ついにリークされた新型デュラエース

イギリスの自転車情報サイトBikeradarによる9200系と思われる新型デュラエースのリーク情報が昨日飛び込んできました。
サイトの本文はこちら(英文記事)

記事ではバロワーズ・ベルギー・ツアーに参戦していたチームDSM(旧チーム・サンウェブ)のバイクに搭載された新型デュラエースが写真入りで掲載されています。

自転車ロードレースにおいて、実戦の場で最終的なテストが行われるのは通例ですから「リーク」と呼ぶには少々語弊があるかもしれませんが、これまでの慣例で考えるならツール・ド・フランスで正式発表という流れになると思われます。

新型デュラエース(デュラエースと特定して差し支えないでしょう)での注目すべきポイントは次の3つ。

リア12速化
ワイアレスシフト化
新デザインのクランク、パワーメーター

米SRAM、伊カンパニョーロが先んじてロードのグループセットで12速化を実現したことを思えば、シマノも遅まきながらという感は否めません。ただ、トップカテゴリーの「ワールドチーム」で圧倒的なシェアを誇るシマノにとって、12速化によってチェーン幅をナロー化することによる強度面でのデメリットを嫌って、ここまでリリースが遅れたことは想像できる範囲かと思われます。

次に、ついに来たかと思わせるワイアレスシフト。これについては先日来、シマノが提出していた特許の情報から推測されていたもので、本記事中でもその点については触れられています。(本記事ではワイアレスか、セミワイアレスかは断定できないとしていますが)。

また記事中でトピックとしていた新形状のシフター※を個人的にはトピックとして挙げなかった理由は、既に特許文書として機構が明らかにされていたためにワイアレスのトピックとして絡めるべきかと考えたためです。

クランクセットもより角張ったデザインへと変貌を遂げているようですが、加えて注目すべきはクランクに付加されているパワーメーターのデザイン。形状から推察すると、これまでのシマノ謹製のパワーメーターではなく、パイオニアの技術を採用しているのではとの指摘です。昨年、パイオニアの自転車関連事業はシマノに事業譲渡されており、それからの期間を考慮すれば、ハイエンドのデュラエースでリリースしても問題ないレベルまでかなりのスピード感で技術がマージされたと捉える事ができるかと思います。

また、ディスクブレーキのローターも新型形状が採用され、マウンテンバイク・グループセット XTR MT900のものではないかと推測されています。

ブレーキ周りについてはまだ深い事情があります。記者達は未だこの新型デュラエースにおいてリムブレーキ仕様を見ていないとのこと。

2018年にディスクブレーキの使用が自転車ロードレースの世界においてUCIから完全解禁されるまでは、一部のレースを除いて自転車ロードレースの世界では利用不可とされるものでした。荒天時の制動力などの利点は明らかで、あっという間にロードレース界を席巻していきました。

ところが、ディスクブレーキ仕様のホイールには、リムブレーキ仕様のホイールに比べて脱着に手間がかかるという弱点があります。プロのレースにおいて、パンク時にはサポートカーから即時にホイール交換ができるという事は勝敗に関わる重要事項。

そのためディスクブレーキ採用チームはバイク毎交換するという対策を頻繁に行うようになりました。が… この流れに従わない、リムブレーキに拘り続けているチームが存在します。それも、ただのチームではなく、ここ10年で7人のツール・ド・フランス総合優勝者を排出しているイギリス籍のチーム、チーム・イネオス・グレナディアス

「ピナレロ・ドグマ」を駆り、グランツールで圧倒的な強さを誇るイネオスの存在はシマノとしても決して無視できない存在です。つい先日閉幕したジロ・デ・イタリアでもエガン・ベルナルが総合優勝を飾り、ツールではゲラント・トーマスを中心とした鉄壁の布陣が敷かれると予想されますが、同時に彼らの駆るバイクの仕様も気になるところ。

ツール・ド・フランス開幕まで、あと10日。

ツール開幕の熱狂と共に登場するであろう新型デュラエースにも期待をこめたいと思います

※現在のロード用シフターはブレーキレバーと一体形状であることが通例。シマノが「デュアルコントロールレバー」と名付けたこの機構は1991年登場の7410系デュラエースに初めて搭載された。

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