見出し画像

流行歌「何日君再来」を通して読み解く東アジア

おはようございます。テツジンです。
ご訪問、ありがとうございます。
本日、「何日君再来」という歌を通して東アジアを読み解いていきます。
本日のキーワードは、下記の5つです。


① 水木しげる
② バニラ
③ 向井理
④ 何日君再来
⑤ テレサ・テン


関連性がないように見えますが、「連鎖視点」を用いれば、関連性が見えてきます。
私が地域を探求する際に、「連鎖視点」を重視しています。「連鎖視点」は、法政思想連鎖史がご専攻の山室信一氏が提示した概念です。


連鎖視点とは、あらゆる事象を、歴史的総体との繋がりの中でとらえ、逆にそれによって部分的で瑣末(さまつ)と思われる事象が、構造的全体をどのように構成し規定していったのか、を考えるための方法的視座である。


以下では、「連鎖視点」を用いて調べてきたことについて説明します。
まず、水木しげるとの<出会い>から説明します。


私が大学院修士課程に在籍した2004年。当時、北海道大学では、集中講義の講師を外部から招く場合もありました。


だいぶ前のことなので、講義の名前ははっきり覚えていないですが、たしかに国際協力に関係する講義だ覚えています。
講師は、JICA(国際協力機構)の職員赤松志郎先生でした。国際協力の現場体験に基づいた臨場感のある講義は、すこぶる魅力的でした。


1週間の集中講義からたくさんのことを学び、一生の財産になりました。
ある日、赤松先生は、パプア・ニューギニアでの仕事体験を言及し、水木しげるさんを紹介してくれました。当時、初めて聞いた名前でした。


水木しげるは1943年に太平洋戦争に召集され、パプア・ニューギニアの激戦地に送られます。戦友が次々と命を落とすこの世の地獄で、水木自身も片腕を失う重傷を負いました。

 
パプア・ニューギニアは、バニラの生産地であることなど・・・
集中講義を受けた後、私のなかでは、水木しげるとパプア・ニューギニア、そしてバニラがつながっていました。
調べれば調べるほど、波瀾万丈の人生を、楽天的に生きぬいてきた水木しげるに敬意を払います。


2つ目に挙げているキーワードのバニラについてですが、水木しげるのことを知った後、アイスは大体バニラに決めています。バニラは、私にとっては昨日紹介した「セレンディピティ」です。


その後も水木しげるについて調べ続けています。
2010年、水木しげるの妻・武良布枝の自伝「ゲゲゲの女房」が原案となったNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』を見ました。
当時、ドラマを見て、特に印象に残ったのは、水木しげるを演じる向井理でした。役柄に滲み出る人間味、何かが一味違うという直感でした。
2010年から抱いた謎は、2017年に解きました。
向井理の祖母である芦村朋子さんの半生記を、向井自身が企画に携わり映画化。尾野真千子が主人公となる朋子役を演じ、向井が夫の吾郎役を務めて主演を果たしたのです。

図1


              あらすじ
☆亡くなった夫の吾郎との思い出を手記としてまとめていた芦村朋子が、完成を前に突然倒れてしまう。祖母にかわり、手記をまとめていくことになった孫の理は、祖父と祖母が歩んできた戦中戦後の波乱に満ちた道のりと、深い絆によって結ばれた50年におよぶ夫婦と家族の歴史を知ることになる・・・

なるほど、映画を見た後、文庫版を読んで分かりました。向井は家族の歴史を背負って、2010年のドラマに出演したのです。


いや、演じるのではない、自分の祖父の人生を追体験したといえます。
☆この映画の主題歌は、タイトルにもなっている昭和の歌謡曲「何日君再来」です。


「何日君再来」は、中国語と日本語バージョンがあります。
この歌は、アジアの歌姫とされるテレサ・テンによって、東アジア文化圏で大ヒットさせました。


歌と映画との相乗効果もあって、国境を越えて、世代を越えて永遠に歌い継がれるでしょう。

参考文献
・山室信一『日露戦争の世紀――連鎖視点から見る日本と世界』岩波新書、2005年。
・追悼水木しげる ゲゲゲの人生展
http://mizuki-ten.jp/point/point2.html
・芦村朋子『いつまた、君と~何日君再来~』朝日文庫、2017年。
・映画『いつまた、君と~何日君再来~』原作:芦村朋子、監督:深川栄洋主演:向井理、尾野真千子

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?