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自分たちでゼロから結婚式を創った夫婦の話し。~Ep15.こんな時だからこそ~

Ep15.こんな時だからこそ

 自分の1.5次会を2ヶ月後に控えたある日、同い年の友人・石原から個人的に「1.5次会の設営を手伝ってくれないかな?」という依頼が来た。

 僕は参加者として行く予定だったが、石原も1.5次会を自分で計画しておりスタッフに人手が欲しいようだった。最初、ただでさえ忙しい時にそんなことをしたら時間が無くなってしまうのではないか、と躊躇した。しかしAtelierWeddingの成長のためにも、この忙しい時だからこそやるべきだと思った。

 「忙しいから出来ない。」と言いたくなかった自分のプライドかもしれない。はたまた、見栄かもしれない。とにかく、友人からの頼みごとを断るのがとにかく嫌だった。

 僕は逆に石原に提案をした。「スタッフへの給料はタダで良いから、メンバーにスタッフの経験をさせてもらえないだろうか?」と伝えた。結婚式のスタッフをしたことがないメンバーにとって経験値を詰めるいい機会だと思ったのだ。石原も「そうしたら、当日のスタッフは全てお任せしたい。」と言ってくれた。

 プログラムや装飾などは石原が準備していたため、僕たちは音楽の選定と映像を流す係、当日の配膳が主な仕事となった。

 式は100名ほどの規模で行われた。江東区の清澄白河にある純白の会場でカジュアルさと清潔さが入り混じったような空間で、装飾や料理、衣装に至るまで石原の拘りが行き届いた素晴らしい会だった。

 1.5次会は夕方終了した。石原の顔には安堵の感情と疲労が見えた。石原から「今日はありがとう。助かりました。AtelierWeddingが手伝っていなかったらこの会は成立してなかったよ。」と言ってくれた。最後に新郎新婦にスタッフを交え写真撮影をし、会場から退出した。あれだけ賑わっていた純白の会場は徐々に静けさを取り戻していった。

 僕は帰り際に石原に向かって「うちに是非、来てほしい。一緒に仕事をしよう。」と伝えた。石原は笑いながら「考えておくよ。」と言い残して帰っていった。

 そのあと、石原からLINEで「一緒に結婚式を作らせてくれないかな。」と来た。「もちろん、これからよろしく。」と返信して正式に石原が仲間に加わった。

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