構造用語「応力-ひずみ曲線」とは?1分でわかる意味を解説

鋼材の材料強度は、主に引張試験で決められます。引張試験を実施し、材料が壊れる(破断)するときの力を強度といいます。下図は引張試験の「応力-ひずみ曲線」になります。

応力ひずみ図1

この「応力-ひずみ曲線」は、鋼材を試験機にかけゆっくり引っ張り、荷重(力)と鋼材の伸び(ひずみ)の関係を表しています。つまり、縦軸は「引っ張る力」、横軸は「伸び」です。分かりやすいのでこちらの言葉にして説明します。

曲線1

あと、このグラフは一目見るとちょっと違和感を覚えます。なぜなら伸びをX軸にとって、引っ張る力をY軸にとっているからです。どんどん力を加えていって破断させるわけですから、引っ張る力を時間軸としてとるのが分かりやすいのですが、このように取られていることが難しくさせています。慣れていきましょう。慣れないうちはY軸を時間軸のようにみてみると違和感がなくなるかもしれません。

さあ、まず鋼材を引っ張っていきましょう(下の図をみてください)。すると引っ張れば引っ張るほど伸びていることがわかります。緑の線がまっすぐなきれいに引けることからこの区間は比例関係が成立するといえます。ここでは、10tの力に対して1㎝鋼材が伸びました。この比例関係が成立する限界、比例限界を弾性限界といいます。またここからは力がうまく伝わらなくなることから上降伏点といいます。弾性とはゴムのような伸びたり縮んだりする性質のことをいいます。弾性限界までの間で引っ張る力をとめると、鋼材はもとの大きさに戻ります。

曲線7

さらに力を加えようとすると、伸び(変形)は進むが鋼材内部の力(応力度)が上がらないか、または鋼材内部の力(応力度)が下がることがあります。このときの強度を下降伏点とよびます。上降伏点を超えた領域を塑性変形といいます。これは引っ張る力を止めたとき、弾性限界内であれば鋼材は元の形に戻りましたが、塑性変形の領域にはいると元の形に戻らない領域のことです。

曲線5

さて、次にいきますがさらに力を加えていくと、鋼全体にわたって塑性変形が生じると、やがて力が再び上昇するようになります。引っ張る力が最大値に達したときを引張強度といいます。この状態になると鋼材は均一に変形しなくなり、局部的なくびれが生じ引っ張る力が下がって破断します。

曲線9

はい、これで「応力-ひずみ曲線」の説明になります。まとめますと引っ張る力によって鋼材がのびます。伸ばしていくと、元に戻る範囲と戻らない範囲があり、その各タイミングについてを上降伏点、下降伏点といいます。引っ張る力に対して変形しながら耐えていき、一番耐えたところを材料の強度といいます。つまり、引っ張る力=強度=応力,応力度(鋼材内部の力)になるのです。なので最初のグラフでありましたが、数学や物理の世界では求めたい値は縦軸でとる常識のようなものがあります。「応力-ひずみ曲線」グラフは鋼材強度を求めたいので縦軸を応力としているのが通例となっています。

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