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平和する人々を通して読み解く東アジア

はじめに

おはようございます。テツジンです。
ご訪問、ありがとうございます!

私はアメブロにもブログを書いています。

昨日、原爆について書きました。

広島市在住のpxz618さんから、下記のコメントとご質問を頂きました。

広島に住んでいます。毎年この日になると原爆ドーム、平和公園辺りには多くに人が集まって平和を祈っています。最近の国際情勢はとても不安定で戦争という恐ろしく、愚かな行為について人類は未だにチャンと学んで無いかと思うところです。真の平和のために出来る事は何でしょう⁉︎

本日は、pxz618さんのご質問への解答を兼ねて話を進めていきます。

1.真の平和のために出来る事は何でしょう⁉︎


いい問いかけですね。恐らくこの問いには正解はないと思われます。ぜひ、読者の皆さんもこの問いへの解答をいっしょに考えていただければと思います。
真の平和のために出来ることはたくさんあります。

あくまで私の見解です。平和のために平和する人々が必要だと思います。

「平和する」? 


馴染みの薄い言い方ですね。
この言い方は、「平和学の父」と言われているノルウェーの社会学者ヨハン・ガルトゥング氏が初めて言及しました。ヨハン・ガルトゥング氏については、後日、詳しく説明します。


私は日本平和学会の会員であり、あれこれ約10年間平和の研究に取り組んできました。


これまでの平和の研究は、主に政治学や国際関係論によって率いらてきました。私は主には人類的アプローチで平和の研究をしています。


政治学の基本は研究単位は国家です。しかし、平和は国家より広い現象です。言うまでもなく、極少数の政治家よりも、民衆、市民、草の根の人々が形づくる世界の方がより広いです。国家の枠組みに収まらない人間の現実を、現場に密着しながら研究するのがまさに人類学です。


さて、「平和のために出来ること」や「平和する」と言った際の「平和」をどう定義すればいいでしょうか!?

2.「平和」についての定義

「平和」についてさまざまな定義があります。本日は、そのうちから、私が大事だと思う定義を二つ紹介します。

1つ目は、長崎で原爆の被害を受けた下平作江氏は、平和を「平和とは、人の痛みの分かる心をもつこと」と定義しました。

被害を受けた方の心情が伝わるいい定義です。

2つ目は、文化人類者の小田博志氏の定義です。
小田氏は平和を「他者と共に生きられる関係性をつくっていくこと」と定義しています。

私は、主に後者の定義に依拠して、平和研究に取り組んでいます。
ここで、冒頭のpxz618さんの質問に一旦回答します。


平和のために出来る事は、ひとまず必要なのは、①人の痛みの分かる心をもつこと、②他者と共に生きられる関係性をつくっていくことだと考えます。

①については、昨日紹介しましたドキュメンタリー映画『ヒロシマナガサキ』は、原爆被害者の痛みの分かる心をもってほしいとオカザキ監督の願いが込められた貴重な作品です。

②については、多くの実例があります。今後、順次紹介していきます。

「多文化共生・国際交流研究事務所」では、「他者と共に生きられる関係性をつくっていくこと」を重んじています。私の平和への思いの根底にあるのも、他者と共に生きられる関係性をつくっていくことです。

終わりに

本日、復習を兼ねて、今まで紹介した関連事例をおさらいします。

最初の時からご覧になった方は、すでに気づいていると思います。
今までのブログでは、他者と共に生きられる関係性をつくっていくために、模範となる事例をたくさん紹介してきました。


たとえば、


米(稲作)という食文化を通して、日中間における点と点の交流を、面と面の交流まで発展させた原正市さんと藤原長作さん。


初の韓国人Jリーガー盧廷潤(ノジョンユン)さん。


そして、この数日間紹介してきたSMAP、サザンオールスターズ(桑田佳祐)、李香蘭、テレサ・テンなど。

以上の平和する人々は、「平和資源」です。

「平和資源」につて、文化人類学者の小田博志氏は、「平和資源」を他者との平和な関係性を形成するために有用な道具、能力、思想、人物、施設、メディア、ネットワークなどの総称と暫定的に定義しています。


平和する人々を忘れないために、「ナラティヴ・アプローチ」で、語り続けていくことです。そして、他人を待つことではなく、一人一人が「一人称」になって、平和する人々の一員になっていくことです。

わたし=テツジンもその一員です。

参考文献


・私の被爆体験(平成19年度「平和を考えるつどい」から)諫早市公式ホームページ
https://www.city.isahaya.nagasaki.jp/post06/2215.html (2021年8月6日参照)

・地域と地域を結びつける作法(2)<一人称>で探求する
https://note.com/tetsujin_6688/n/n636d0c1a60bb

・地域と地域を結びつける作法(3)ナラティヴ・アプローチを用いて
https://note.com/tetsujin_6688/n/n076a1579db4d

・小田博志『エスノグラフィー入門――<現場>を質的研究する』春秋社、2010年。
・小田博志・関雄二編『平和の人類学』法律文化社、2014年。

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