学問バーを経験してきた話
こんにちは。哲学チャンネルです。
先日ハイッテイル株式会社のぽれさんと「学問バーKisi」さんにお邪魔してきました。
今回はその体験談や意図などについて書きます。
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◾️学問バーKisiとは?
学問バーKisiとは何か。お店のHPにはこうあります。
例えば過去には以下のような企画が開催されています。
基本的にはその分野を現在進行形で研究している研究者や大学院生がスピーカーとなり、5時間程度の時間で発表を行なったり対話を行ったりします。
訪問した人はお酒を嗜みながら(もちろんノンアルコールでも)スピーカーの話を聞くも良し、近い距離だからこそできる対話を楽しむのも良し。ありそうでなかった非常に刺激的な空間です。
料金はチャージ料として一般1000円/h、学生1000円/2h(途中入場退出可能)にプラスしてドリンクが700円〜という感じです。
まぁコンセプトカフェの学問版と表現しても良いでしょうね。
きっと、この記事をお読みの方であれば何かしら琴線に触れるものがあると思います。
当然、私も非常に興味があって、いつか行ってみたいなぁなんて考えていました。
(ちなみにお店の場所はいわゆるトー横の近くで、治安は悪いです)
◾️ということで行ってみた
後述しますが、学問バーkisiが採用しているシステムが非常に面白いんですね。その考え方は今後の活動においても重要になるかもしれないものだったこともあり、その活動にはスポンサーのハイッテイル株式会社も大いに関係しているということで、社長のぽれさんと示し合わせて5/8の月曜日に訪問させていただきました。(もちろん客として)
その日のテーマは「なぜ嘘をついてはいけないのか:カントの倫理学について語る」でして、慶應義塾大学大学院 文学研究科倫理学専攻修士課程のKさんがスピーカーとしてお話ししてくださる予定でした。(こちらも許可を取っていないのでイニシャルで)
もちろん、着て行く服は普段から愛用しているハイッテイル株式会社のオフィシャルワイシャツ(現時点では非売品)
(自分で何度も写真を撮ってみたのですが、どうも撮影のセンスがないらしく、あくあさんのtweetをお借りします。面識ないけどw)
どうでも良いんですけど、私は性質上めちゃくちゃ遅刻癖があるんですね。しかし記憶が間違っていなければここ10年ぐらい遅刻をしたことがありません。なぜなら待ち合わせ時間の5時間前には現地に着くようにしているから。
当日も18時集合の予定でしたが、12時には新宿に降り立ちました。お昼ご飯は調理師専門学校時代にヘビーユーズしていた麺屋武蔵の本店で。
その後、本屋さんに寄ったり、漫画喫茶で読みたかった漫画をまとめて読んだりと至極の時間を過ごしていると、ぽれさんから「そろそろ着きます」と連絡が。時刻は17時前。
これ、文句ではなく好意的な意味で言うんですけど、ぽれさんも多分遅刻癖があるんですよね。勝手に共感している部分です。そのぽれさんが17時ちょい前に「そろそろ着きます」なんで、これは時間を勘違いしているなと。確認してみると、実際時間を勘違いしていたようで、二人でちょっと飲んでから学問バーKisiに向かうことにしました。
長い余談は終わり。
店内はカウンター席が4席。詰めれば5人ぐらい座れるソファー席。それと来客が多い時用にパイプ椅子が5脚ぐらい。こじんまりした空間でした。むしろそれが良い。
18時ちょっと過ぎにお邪魔した時にはすでに7名近いお客さんがいて、GW明けの月曜日にそれだけ人が集まることにびっくりしました。
スピーカーのKさんが資料を使いながらカント(特に倫理学)についての解説をしてくださり、途中途中で質問コーナーがあるという構成。
質問コーナーと言えど、セミナーにおけるそれとは違い、質問から話が広がったらそのまま落ち着くまで延々とみんなで話すみたいなスタイルで、まぁ〜時間が押すんですね。(良い意味で)
お客さんの中にはスピーカーのKさんの後輩がいたり、他の学部の研究者がいたり、野良の物好きな一見さんがいたり、お店自体に好意を持っている常連さんがいたりと、すごくカオスな空間でした。
終電があったので途中退出させていただきましたが、帰りには店長ともある程度お話しすることができて、とても実りのある時間を過ごすことができました。
◾️感想
1)あったようでなかった空間
アカデミックな内容を勉強できる集まりは数あれど、お酒を飲みながらそれができる空間って非常に少ないんです。(代表的なところだと東浩紀さんのところとか?)
しかも、その発表者が著名な人ではなくて、基本的にはこれから著名になるかもしれない「これから」の人たち。
とはいえ、そのような属性の方と我々一般人の接点ってほとんどないわけで、そういう出会いという意味でもとても面白い場だと思うんですね。
見ず知らずの人と急に哲学的なやり取りをするのも普段は絶対に経験しないことなので、好きな人はそういう空気にハマってしまうかも。
スピーカーの方は必ずしもそういう場に慣れているわけではないので、その意味での緊張感も一つのエッセンスとなり、まさに非日常の空間が広がります。
なにしろ「学問が好きだ!」と表明しても誰もそれを冷かさない空間って心地よいですよね。個人的にはすごく良い場だと思いました。
2)進行の難しさ
とはいえ、問題になってしまう部分もあると思います。まず「進行がとても難しい」ことが挙げられます。
アルコールが入りますから、おそらく普通のセミナーなんかよりも聴衆の発言が活発になるでしょう。誰かが質問をすると、その質問に対して誰かが答え、それにまた誰かが応じ、気づくと論点が変化している。なんてことも起こり得るのだと思います。
スピーカーはそのような状況に慣れていないこともあるわけですから、進行役が一人いても良いのかなぁとか思ったり。まぁそうやってカオスな進行になることも「良さ」と捉えてしまえばそれで良いのですが、このあたりは好みが分かれそうだなと感じます。
3)アカデミックとエンタメの境界線
学問バーkisiでスピーカーになれるのは
です。
これを見ても分かるとおり、内容と属性は間違いなくアカデミックなものになるんですね。そして、顧客層もアカデミック寄りなものになるでしょう。
とはいえ、そのジャンルに興味がある人がみんなアカデミックなテンションでそれを受け止めているわけではない。予約制のお店ではないですから、ふらっと入ってきたお客さんが、どちらかというとエンタメ的なテンションで発言することも十分考えられるでしょう。
語弊がありそうな書き方になってしまいますが、アカデミックとエンタメは相性が良くありません。私も普段発信していて、その境界線に苦しむことがよくあります。
例えばエンタメ寄りなテンションでされた質問に対し「そんなことも知らないのかよ」という態度を示してしまうアカデミック寄りな人もいるでしょうし、アカデミック寄りな議論に対して「小難しいことを偉そうに語りやがって」と感じてしまうエンタメ寄りな人もいるでしょう。
この境界線をどう捉え、どこに力点を置くのかが結構重要なのではないか。そんなことを考えました。何を偉そうにって感じなんですが笑
◾️訪問の目的
ちょっと前にこんな記事を書きました。
この記事で
・ハイッテイル株式会社と自分の信念が近いこと
・それによって将来やりたいことが一部被っていること
・没頭する人の出口戦略の助力になるような活動をしたいこと
などについて書いたのですが、今回の訪問の目的はまさにその第一歩となるようなものだったんですね。
学問バーkisiでは、スピーカーとして登壇?した人にインセンティブが発生します。
そこまで大きなインセンティブではないにしろ、これはとてもありがたいと思うんですよね。
スピーカーとして享受できるメリットは
・インセンティブを得ることができる
・アウトプットの場があることでスピーチの技術が高められる
・承認欲求が得られる
・人脈が広がる
などが考えられます。
学問バーkisiではスピーカーの対象をアカデミックな研究者に絞っているわけですが、これってジャンルをずらしても成立するシステムじゃないですか。
例えば「何かに没頭している人」をスピーカーとして設定し、それは発表なのかイベントなのかわかりませんが、なんらかの形で没頭していることについて企画をする。その企画に興味がある人、その人自体に興味がある人、「なんでも良いから没頭している人」に興味がある人、没頭で集まった空間に興味がある人。そういう人が集まって一夜限りの空間を構成する。
スピーカーとして壇上に立つ人は先ほどあげたようなリターンを得ることができるし、顧客は非日常な空間で満足を得ることができるし、ビジネス的にも継続性が見込めるモデルだと思うんですね。
これは私が思い描いていたいくつかの「没頭者が報われる形」の一つだと思っていて、それを実際にこの目で見たいというのが今回の訪問の主な理由でした。
そして、訪問して本当に良かった。
前述のとおり、すごく良い空間だなと思ったし(普通にまた行きたい)もし同じような形を目指していくのだったら、どんなことを解決しないといけないのかもかなりはっきりと見えました。
あ、もちろん私にはその業態を実現するような資金力がありませんので、私が主導して事業を進めるわけではありません。そこはもうハイッテイル株式会社に放り投げて、お手伝いできるところだけ最大限協力したいと考えています。
ということで、まだずっと先にはなると思いますが「没頭している人がイベントを開催できるような場所」が実現するかもしれません。そして、それが実現するために私ができることには最大限協力をし、その過程はなるべくnoteや他の媒体で発信していきます。
そんなに頻繁に発信する内容ではありませんが、そういった経過も楽しんで追っていただけるととても嬉しいです。
以上。また次回お会いしましょう!
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