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民進党の「守りの広報」がいつまでも機能不全に陥る構造的要因

民進党は前原体制になったにもかからず、幹事長就任が内定していた山尾志桜里氏の不倫騒動により、早くも暗礁に乗り上げた。

山尾氏と「お相手」の倉持麟太郎弁護士は男女の仲については否定しているが、与野党問わず、政治家の不倫スキャンダルについての世間の目は厳しい。山尾氏の政治生命だけでなく、中期的にみて民進党の存亡にもつながりかねず、「不倫騒動で野党第一党が崩壊」という憲政史上初めての珍事すら想起されるほど深刻な事態になりつつある。

しかし、新体制発足直後からのつまずきという点では、二重国籍騒動に見舞われた昨年の蓮舫体制のときと同様だ。昨年、拙著「蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?」でも指摘したが、民進党の危機対処能力は民主党政権時代も含め、実に弱い。

写真は民進党サイトより引用

今回の一件は山尾氏も倉持氏も不倫関係を否定したにも関わらず、山尾氏が離党するという、ちぐはぐな結果もまた国民から見れば不可解に見えてしまい、適切な対処だったとはいえそうにない。すでに橋下徹氏からツイッターで突っ込まれた。

山尾さんとその相手は弁護士で安保法制などの専門家を自称していたんだから、これくらい乗り切る危機管理をしないと。山尾さんがまず謝るべきは相手の奥さんと子供、次に自分の旦那と子供。党や世間へのお詫びなんて後の後。そして時間無制限の会見対応。ここが出発。危機管理については素人だった。

そもそも前原氏にとってトラウマであるメール事件をはじめ、長年、党内に危機管理に長けた人材が見当たらないとしか言いようがない。では、外部に人材を求めたらいいのか?読売時代の同期で、リベラルに転向した作家の中田安彦氏はツイッターでこのように提起している(ツイッターのハンドルネームは「アルルの男・ヒロシ」)。

だから民進党はもっと危機管理に予算を割け。しっかりとしたPRコンサルタントがいたら、事実が不倫であったとしても、うまく切り抜けられたはずだぞ。政党のはずなのに身の守りは個別的自衛権で集団安全保障体制ができていない。

このツイートに私もリプライしたが、私自身も以前はそのように思っていた。あくまで「頭の体操」だが、蓮舫氏の二重国籍問題が起きた当時、あまりにも蓮舫氏サイドの対応がずさんだったため、広報コンサルティングを生業とする身として、どうすればアゴラからの追及をかわせるのか想定したこともある。

しかし、今回、蓮舫氏から前原氏に代表が代わってもまともに危機対処ができないことを熟考すると、あらためて自民党や小池百合子氏との差がどこにあるのかを考えざるを得ない。私自身、民進党の前進である民主党時代に何度か選挙準備を手伝った経験があるが、この危機対処の弱さは、民主党政権が3年余りで瓦解した要因の一つと共通することのように思われた。

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