が上昇したことは好材料。芝適性を試す殆ど最後のチャンスであると考えられるので一応紹介までに候補に入れておいた。
 また、このようなローテーションを取る場合には、秋のレースは本番となるであろうロジータ記念やレディスプレリュードのようなレースを鉄砲で使って秋は2、3戦に抑えることが想定される。使うとテンションが上がりがちなクールフォルテなのでその方がよいかもしれないが、一応留意するべきだと思われる。

2.関東オークス後休養し秋3,4戦する場合

 次に関東オークス後即休養に入る場合について考える。
 この場合始動は早くて8月末と考えて候補となるレースは

①ビューチフルドリーマーC(盛岡2000 地方全国交流古馬混合牝馬)
②秋桜賞(名古屋1500 地方全国交流古馬混合牝馬)
③戸塚記念(川崎2100 南関東3歳)
④秋の鞍(名古屋1500 地方全国交流3歳)
⑤ダービーグランプリ(盛岡2000 地方全国交流3歳)
⑥レディスプレリュード(大井1800 中央交流古馬混合牝馬)
⑦サルビアC(川崎2000 南関東3歳牝馬)※準重賞

くらいが挙げられるだろうか。
 このうち①ビューチフルドリーマーCと②秋桜賞及び③戸塚記念については早めの始動が求められると考えられるため、関東近郊での休養となることが想定される。
 それぞれのレースについて見ていくと①は関東オークスで2000m走ることができる場合の、②は2000mが長いと見た場合のややレベルを落として重賞を取りに行く選択肢となる。いずれも南関で衰える傾向にある馬や、西日本では強豪であるが南関では足りない馬が勝つレースであり定量戦なので十分チャンスはあるだろう。なお、②については東海地区をドサ回りするローテを組む場合に最適となるであろうことを付言しておく。
 ③戸塚記念は関東オークスと同距離であり同レースの好走があって初めて検討に値すると言える。逆に言えば、一昨年のロジータ記念勝ち馬ルイドフィーネや2016年の勝ち馬ミスミランダーがこのレースを使ってロジータ記念を勝っているようにロジータ記念に直結するレースであると言える。しかし、「3歳秋のチャンピオンシップ」シリーズの創設やその最終戦にあたるダービーグランプリの賞金増額などにより、昔ほど「裏街道」と呼べない強力なメンバーになってきており、勝ちを見込むのは難しいかもしれない。
 ④秋の鞍は名古屋遠征であるが、昨年は後に名古屋で新たな覇者となるトミケンシャイリと黒船賞勝ち馬イグナイターが、一昨年は全日本2歳優駿勝ち馬のヴァケーションが参戦するなどレベルの高いレースになりがちである。その一方で関東オークス12着と全く振るわなかったミステリーベルンが3着に健闘するなど最上位陣と下位陣の二極化が起きているレースと解釈した方がよいかもしれない。距離短縮になるので、続くレースはこのレースに優先出走権がついている園田の楠賞(1400m)などになると考えられるが、そちらは優駿スプリント勝ち馬ワールドリングが出走するなどさらに激戦。このレースを使うとローテ構築が難しそうだ。
 ⑤のダービーグランプリは近年賞金が増額されていることに加え「3歳秋のチャンピオンシップ」シリーズのボーナス賞金が出るために東日本の強豪が殆どこのレースに集中することになっているのでレベル的に厳しい戦いが予想される。昨年ケラススヴィアが調子を崩したのもこのレースが始まりであり、ボーナス賞金が出るレースへの出走も想定されないため、正直に言っておすすめはしない。
 ⑥のレディスプレリュードは同コースの東京プリンセス賞やダートグレードの関東オークスで相当の実力を示した場合に、とにかくブラックタイプに残るレースを選択する場合に選択肢として挙がってくる。先に述べたスパーキングレディーCと同様に厳しい戦いが予想されるが、それを覚悟の上でならば夏の成長を考えれば悪くはない選択ではなかろうか。
 ⑦のサルビアCは昨年度の負担重量の条件が「基準重量 A級55kg B級53kg C級以下51kg。ただし、ダートグレード競走・JRA重賞競走の1着馬は2kg、南関東SⅠ競走の1着馬は1kg加増する。」という非常にA級馬に厳しい条件であることに鑑みれば、A級格付けを受けている場合は参戦するべきではないレースであるといえるだろう。一方でB級のままであれば有利な斤量条件で出走できるため、一転有力レースになる。ロジータ記念のトライアルレースであるが中3週と若干間隔が短めであるのは気になるところか。
 以上のように各レースを評価したところで、次項ではいくつかのコンセプトに合わせたローテーション試案を挙げていきたいと思う。

3.ローテーション試案

3.1 コンセプト:関東オークス好走、王道中長距離重賞へ向かう!
関東オークス→(2ヶ月休養)→戸塚記念→ロジータ記念→(勝島王冠、東京大賞典、東京シンデレラマイル等)
 このローテは関東オークスで好走以上の活躍をしてA2格以上であることをを前提に、牡馬混合戦ながら本番へつながりやすい戸塚記念、本番としてのロジータ記念、エキストラレースとなる何らかのレースの秋三走のローテである。このローテの長所は南関東を離れないため、遠征による疲れの懸念がないことか。一方でレースレベルは高くなるため、その方面の体調には細心の注意が必要にはなるであろう。

3.2 コンセプト:クラシックは完敗、しかし適性は中長距離だ!
関東オークス→(2か月半休養)→サルビアC→ロジータ記念→(東京シンデレラマイル、報知オールスターC、条件戦)
 このローテはクラシックで完敗しB1またはB2格であることを前提に、トライアルレースであるサルビアC、本番としてのロジータ記念、最後に何らかのレースを走る秋3走のローテ。このローテの長所は福田師の重賞勝ち経験のあるローテーションである点だろうか。一方このローテに進む場合重賞勝鞍を加えられない可能性は高いので3.43.5を検討のこと。なお、休養期間を短縮しサルビアCに代えてビューチフルドリーマーCを選択する案もある。このローテならば重賞勝鞍を狙える。

3.3 コンセプト:クラシックで力は示した。後はダートグレード実績のみ!
関東オークス→(2か月休養)→レディスプレリュード→JBCレディスクラシック→クイーン賞
 このローテは春クラシック東京プリンセス賞で嬉しい結果が、関東オークスで悔しい結果が出たことを前提に、とにかくダートグレードレースで結果を残してブラックタイプに貢献することを目指したものである。かなり厳しい戦いが予想されるが、血統表のためなら致し方ない。なお、JBCレディスクラシックに代えてロジータ記念とする案や、JBCをパスしてTCK女王盃に備える案もあることも付言しておく。

3.4 コンセプト:力はあるが勝ちきれない…門別で初タイトルを加えん!
関東オークス→ノースクイーンC→(2ヶ月半休養)→ロジータ記念→(東京シンデレラマイル、クイーン賞等)
 このローテはクラシックどちらも好走するものの勝ちきれず、無冠の女王状態となったときにそれを解消すべく門別遠征を決行し、秋は2走に抑えるローテである。このローテの一番のメリットはエクワインへの輸送ついでにレースに出ることができることであろう。また、ロジータ記念の次は明け2走目になるため、多少詰めてクイーン賞を使ってもさほどテンションが上がらないと考えられることはメリットか。

3.5 コンセプト:南関中長距離では実力不足…距離短縮し全国回りで重賞を!
関東オークス→(1か月半休養)→秋桜賞→秋の鞍/ゴールド争覇→笠松GP→東京シンデレラマイル/ゴールドスプリント
 このローテは南関中長距離は距離が長く、完全に実力不足であるという結論に達した場合、とにかく勝つために短距離~マイル各地の重賞をドサ回りするローテである。起点1走目には秋桜賞を選択し、そこから東海の重賞をドサ回り、最後に佐賀まで足を延ばすか地元に戻るという案だ。このローテは現実には騎手が距離が伸びた方がいいと二人口を揃えていることから殆どあり得ないローテにはなると思うが、何が起こるか分からないので一応組んでおく次第。

3.6 コンセプト:芝殴り込み!今年の秋華賞馬はこのあたし!
関東オークス→オパールC→(1か月休養)→紫苑S→秋華賞/OROカップ→(ターコイズS)
 殆ど与太話の部類であるが一応思いつい(てしまっ)たので末尾に掲載。オパールCで芝を試して上手くいった場合に中央の紫苑Sで牝馬3冠最後の秋華賞に挑戦。万が一権利を手に入れてしまった場合は秋華賞へ、権利が手に入らなければオパールCに付属する優先出走権片手にJBCデーのOROカップへ向かい、近所の牝馬限定重賞のターコイズSへ向かうローテである。最初に書いたようにほぼ与太であるが、オパールCでダメなら3.4などに合流させることもできるので試すだけなら悪くはないかも…?

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