昨日に続き、英文学者の外山滋比古氏の『ライフワークの思想』を読んだ感想について書きます。
本日は、「フィナーレの思想」について書いた箇所を読んだ感想です。
外山氏によれば、ライフワークという言葉は、この頃簡単に使われているが、なるほどここにライフワークがあると仰ぎ見るような仕事が案外少ないです。それで、ライフワークを気軽に口にすることより、これを人生において実現するためにもっと努力すべきだと辛口で書いています。
この節でも、外山氏は、“カクテルと地酒”の比喩で筆を進めています。
今の日本人の知識やものの考え方は、だいたいにおいてカクテル式である。よさそうな思想や技術を他人から借りてくる。24頁
酒の比喩での話がまだ続いています。
酒の比喩のほか、ライフワークを考えるのに、外山氏は、マラソンを例として書いています。
私は40代後半になり、人生のマラソンの折り返し点を過ぎていますので、著者の哲学的な言葉が至宝です。
著者は辛口で書いています。
著者は辛口だけを書くわけではなく、心理医師のように適切なアドバイスも書いています。
外山氏は2020年に96歳で亡くなりました。生前は膨大の著書を書き残し、特に代表作『思考の整理学』は、なんと驚異の126刷、263万部を突破しました。ゆるぎないフィナーレの思想で、奇跡を行い続けました。
参考文献
・外山滋比古『思考の整理学』ちくま文庫、1986年。