セント・アイヴスのこと その1
2012年に書いた文章を少しだけ
リライトして。
2ヶ月前くらいになるだろうか、
個人的にとても影響を受けているご夫妻から食事のお誘いを受けた。
当日は、珍しく昨晩の二日酔いが残っているということで、お酒はそこそこに会話の中で、
「すぐ時間経っちゃうから、思った事をしたほうがいいよ」という言葉がずっと引っ掛かっていた。
確かにそうだなーと。思い立ったら吉日、時期的なタイミングも重なり以前から、
どうしても1度訪れてみたい場所に少しばかり旅をすることにした。
行き先は、イギリスのコーンウォール地方の小さな街セント・アイブス。
コーンウォール地方は、イギリスの南西に位置し、フランスでいうところの南仏なイメージで、イギリス版リヴィエラと言われている。
そのセント・アイブスは、1920年代イギリスのアーティストコロニーとなった街というだけでも興味深い場所だけど、ここには、敬愛するバーバラ・ヘップワースのアトリエや、バーナード・リーチが、
イギリスに戻って、濱田庄司と共に、登釜を築き創設したリーチポタリー、Tateセントアイブスといった、
僕にとって意味がある場所が点在する街。
さて、行き方を調べようと思っても、スコットランド方面や、人気のコッツウェルズなどに比べると極端に情報が少ないから妄想がまた旅の楽しみをかき立ててくれる。
ロンドンに到着し一旦翌日からのお世話になるところへ荷物を預け、23:45パディントン発のナイトリビエラスリーパーという寝台列車に乗り込む。
人生発の寝台列車経験が鉄道発祥の英国とならばひとしおだ。
相部屋を予約していたはずが、連れられた部屋はラッキー?なことに
洗面台まで装備されているシングルベッドの1人部屋だった。
飛行機で眠りにつけなかった疲れた体は、寝台列車の揺れも時には心地よく睡眠をとることが出来た。
朝コンコンと扉を叩くノックの音で目が覚めると、クロワッサンとオレンジジュースの朝食が運ばれてきた。
味は普通だけど、テキパキ動くおばさんの働きっぷりが微笑ましく朝から爽快だった。
わくわくしながら窓を開けると、イギリスの田園風景が見え一気にテンションがあがってきたところで
まもなくペンザンス駅に到着。
駅のサインが格好良すぎる!
絶対、誰か有名なアートディレクター入ってるに違いないと興奮。
ここからバスに乗り換える事、約1時間かけて目的地セント・アイブスを目指す。
途中、遠くにセント・マイケル・マウントという、イギリス版モンサンミッシェルが見える。
干潮時には島まで、COURSE WAYと呼ばれる石畳の道が現れ、海の中を徒歩で島まで渡ることができ、
コーンウォールの言い伝えではこの小さな島に巨人が住んでいたという言い伝えがあるらしい。
そうこう窓から外を眺めているうちに、綺麗な海岸線が現れて念願のセント・アイブスに到着した。
凄く綺麗な街並みそして最西端の海も限りなく美しい。
時間は午前9時すぎ。
到着するなり、セントアイブスに行った事がある、ロンドンの知人の情報を便りに歩く事にする。
まずは「Tateセントアイブスの屋上のカフェからの景色がまた最高なので是非」との言葉を
頼りに歩くととまだオープンまで30分あったので、後ほどの楽しみということで、
Porthmeor海岸沿いにあったずばりPorthmeorというコンテンポラリーな建物のカフェに入った。
店内はもちろん欧米人ばかり。土地柄なのか上品な方が目立った。
ここでオーダーした、スクランブルエッグが本当に忘れられない美味しい味だった。
オーガニックの焼きたてのパンの上に卵を2個使用したスクランブルエッグの中には、
ほぐされた蟹の身そして生クリームが添えられている。
そして、バターも混ぜ合わせ、食べるスクランブルエッグの味の美味しいこと・新しい味だこと
「舌鼓をうつ」という言葉がぴったりだった。
加えて、オーガニックフレッシュマンゴージュース 美味くない訳がない。
これで約10ポンド。
朝ご飯がおいしいとこんなにも幸せな気分を味わえるのかとただただ感動。
「ビルズの朝食は世界一美味い」とのキャッチフレーズだけど、
(2012年当時のフレーズでしょうか)
僕にとって世界一美味い朝食は間違いなくPortmeorというカフェの朝食に決定。
良い旅のはじまりは美味しい朝食に出会えるかどうかが肝心のようだ。
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