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テクニックより世界観を磨く

前回の投稿でビデオグラファー は「撮影編集技術を持ち合わせた映像ディレクター」という内容を書きました。

こう言うと「いくら機材の操作が簡単になったからって浅く広くになるんじゃないの?」という疑問が真っ先に思い浮かぶと思います。
答えはまさにその通りです。ビデオグラファー の技術力は基本広く浅いです。撮影なら撮影だけに全てを捧げているカメラマンにはやはり敵いません。

従来の映像業界はディレクター、カメラマン、編集マン、照明マンなど役割がはっきりしていました。しかしこれからは何でも出来るビデオグラファー(ディレクター)専門分野に特化したスペシャリストだけが残っていく時代になると思います。ここでいう「スペシャリスト」とは撮影、照明、音声、CG、美術など映画やCM 制作に必要なハイレベルな機材の操作と監督の支持する世界観を緻密に作り上げる技術力を持った人達のことです。
ビデオ屋さんレベルの技術者は「スペシャリスト」とまでは言わないと思います。

しかしスペシャリスト顔負けの技術力を持っているビデオグラファー は存在します。そういう人たちは一貫して独自の「世界観」を持って制作をしています。

「世界観」というと何かアートでフィクションな印象を受けますが、全ての映像には多かれ少なかれ「世界観」は必ず存在します。カメラで切り取った世界はもう現実では無いので新しく別の世界に作り変えなければなりません。どんな「映像世界」に作り変えていくかがビデオグラファー の個性になります。

はっきりとした「世界観」のイメージを持ち、言語化出来る人はその「世界観」を作るのに必要な技術のみを徹底的に磨いていきます。映画的でアートな映像が好きであれば写真のような構図作りやカラーグレーディング が得意になったり、ロックな世界観が好きであれば激しいカメラワークと編集が得意になったりします。

しかし自分の「世界観」に必要な技術、知識、機材にはとことん詳しい反面、苦手なジャンルでは極端にクオリティが落ちてしまうのが欠点です。
本当は全ての技術をバランス良く向上させていくのが理想ですがやはり時間がかかってしまいます。

今は変化が早く、ネットで記憶に残る作品が注目を浴びる時代です。時間をかけてバランス良く修行するよりも、とにかく1つの「世界観」を極めてから技術の幅を広げたほうが日の目を浴びる機会は多いのでは無いでしょうか。
自分の「世界観」が明確になれば「必要じゃない機材」「磨かなくていい技術」も明確になり短時間での成長が可能です。

最新の高い機材を買って、使いこなせたところでビデオグラファー としての価値はそれほど上がらないです。
なぜならその機材はあなただけが持っている訳では無いからです。
独自の「世界観」に特化した 表現力と技術を持たず、何でも出来るが何にも出来ない人は都合の良い「便利屋」になるしかありません。

大前提として映像の基礎知識と基礎技術の習得は全ての映像関係者に必要です。さらにその先で「スペシャリスト」では無く「ビデオグラファー 」という道を選ぶのであれば技術では無く、とにかく自分の表現したい「世界観」を磨くのが何よりも効果的だと思います。



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