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我慢に変わる私の選択

仕事を降りた。
周りに迷惑をかけたし、人間関係も悪くなった。
私にとっては
「私を守ること」
だったんだと今でも思う。
仕事より責任より一か所の人間関係より、
だいじなのは自分だ

     ,:*~*:,_,:*~*:,_,:*~*:,_,:*~*:,_

何年も、補助者としてお手伝いしていた業務を、
同僚とメインでやることになった。
補助者には、ここ数年メインでやっていた男性職員が付く。
9月~12月、業務が遅れた時には1月までかかる
季節ものの業務だ。
同僚は別の業務も持っていて、とても忙しい。
あんまり忙しいせいで胃を壊したと言っていた。

4月のはじめ、業務分担表を見た時に
「なんで彼女と?」
と思った。
彼女がとても忙しく、自分の業務と並行して
この業務に取り組む余裕があるとは思えなかった。
そしてもう一つ、
彼女とは折り合いが悪いことを、所属長には
既に打ち明けてあるのに、
わざわざ彼女と組ませるってどういうことだろう。
これを機会に打ち解けて欲しいとか?
反りの合わない同士に
一つの仕事を仕上げる試練でも与えている
積もりだろうか。
業務分担表が私の手元に配られた時には
分担を決めた所属長は異動しており、
理由を聞くことも難しい。
分担表を見た彼女はさっそく私のところに来て

「私忙しくてこの業務にはあまり携われないので
烏丸さんの言う通り動きますから」

と言った。
絶対ウソだと思ったし、やっぱりウソだった。

補助についた男性職員から
さしあたってやることを聞いた彼女、
いきなり

「男性職員に相談することがあったら
その前に私に相談して」。

えーと、この業務初めてですよね?
そ、相談ですか。
こういうことを男性職員に相談しようと
おもうんですけど、ってお伺いたてろと?
さしあたり私が業務をやってみる事になった
初日、私が夢中になって
退勤時間を5分過ぎたのに気づかないと、

「私がアナタにこの業務をやらせてるって
周囲が思うじゃないの。
自分の業務で居残るのは勝手ですけど、
この業務ではやめて」。

アナタも周囲も、私がどの業務をして
退勤時間を過ぎてるって、傍から見て
分かるんですかね?
何やってたって事務作業やってるようにしか見えんだろ。
それに、順番を変えるだけでかかる時間は変わんないんだよ?
この業務の事で話しかけると、
ロコツにイヤな顔をして

「今じゃなきゃダメ?」
「朝からこの業務の話ぃ?」

私を物陰に呼び出し、

「私にもっと気を使って」。

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彼女は最初、多忙を理由にこの業務をお断りしようと
思っていたと言う。
でも
「上司の○○さんが管理職になりたてだから」
気を使ってお断りするのをやめたんだそうだ。
周囲に気を使い、
自分の仕事だけで手いっぱいな中
慣れない仕事をやっているのだから
「もっと気を使って」
っていうことだろうか。
上司は「気を使うべき人」で
それじゃ私は
「気を使わなくてもいい人」
「気を使う必要もない人」
なのだろうか。
その線引きって、なに?
タダの人を選んでモラハラする
裏表のあるロクでもない人?
自分がよく見られたくてメチャクチャ
言ってんじゃない?

はいはいと作り笑顔をひきつらせながら
私は腹の底でそんなことを考えていた。

この業務は、次の課程に行けば、
あとは入力作業とその確認作業で
業務全体がほぼ終わる。
接触も減るだろう。
とにかくそこまで行こう、と思った。
ところがである。
一つ確認事項ができたその日に彼女が欠勤した。
風邪とかじゃなくて、予定していた欠勤らしい。
その日は次の課程に移る、ギリギリのタイムリミットの日だった。
仕方なく、
彼女へのお伺いなしに、男性職員に相談した。
男性、親切に教えてくれ、確認事項についても
解決してくれた。
その経緯を書いて、彼女の机に貼って退勤。

翌日。
彼女、挨拶しても無視。
メモ、読んでくれた?と聞くと
「読みました」
とよそよそしい。
私怒ってるのよオーラ全開だ。
私の方を向き、(周囲には聞こえないよう)小声で

「なんでこんなことしたの?
先に私に相談してって言ったじゃない。
もうしないで。
あなたのおかげで私胃が△〇◇◆★〇~!!!」

最後のは声が小さかったんだか、
興奮してろれつが回らなくなったのか
よく分からなかった。

「あなたのおかげで私胃が痛くなった」

と言っていたようである。
続けて

「今日は胃が痛いから私の本来業務の
残業できなくなったわ」

と言っていたので。

いやそれ私のせいじゃないだろ。
そんなに自分に相談してほしければ、
欠勤前日に
「私明日休むけど、何かない?」
くらい聞いたらどうだ。
だいたいアンタの体調管理って
私がやるもんじゃないだろ。

困ったもんだなあ…
と思っていたその日の午後、彼女の所に
他部署からお友達が何か聞きに来た。
その人と業務上の話をした後、
聞こえよがしに
「あ~胃が痛い」。
と得意げに、周囲に聞こえるように
大きな独り言を言う彼女。

即行、上司にメールを入れた。

「○○さんとやっている××業務のことで
困っています。時間をとっていただけませんか」

上司は翌日時間をとってくれた。
相談室で。
私が「勝手に男性職員に相談したせいで」
彼女の持病の胃が悪化したらしいことを話し、
「男性職員をメインにして私を補助にしてください。
彼女の健康状態に気を配りながら
メインでやっていく自信がなくなりました」
とお願いする。

上司は私が補助になることを了承してくれた。
男性職員もメインでやることを了承。
彼女は、自分も補助をやると言ってこれも了承された。
結局、後の仕事はメインになった男性職員が
仲の良かった別の職員の手を借りて完成させた。

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それでも私この時降りてよかったと
思ってます。
評価も下がったでしょうし、
非正規なので「更新ナシ」も覚悟しましたが
幸いクビは繋がりましたし、
この人と話すことはほとんど無くなりました。
話すたびに苦痛でしたから、業務上の不便は
多少あるにしろ、まだよかったのではないかと
思っています。
翌年、この業務は
異動してきたばかりの女性職員がメイン、
件の男性職員、私の2人が補助を担当し、
その次の年、対費用効率が悪いと言う理由で
廃止になりました。

職場や家族、親族の間で、私は
「自分を守る」
事を考えたことはありませんでした。
お互い協力しあって成果を上げ、
温かい人間関係を作り上げるもの、
と思っていました。
この件をきっかけに、どんな集団の中でも
自分を守ろうとするのは大切、そのためには
「避け」、「距離を置き」、「逃げ」ることを
自分に許そうと思うようになりました。
同時に周囲の人々にもそれを許さなくちゃ
いけない、とも思っています。
何年も前のドラマじゃないですが
「逃げるは恥だが役に立つ」ものです。







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