庁内コミュニケーションのススメ

コロナ禍の今、市民生活や地域経済が足元から揺らいでいます。しかし、逆転の発想をすれば、この状況は「好機」と考えることもできます。市民の意識が市政に向かっている今こそ、新たな展開を選択し、広報やマーケティング、プロモーションそして広聴の各能力を発揮する絶好のチャンスといえます。チャンスと書きましたのは、広報広聴課には、見せ方一つで多くの市民の心を動かせるポテンシャルがあると思うからです。

人の心を動かすには、伝え方(デザイン)、世界観(ストーリー)、共感(コミニケーション)、信頼(ブランディング)が必要です。これらは担当課だけでは生み出せません。広報広聴課だからできるデザインやストーリーやコミニケーションやブランドが、市民の五感に訴え心を突き動かします。ただし、これらを生み出すには、市民の心の機微を察知する能力が欠かせません。コロナ後は、担当課に言われたからやるのではなく、私たち課員がそれぞれ市民のニーズや価値観に向き合い、広聴、リサーチ、クリエイティブ、メディアプランニングに取り組むことが、新たな展開につながると思います。

老兵となる私は、役所という組織の中で、率先してリスクを背負い発言し、失敗を恐れず行動しようと考えています。そのため、課内で、そして役所全体で、職員同士のコミニケーションをより深めたいというのが私の希望であり役割と認識しています。

アスマイルのことは健康推進課、ゴミのことは環境衛生課、楠公さんのことは産業観光課、地域サポーターのことは自治協働課、それはそれ課、あれはあれ課が担当なので知りません・・・といえば波風は立ちませんが、まさにハリネズミのジレンマです。お互いの針が当たらない距離感は心地よいかもしれません。例えば、子育ての魅力発信は、広報広聴課ではなく子ども子育て課の業務です。それで市のイメージアップができるでしょうか。外出自粛や詐欺防止を呼びかけは、広報広聴課ではなく危機管理課の業務です。それで市民に上手く伝わるのでしょうか。感染予防のことは、広報広聴課ではなく健康推進課の業務です。それで6月号の紙面ができあがったでしょうか。各課から頼まれたことだけしとけばいいなら、庁内コミニケーションなど不要です。

誰だって自分から発言や行動を起こすのは嫌です。ましてや「みんなで課題を乗り越えよう」なんて声を上げる職員は私も含めて見あたりません。私たち職員は周囲の空気や人の顔色を伺い、クールに他人事のように事務的に働いています。そして「ほら、だから無理しなきゃいいんだよ」と安全地帯から言います。後からダメ出しは誰にでもできること。仲間ならうまくいかない時こそ「じゃあこうしよう」と解決策を提案しなきゃいけないのに、「私には無理」や「うちは関係ない」という職員はどこか違うんじゃないかと思います。なお、この段落中の「職員」は「幹部」や「管理職」に置き換えて読んでいただいても結構です。

私は、このような「お寒い」空気を生む原因は、職員一人一人の目標管理や人事評価をおざなりに(やってますというスタンスだけで)済ませているからではないかと睨んでいます。つまり、目標管理では数字や成果を、人事評価では人材育成やコーチングを、トコトン追求していくことで、どんどん下から提案やアイデアが出され、コミュニケーションが生まれるのではと思います。