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自分たちでゼロから結婚式を創った夫婦の話し。~Ep16.式までラストスパート~

Ep16.式までラストスパート

 石原がAtelierWeddingに入った効果はすぐに出た。仕事がスムーズで決断も早い。無駄なタスクを省いてゴールまで最短距離を行く。彼の仕事ぶりは他のメンバーに刺激を与え、プロフェッショナルとは何かを背中で伝えていた。元々、一級建築士を持っていることもあり、会場設営や装飾に関しても圧倒的な知識と経験値で計画がどんどん前進していった。


 準備も佳境を迎えていた。

 苦戦していた4mの巨大スクリーンを作成して映写した。プロジェクターは80万円近い強力な物だったがやはり陽の光の下では全く映らなかった。

 自分で言い出したことだが、「野外で綺麗な映像を見たい。」なんて我がままを言った3ヶ月前の自分を殴りたいと思った。とは言ってもここまで来て後戻りは出来ないため、テントを四方に張って力業で影を作ることにした。当日、失敗したら終わるがそれに賭ける他ない。

 不幸中の幸いだったのが、日中の仕事で一時離脱していた木内が戻ってきたことだった。最終段階に入ったものの当日のバタバタを考えれば全体を仕切るリーダーが必要だった。何より僕とみはるの疲労はピークに達し、自分たちの準備さえ後回しになっていた状態だったのだ。みはるに関してはつわりと闘いながら、日中の仕事をして夜作業するということに疲れ切っていた。

 式から10日ほど前になると目途も立ち始め、スタッフにも少しずつではあるが余裕が出てきていた。ただ相変わらずその能力と情熱から大量のタスクを任せていた知念の目のクマが取れることは無かった。

 全員、満身創痍ではあったが当日を迎えることへの楽しみが疲労を凌駕していた。

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