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2021.9.24 関東弁護士会連合会シンポジウムの女性軽視

2021.9.24 関東弁護士会連合会シンポジウム
「性別違和・性別不合があっても安心して暮らせる社会をつくる」
http://www.kanto-ba.org/news/2021%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E9%96%A2%E5%BC%81%E9%80%A3%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%83%A0%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8.pdf
の第4節「トイレの問題」について批判した、私の2021.12.14の連続ツイートの内容を転載しておきます。(節と章を間違えていたので一部修正しています。ほか太字強調しました。)

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それでは順に見ていきます。まずp322、判決ではなく「補足意見」を引いているということは違憲ではないという判決だったのかなと思いました。経産省事件の地裁判決が(本報告書にも後述されますが)高裁で覆ったことはよく知られています。

第1章第4で「トランスジェンダー」の定義について十分な検討がなされていますが、第3章第4節p323の記載をみると、クロスドレッサーをトランスジェンダーから無意識に除外して検討していると思われます。性自認は男性だが女装をしている時は女性トイレを利用したい身体男性のトランスジェンダーについてです。

p324のこちらも、第1章で詳細に述べられている脱病理化についての議論が完全に抜けています。DSMからもICDからも「障害」が外れた以上、「障害者」にはあたらないと考えるべきでしょう。

p325-326の判例および記載は女性の権利についてあまりにも軽視したものと思います。トランスジェンダーの心理的抵抗には配慮し、MtFが男性スペースを使用することで具体的にどのような不利益があるのかの証明は不要とする一方で、女性の心理的抵抗は「抽象的危惧に過ぎない」と断じ、

不利益は「他の利用者のクレームぐらいであろう」と嘲笑うのです。このような報告書等をもとに進められる政策が女性の性暴力対策と矛盾せず両立するのか疑問です。
報道されるだけでも毎日のように続く性的な目的での侵入や盗撮、性暴力事件など全く存在しないかのようです。

この「抽象的危惧に過ぎない」を無批判に受け入れてしまって良いのでしょうか。公共空間に女性の性的表象のキャラクターを置くことによって女性が受ける「心理的抵抗」や性暴力や搾取につながることへの不安や危惧を、「抽象的危惧に過ぎない」「クレームぐらいであろう」などと軽視されるのと同等以上と思います。

第4節第4の各種アンケートについては、トランスジェンダーの「心理的抵抗」について詳細に分析されており、なるほど心理的抵抗は「抽象的危惧に過ぎない」と断じるようなものではないはずだと思いました。そのあまりの扱いの差に、女性を人間として認識出来ているのかと不安にすら思います。

第4節第5のトイレの歴史については、p365
に述べられるように、女性の人権が全く認められていなかった時代の「当たり前」を参照して男女別トイレは短期間の歴史であるとしており、非常に男性目線の歴史観だと感じました。

トイレに関しての第3章第4節のみを対象として検討しましたが、懸念が深まるばかりの報告書でした。

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