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テレサヨとB層がなぜ生まれるのか。リベラルがくれたヒント

この9月からDMMオンラインサロンで「ニュース裏読みラボ」を開講したこともあり、アゴラとは別に昨今のメディアを取り巻く問題に関し、少し専門的なコラムを定期的に書いていこうと思う。

リベラルメディアが、違法性が見当たらないのに加計学園問題で安倍政権を過剰にバッシングしたり、逆に国籍法に違反した蓮舫氏の二重国籍問題で同氏を擁護したりするなど今年に入ってから「偏向報道」が改めてクローズアップされている。ネット上ではアゴラなどからカウンター情報が発信され、マスコミ報道を疑ってかかる人が少なくないが、ネットを見ない中高年以上は、これがまた選挙の有権者で多数派でもあるため、小池都知事のようにテレポリティクスの達人がいると、まんまとその手中に陥ってしまう。 

そんな中、アゴラにも寄稿している政治学者の岩田温さんが、偏向報道にミスリードされる人たちのことを「テレサヨ」と名付け、ツイッターで注目を集めたことがあった。彼によれば、その定義とは「情報源がテレビだけで、無自覚に左傾化している人々」をさすのだそうだ。

テレサヨの特徴というのは、自分は全く中道で、中立的な立場にあると自己認識しながら、実際には、テレビの思惑通りに世の中を解釈している。要するに、無自覚なサヨクなのだ。今でいえば、何故か理由はわからないが、安倍政権は怪しいことをやっているに違いないと思い込んでいる人たち。— 岩田温 (@iwata910) 2017年7月21日 

このことが示唆するのは、確信犯的なリベラル層でなくても、中道的な無党派層で若かったとしても、情報源がテレビ中心だと、知らず知らずに“偏向”させられる可能性があることだ。岩田さんの提唱する「テレサヨ」は、「ネトウヨ」の対義語的な語感もあって面白いと感じたが、実はこうした受け手のリテラシーの問題は一昔前にも注目された。

2005年、小泉政権が郵政民営化を目指していた時、民営化の理解を世論に浸透させていこうと広告会社が提案した「B層」を知っている人もいるだろう。流出した企画書によればB層とは「具体的なことはよくわからないが小泉純一郎のキャラクターを支持する層」と定義されており、いまの政治情勢でいえば「具体的なことはよくわからないが小池百合子のキャラクターを支持し、安倍晋三とお友達のことは胡散くさく思っている層」といえる。 

テレサヨやB層を、ただの「情弱」として切って捨てることはたやすいが、彼が生まれてしまうメディアの情報流通のメカニズムも知っておかねば、偏向報道の本質を俯瞰的に冷静にみる視点は身につかない。こういうとき面白いのは、いわばメディア業界の「体制派」のメカニズムを知るには、まさに「反権力」的な意識をもったリベラル系の視点である。私自身もそのメカニズムの全容を意識するようになったのは、リベラル気質のあるジャーナリストの先輩が提起した視点がきっかけだった。

(続きは有料。または、DMMオンラインサロン「新田哲史のニュース裏読みラボ」でどうぞ)

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