今なぜFundsなのか
※これは「Funds Advent Calendar 2021」25日目の記事です※
金融マンのつぶやき
日本の戦後高度経済成長を支えた長期金融を業務とする銀行で長年勤務しました。その間2度の海外勤務をこなし、その後、証券会社、投資運用会社、クロスボーダーM&A専門会社等の金融界を渡り歩き、4年半前、まだ商品としてのFundsの具体的な形がない時に、ファンズ株式会社(前身クラウドポート)にジョインしてお手伝いしている者の個人的つぶやきです。
<目次>
1. 銀行の役割
2. 貸付型クラウドファンディングの成長力
3. 若い投資家に支えられているFunds
4. 素晴らしいチームアップ
5. 投資商品としてのFunds
6. 新たな画期的な商品
7. Fundsの将来
1.銀行の役割
およそ60年前、「銀行よ、さようなら、証券よ、こんにちは」は、我が国における流行語でした。しかし、直近の日銀統計によると、個人(家計部門)の金融資産残高は間もなく“2000兆円”。その内訳を過去1年で見ると、株式や投資信託の残高が株価上昇で大幅に増加しています。それでも、依然として金融資産の半分1000兆円以上は現・預金です。しかも、ほとんどゼロ金利の預金が、1年間で4.0%増、すなわち、“42兆円”も増加しています。
この42兆円の増加は、国民が安全に資産を運用する手段が見つからず、苦しんでいる姿ではないでしょうか。
現在の金融制度を支える“銀行“は150年前から存在し、さらに、債券市場そして株式市場という金融制度の基盤が構築されて、日本経済の飛躍的発展がありました。そして、現在、「フィンテックの進化」によって金融史上、新たなページが展開しつつあることは、皆さん実感されている通りです。つまり、旧来の銀行自体も質的な変化をせざるを得なくなっています。ただ、不幸にして人間は新しい物を受け入れるには、時間が必要です。資本主義の根幹を支えてきた金融制度を維持してきた「背広とネクタイ、革靴」が「スニーカーとTシャツ、バックパック」の文化に代わっていく変化は確実に進行しています。でも、なお時間が必要と思えます。
2.貸付型クラウドファンディングの成長力
「Banking is necessary, but banks are not.」
この言葉は、94年にビル・ゲイツによって言われたそうです。
それから30年が経過しようとして、正に、“金融システム”は必要ですが、”旧来の銀行“というものは必要なくなる時代が来つつあります。
信用の裏付けとして、駅前の最優良地に立派な店舗を構え、高給優遇の行員を雇用し、高い利ザヤと手数料を取り、しかも、リスク回避のために不動産中心の担保を徴求し、高収益を維持してきたのが過去の銀行の姿です。銀行は顧客から預かった預金の運用手段として企業への貸付を行っています。ただ、預金を預けた個人にとっては、自分のお金が直接どこの企業で使われ、どのように役に立っているか不祥です。
しかし、現在のインターネットを介在すれば、銀行や証券会社が見ている上場企業に関する投資情報を、同じタイミングで、同じ内容を個々人の誰でも見る事もできます。つまり、個人投資家が企業を選別してファイナンスに参加することが可能になっています。例えば『A社はだめだけど、B社を是非応援したい!』しかも、今後、「世の中の変化を促すようなファイナンス」に前向きに参加できるようになってきています。 それが、Fundsです。
(注)もちろん、Fundsの一部には選別された未上場企業も含まれています。
3.若い投資家に支えられているFunds
日本ではこれまで学校でお金に関する投資教育があまり行われていませんでしたが、2022年度より高校の新学習指導要領において、”家庭科“の授業で「資産形成」について指導することが決まっています。もちろん、金融リテラシーを上げる事は必要です。証券業界では数十年も前から、投資家教育を率先して行ってきました。しかし、「金融リテラシーがレベルアップするという事」と、「リスクを取って資産の投資運用が”巧く“行く」とは別の問題だと思っています。つまり、投資商品や投資手法を勉強し理解するという事と、資産運用のための実際の売買は別の問題です。3700社以上もある上場株式、5900本以上もある公募投信。これらを選別して、実際に売買をして収益を上げる事は簡単ではありません。
エクイティ投資には価格変動の面白さがあります。株価は上昇し3倍にも、時には10倍にもなります。しかし、難しいのは人間が持つ欲望のコントロールです。一度儲かると人間は同じ刺激では満足しない、より強い刺激を求めてリスク(価格変動)の大きな銘柄により大きな金額の投資をしたくなるものです。残念ながら、上昇と同じような下落もあり成功体験は長期間続かないことがあり得るのです。
歴史的事実として、個人が保有している金融資産の中で、上場株式への投資割合は上昇していません。わずか5%前後で推移しています。東証市場全体における個人の株式保有割合もかつて40%近くあったものが下落傾向にあり、16%となっています。しかも、個人投資家の6割以上が40歳以上の高年齢層で支えられており、20-40歳の若年層ではわずか、9%しかいないのです。それと較べて、Funds投資家数を年齢別に見てみると、機を見るに敏な40歳以下の投資家が中心となっています。
4.素晴らしいチームアップ
///ビジネスは限りなく多様であり、その多様性に対する興味は尽きない///
創業間もない当社に入社して4年半。当社も乳児から幼児への成長過程と同様の成長をしてきました。片手の指でたりる社員でスタートして、今や、10本の手でも数えられなくなっています。
乳児は人の顔や周囲の物をジーと見る。幼児にとっては全てが新鮮であり、新しい物を観察する。そこには、必死に世の中の物事を吸収しようとする貪欲さがあり急速に成長していきます。子供達の好奇心の対象は、周りの世の中に存在する全ての物なのです。ベンチャー企業でも同じように、新しい世界を見て、知りたいという好奇心によって自ら取り込んでいくことが急成長の源泉にあります。激しく変化する世の中の全てが興味の対象になります。そして自立して行くだけの免疫力を身につけ成長して行きます。当社において、正に好奇心に満ち溢れた若い世代が時代の急変に追随してチームアップして動いています。新たな発見と創造の喜びを感じています。
5.投資商品としてのFunds
Fundsという投資商品が魅力ある商品であり続けるには、多くの投資家のみなさんが、安心して投資できる事業者を選別し提供することにあると考えています。そのために事業者の将来の姿を予測して投資商品にふさわしいかの判断を私共なりに、しっかりとすることが重要となります。
企業審査というと、コマイ事をコチョコチョ分析して、メンドイ仕事というのが一般的印象だと思います。そういう側面がある事は事実です。でもある企業に関して真剣に現状を分析して将来の姿を見定めるという事は、「与信リスクの見定め」という事だけではありません。「ええっ!我々の会社のそんなことまで調べて将来を検討しているの!」という先方の驚きは「会社自身にとっても将来を見据えた重要な視点を示唆してくれる」という信頼になると、信じています。やや、気負った言い方かもしれませんが、それが、引いては、「相互の信頼関係の構築に役立つ」ケースがあり得ると信じています。
<無担保ファイナンス>
通常、銀行からファイナンスを受けるには基本的には担保を要求されます。しかし、Fundsは事業会社へのファイナンスのアレンジは「無担保」を基本にしています。なぜ、無担保で返済に心配ないのかを、その概要に関して少しお話をします。
企業が将来、借入金を返済できるだけのキャッシュを持つことができれば返済は可能です。将来のキャッシュの見込みを予測すること、即ち、キャッシュフロー分析をすることに注力しています。
将来を予測することは、簡単ではありません。経営者、商品特性、業界競争、他社との差別化等々の諸要因に加えて、過去の業績を含めた現在の当社資産内容、そして、収益力・コスト構造等々の定量分析をします。営業取引・投資取引・財務取引に区分して分析します。この3つの構造に分けてキャッシュの流れを把握し、キャッシュの増減理由を分析することで将来を予測し、担保に依存しないファイナンス・スキームを構築してきています。
案件ごとに審査担当者を決めていますが、担当者の分析をベースに審査チームとしての合同でディスカッションをし、問題点をより鮮明にし、疑問点、質問事項を整理して投資対象事業者に追加情報の提供をお願いしております。追加情報をベースに更なる合同検討をBizDevチームも加えて行い、最終的は、審査会議を開催し、常勤取締役全員による承認を経て、案件として取り進めを行っています。もちろん、投資家の皆様への適切な情報開示を適切に行うために、コンプラチェックを行っております。
一方で、「会社全体のキャシュフロー」に依存せずに、「特定物件のキャッシュフロー」に依存した、ノンリコース・ファイナンスにも取り組んでいます。その場合には、その特定物件を担保として徴求することにより、債権の保全策を講じています。
判断する論拠は数字・事実の裏付けがあるものであり、そして、現状の的確な把握があって、将来が見えてくるという信念のもとにFundsという投資商品の作成に勤しんでおります。
6.新たな画期的な商品
Fundsは、銀行との協業という新たな展開を進めています。今般、Fundsは三菱UFJFGによるMoney Canvasに参画しました。
『Funds、三菱UFJ銀行に個人が年利1%で間接的にお金を貸せる「Money Canvasファンド#1」を公開〜国内初、メガバンクが借り手となる融資型クラウドファンディング〜』
「Money Canvasファンド#1」(以下本ファンド)は、何と、三菱UFJ銀行が借り手となる貸付ファンドです。本ファンドは、三菱UFJ銀行がリリースした資産形成をサポートする総合サービス「Money Canvas」上でも販売されています。なお、投資商品としての本ファンドの詳細については、ファンズ株式会社ファンド募集ページでご確認くださるようお願い致します。
7.Fundsの将来
若い世代は新しい事に敏感です。ご承知の通り、世の中の大変革は常に若い世代によってなされてきました。しかし、新しい価値観の社会を創り上げるには、それをサポートする資金が必要です。
最近、日常的に目にする言葉があります。グリーン・ファイナンス、ネットゼロ、サステナビリティ、ESG、インクルーシブ、ソ-シャルファイナンス、等々。例えば、環境問題解決のために、30年間に何と100兆ドルという莫大な資金が必要という試算もあります。今、世の中が求めている社会の創造には、金融の大転換が不可欠になっています。勿論、既存のメガバンクも積極的に資金を振り向ける計画を持っています。
若い世代は、新たな社会創造のために積極的になっています。投資を考える時に、単に、自己の資産を増加させる事だけでなく、新しい社会創造に役立てる事にお金を振り向けようとしています。その意味でFundsは、今後更に、新しい社会構造を構築しようとする事業者と投資家の前向きな意思を繋ぎ止める役割を果たしていけると確信しています。
我が国の金融業には現在、規制によって各種の参入障壁が設けられています。新しい金融分野の進展は他国に大幅に劣後しています。しかし、今後については、これらの規制の緩和と行政からの積極的なサポートが期待されます。そして、ベンチャー企業に対する期待感の高まりは、ベンチャーキャピタルの積極的な動きに現れてきています。新たな時代に向かって事態は急変していくと信じています。
【会社概要】
ファンズ株式会社 第二種金融商品取引業 関東財務局長(金商)第3103号 加入協会:一般社団法人第二種金融商品取引業協会
当社が加入する(一社)第二種金融商品取引業協会を通じて契約する金融商品取引業務にかかる指定紛争解決機関:
特定非営利活動法人 証券・金融商品あっせん相談センター
東京都中央区日本橋茅場町2-1-1 第二証券会館
電話番号:0120-64-5005
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