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【#香港国家安全維持法】 何もかもが手遅れになる、その前に。ー香港と沖縄の自由と社会正義ー

皆さん、こんにちは!社会問題と向き合う人のクラウドファンディング GoodMorning(CAMPFIREのグループ会社)ファンドレイジングプランナーのてっちゃんです。現在、沖縄に生きるすべての子どもたちが誰一人として見過ごされず、包摂される社会を実現するために、仲間と一緒に沖縄での事業の立ち上げに向けて、準備を進めています。

今回は、先日施行された「香港国家安全維持法」について、一緒に考えていきたいと思います。肥大化する中国の権力が「一国二制度」を形骸化させ、ジワジワと香港の自由を蝕み、遂にこの日が来てしまいました。

施行から10日、コロナウイルスや九州豪雨など、世の中の関心ごとに押し出され、既にメディアに情報を取り上げられることすら少なくなってしまった「香港国家安全維持法」により蝕まれる香港の自由と、そこから考える沖縄の普天間基地の移設問題、そして今のわたしたちに出来ることについて、考えていきたいと思います。

1. 正当化された香港への暴力的な抑圧

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香港の民主化デモは、つい最近始まったかのように感じられる報道を目にすることが多いですが、普通選挙を求めた雨傘運動(2014年)や「逃亡犯条例」改正案の撤廃を求めるデモ(2019年)など、香港市民は長年にわたり「自由」と「社会正義」を守るために、声を上げ続けてきました

なぜ危険を冒してまで路上に繰り出し、身を粉にして警察の暴力と戦いながら、声を上げ続けるのか?それは淡々と遂行される中国からの抑圧に対して、それ以外に為す術がなく、自分の命を危険に晒してでも、路上に繰り出して、警察の暴力と戦い、声を上げ続けるしか、彼らの「自由」と「社会正義」への道が残されていなかったからだと思います。

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2019年の「逃亡犯条例」改正案の撤廃を求めるデモから、過激化したデモ活動とそれに対する警察の暴力により、多くの死者や負傷者が出てしまいました。警察が若者に対して躊躇なく拳銃で発砲する、衝撃的な映像を覚えている方も多いと思います。

そして、「逃亡犯条例」改正案の正式撤回が発表された2019年9月以降も、普通選挙の実現やデモの暴動認定の取り消し、警察の暴力に関する第三者調査、デモ参加者の釈放を求めていましたが、ついに先日「香港国家安全維持法」が施行されることになってしまいました。

「香港国家安全維持法」について現段階で明らかになっていることについて、7月1日(水曜日)のBBC NEWSは以下のように報道しています。

新法は香港の永住者と非永住者の両方に適用される。以下の内容が含まれている。
(1)国家からの離脱、転覆行為、テロリズム、香港に介入する外国勢力との結託といった犯罪を犯した場合、最低3年、最高で無期懲役が科される
(2)中国中央政府と香港の地方政府への憎悪を扇動する行為は第29条違反となる
(3)公共交通機関の施設を損傷する行為はテロリズムとみなされる可能性がある。長期にわたるデモでは、抗議者たちは市内のインフラを標的にすることが多かった
(4)有罪となった者は公職に立候補できない
(5)中国中央政府は香港に新たな保安施設を設立し、独自の法執行官を配置する(施設も法執行官も香港の地元当局の管轄外となる)
(6)香港特別行政区行政長官は国家安全保障事件における裁判官を任命できる(香港の法務長官が陪審員の有無を決定できる)
(7)地方自治体が設置した国家安全保障委員会の決定に対し、法的な異議申し立てはできない
(8)中国が「非常に深刻」とみなした事件の起訴を引き継ぎ、一部の裁判は非公開で行う
(9)外国の非政府組織や通信社の管理を強化する
(10)同法第38条に基づき、非居住者が海外から同法に違反したとみなされる可能性もあるとみられる

つまり、香港市民の「自由」と「社会正義」を求めるデモ活動は、「香港国家安全維持法」違反の対象となり、警察が暴力的に抑圧し、逮捕することが正当化されてしまったということです。

実際に「香港国家安全維持法」の撤廃を求めた香港市民が施行翌日の7月1日に370名以上が逮捕され、うち10名は「香港国家安全維持法」違反した疑いがあるとされています。主に「香港独立」の旗やステッカーを所持し、「香港独立」を叫んでいた人です。

それに伴い、香港の民主化団体は解散し、香港国家安全維持法が成立した6月30日の夜、香港の民主化運動を先導してきた周庭(アグネス・チョウ)さんも、Twitterで政治団体デモシストからの脱退を表明しました。

それを良いことに、正当化された香港への抑圧は更に加速し、治安機関「国家安全維持公署」を開設されたり、香港の図書館から民主活動家の本が撤去されたりと、声を上げる自由だけではなく、この問題について知る自由すら、わずか10日の間で蝕まれてしまいました

香港市民が長い歴史の中で、身を粉にして求めた「自由」と「社会正義」が、正当化された抑圧によって簡単に打ち消される、最悪の現場を目の当たりにすることになってしまいました。

「逃亡犯条例」改正案の撤廃を求めるデモが話題になってから約1年間、僕は香港の民主化デモに関するニュースを、テレビの前でただただ眺めることしかできませんでした。そして、あっという間に香港の掲げる「自由」と「社会正義」は奪われてしまいました。日本にいる僕にできることは、本当に何もなかったのだろうか?と考えても、もう手遅れなのかもしれません。

2. 淡々と遂行される沖縄への抑圧

この一連の出来事は、決して対岸の火事ではないと思います。日本国内にも「政治」という名の下で行われる身勝手な権力の行使と、淡々と遂行されている抑圧が存在します。その一つが、6月23日の「慰霊の日」にも投稿した沖縄県の普天間基地の移設問題です。

2019年に行われた県民投票で投票総数の7割を超える方が「反対」したにも関わらず、先日行われた県議選では、辺野古新基地建設への対応に「反対」と答えた候補者が24万550票を集め、全体の59.6%になったにも関わらず、何事もなかったかのように、県民の民意を無視して、辺野古新基地建設は今もなお進んでいます。

先日、専門家チームが震度1以上で護岸崩壊する危険性があるという解析結果を発表しても、「耐震性は技術基準に基づき適切に設定されている(菅義偉官房長官)」「専門家から意見を頂いて計画を作っているので、その通りやる(河野太郎防衛相)」と問題視しない考えを示しています。

県民の民意はことごとく「沖縄県民の心に寄り添う」はずの政府に無視され、辺野古新基地の前で座り込みをして抗議する県民は警察の暴力で排除されています。その姿と、民主化を求めてデモ活動をする香港市民とそれを暴力で鎮圧する警察の姿を、重ね合わせて考えた人も多いのではないでしょうか?国内にも「政治」という名の下で行われる身勝手な権力の行使と、淡々と遂行されている抑圧が、確かに存在しています。

3. 今のわたしたちにできること

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しかし、沖縄県の普天間基地の移設問題には、一縷の希望があると思います。それは(1)辺野古新基地の工事が未だ全体の数%程度しか進んでいないため、まだ引き返すことができる位置にあること、(2)わたしたちには、この問題について「知り」、違和感や不正義に対して「声を上げる」道が残されていることです。

わたしたちには、普天間基地の移設問題について知り、声を上げることができる。それは至極「当たり前」のことだと思っていましたが、今回の香港国家安全維持法により、それが今のわたしたちが有する「特権」であることが明らかになったと思います。以下に今のわたしたちにできるアクションを挙げてみました。

僕もまだまだ勉強中なので、このnoteを読んで、一緒に学び、声を上げてくれる仲間になってくれたら、こんなに嬉しいことはありません。

(1) 『香港×台灣×沖縄の若者と考える 「香港国家安全維持法」をめぐって』 Choose Life Project

Choose Life Projectさんが7月11日(土曜日)20:00から「香港国家安全維持法」の施行から考える香港、台灣、沖縄の自由や自治、民主主義を考えるイベントを開催します。イベントに参加することで、この問題について深く知ることができると思います。

また、そんなわたしたちが、自由で公正な社会を実現するために、今本当に考えるべきテーマについて、一貫して、じっくり問い続けてくれるChoose Life Projectさんがクラウドファンディングに挑戦してます。重要なテーマを発信し続けるメディアを応援することも、問題解決に繋がります。

(2) 『軟弱地盤並に緩い政府の辺野古基地移設計画に一言』 せやろがいおじさん

お笑い芸人のせやろがいおじさんは、普天間基地の移設問題について、ユーモアを交えた、非常に分かりやすい動画を配信しています。せやろがいおじさんのYouTubeチャンネルを登録して、政治や様々な社会問題について勉強することができます。感想などをツイッターで投稿して、発信することも重要なアクションだと思います。

(3) 『中国現代史と香港デモ騒動!歴史を学べば今が分かる』 中田敦彦のYouTube大学

お笑い芸人の中田敦彦さんが、現代ニュースを過去の歴史から詳しく、分かりやすく解説している動画を配信しています。「この問題って、そもそもどうして発生しているの?」という前提からじっくり学びたい方におすすめです。香港の民主化デモについても、中国の歴史から丁寧に解説されています。

さいごに

沖縄での事業の立ち上げを予定している僕にとって、とりわけ一人でも多くの人に応援されてなんぼの寄付型の非営利活動法人を立ち上げる際、普天間基地の移設問題について言及することはリスクなのかもしれません。

なぜなら、当たり前のことですが、どちらかのスタンスを取るを言うことは、どちらかのスタンスを取らないということであり、そこに誰かと摩擦が生じる可能性を孕んでいるからです。僕が本土出身の人間であれば尚更だと思います。

それでもなお、僕が声を上げ続けるべきだと考えているのは、この問題が沖縄の問題ではなく、日本全体の問題であり、わたしたち一人ひとりには「自由」と「社会正義」を掲げて、この問題について知り、声を上げる道が残されているからです。

キング牧師は「最大の悲劇は、悪人の暴力ではなく、善人の沈黙である。 沈黙は、暴力の陰に隠れた同罪者である。」という言葉を残しています。政治的な問題はタブー視されたり、ちゃんと理解しないと発言してはいけないと感じたりする風潮があります。ただ、語ることでしか議論は生まれないですし、議論が生まれなければ考え方が深まることもありません。そして何より、語ることでしか、民意は示されないと思います。

そのため、まだまだ勉強中ではありますが、恐らくこの後も一生「勉強中」で完璧な日が訪れることはないと思いますので、拙くても、未熟でも、まずは自分なりの方法で、声を上げていきたいと思います。

わたしたちには「自由」と「社会正義」を掲げて、社会問題を知り、声を上げる道が残されています。香港での一連の出来事を、日本で繰り返してはいけません。一緒に知り、一緒に声を上げていきましょう。

何もかもが手遅れになる、その前に。

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