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みずほ産業調査でアニメ業界の現状を視る

2022年3月24日、みずほ銀行が『みずほ産業調査』を発表し、その中でアニメーション産業について、レポートがまとめられていた。アニメ好きであれば、ぜひとも読んでほしいレポートだ。

https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/1069_03.pdf

ここで僕が気になったのは、想像以上に動画配信売上高が高いことだ。ビデオソフト市場の縮小よりも、動画配信市場の拡大の方が大きいのだ。これはあくまでも市場規模の話なので、アニメ制作会社にどれほどのリターンがあるかは分からない。だが少なくとも、日本のアニメ製作の多くが製作委員会方式である以上、動画配信市場の拡大はアニメ市場にとって好材料のはずだ。つまり、円盤売上で比較する時代はとっくに終わっていたと言える。

しかも、アニメ制作会社全体の売上高の推移をみると、マーチャンダイジングの領域がかなり拡大している。2015年に258億円だったのが、2019年には564億円になっている。

そして本レポートの結論として、アニメ制作会社が優位に立つには、アニメ製作会社になることが必要不可欠だと締め括られた。特に重要なのはコンテンツの権利保有だ。具体的な方法としては以下のように述べられている。

具体的には、アニメーション製作にあたって徐々に製作委員会方式に依拠しないまたは自社が製作委員会の幹事となるような作品展開を増加させていくことで、将来にわたって自社利用が可能なコンテンツ・カタログを積み上げていくことが重要な打ち手となる。今後配信プラットフォーマーが二次利用に関する権利主張を強めてくるまでに、このような取り組みを積極的に推進することができれば、世界でも高い認知度を誇る新たな「アニメーション製作会社」の誕生が期待出来る。

さて、どれくらいの企業が、実際にリスクを取りながら行動できるのだろうか。成功しているかどうかは一旦置いといて、京アニやP.A.WORKSに関しては行動を起こしているし、良いポジションにいると思う。

逆にいうと、バンナムやソニーグループは、アニメ制作会社をバンバン買収するべきではある。だが不思議なことに、アニメ業界では買収の動きがあまり見られない。なんでなんだろうなぁと思う。


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