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財務省とは別件でも、マスコミを使って安倍政権を追撃するのは誰か

財務省の決済文書の改ざんについて、朝日新聞が報道してから、私が連日、アゴラでその挙証責任を追及してきたものだから、どうやら私が「安倍政権擁護ありき」で書いていると誤解している人たちが多いようだ。あらためて政治とジャーナリズムの問題が一般的に理解されづらい世界だと思う。

なんども書いてきたことだが、公文書の改ざんは民主主義社会において絶対にやってはならないことだ。もしそれが野党や朝日新聞が疑ってきた(≒願望してきた)シナリオどおり、安倍首相や麻生財務相が改ざんを支持したというならば、当然のことながら私は安倍政権を指弾するであろう。もちろん、近畿財務局で自殺者を出したことで政権首脳部、財務省本省の結果責任は重くなっていることは言うまでもない。

仮に首相を含めた政権ぐるみの一大犯罪であったとしても、私が朝日新聞の報道手法を批判することをやめることはない。それは政治的な思想信条が違うからでも、敵対心を抱いているからでも決してない。情報源は、検察または財務省関係者とみられているが、取材源の秘匿も尊重する。

しかしリーク報道というブラックボックスの過程を経て出された内部文書は、その一端の証拠の提示すらない。断片的な話だけで国政をひっくり返す世論ができる先例を作ってしまうと、後世において、たとえば匿名の行政関係者が悪意をもって虚偽または事実を著しくねじまげた情報をマスコミに流し、正当な民主的手続きを経て生まれた政権にダメージを与える可能性がある。報道機関をそうしたかたちで悪用されることにもなる。

検察リークの問題点については前回の有料ブログでも取り上げたが、検察がつくる世論が絶対の正義とはいえないこともある。とくに政治案件では、政権交代直前の民主党で小沢一郎代表(当時)を狙った陸山会事件が典型例で危うさをはらむ。小沢氏は総理の座を断念しただけでなく、最終的に無罪となるまでの間、2年近く不毛な時間を過ごして政治的影響力を大きく削がれてしまった。いま朝日新聞の報道を手放しで喜んでいる左派野党の人たちは、そのことをすっかり忘れている。

そして、今回は、財務省が改ざんを認め、朝日新聞の報道通りの公算になってくると、安倍政権の「アキレス腱」ともいえる問題や、政治的体力を著しく要する案件に関してネガティブな報道が急増した。安倍内閣「追撃第1弾」ともいえるのが、NHKがスクープした文科省の名古屋市教委メール照会問題。天下り問題で文科次官を辞任した前川喜平氏が2月、市立中学校にゲスト講師として登壇した経緯について、文科省が名古屋市教委に尋ねたというものだが、その是非はさておき、NHKにリークしたのはいったい誰なのだろうか。

(続きは有料。または、DMMオンラインサロン「新田哲史のニュース裏読みラボ」でどうぞ)

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