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私が契約者でも疑問に思わない世代が出て来たんだなあ。

(写真は🎄Merry Christmas 🎄によるPixabayからの画像)
ガラケーをスマホに替えた。
主人(*)の口座から私のスマホ代も一緒に引き落としてもらうと
なんかいいらしい。
承諾を得るために主人に電話したけど繋がらなかった。
面倒だから私の口座から引いてもらう事にした。
だからなんだろう、契約書を見たら契約者が私になっている。
その後手続き上どうしてもショップへの主人の同行が
必要になり、一緒にショップへ。
対応に出てきた男性に、昨日の契約者を
主人に替えて欲しいって言った。
理由をきかれた。
は?どうしてって…。
当たり前じゃないか。
契約者なんて大事なものは、世帯主で主人たる夫がなるのが当たり前
じゃないか。
対応しているのはメガネかけてほっそりした、スーツ着た兄ちゃん。
はっ!
この世代の女性は、夫を主人なんて言わない。
連れ合いとか相方とかだ。
男性も、家内とか、まして愚妻なんて言わず
「妻」って言っている。
そんなの、勤務時間に堂々と繰り広げられる井戸端会議で
嫌というほど聞いてるじゃないか。
この世代に
家事をすることで妻が夫に養われ、
妻にとって夫は自分を養い所有するご主人さまだ
という考えはないのだ。

一緒に稼いで一緒にカネを出し、2人の間は平等だ。
たぶん。
私の「当たり前」は彼の「当たり前」じゃないのだ。
アワを食って理由を探し出す。
「う、うちはそういう事になってるんです。
あ、あの、責任という事もありますし、
私の方が収入ずっと少ないですし…」
ふっと、30年前の事を思い出す。
パート先で、
取引先のクレジットカードを作ってくれと
男性社員が申込書を持ってきた時だ。
「私作れるんですか?パートですよ?」
男性社員は事も無げに言う、
「ここにね、旦那さんのハンコついてもらってください」
私の主人は私の保護者なのか。
私は未成年でもないのに、主人のハンコがないと
契約ひとつできないご身分だ。

主人はクレジットカード大嫌い、
いつもニコニコ現金払いの人。
「主人はハンコ貸してくれないんです」
答えるが早いか、彼は目の前に広げた書類を引っ込め
私の席から離れて行った。
主人がハンコを貸してくれないお陰で、私は世の中での
自分の立場というものを嫌というほど思い知らされた。

知っていた方がいいのだ、と自分に言い聞かせた。
いい歳の女が、社会に一歩でれば半人前としか扱われず
実際カネも地位も、責任のとれるモノは何一つ
持っていなかった。

メガネのにいちゃんは私の言い訳を聞いても分からない。
「ん、どちらでもいいですけど、
何かあってご契約内容を変更する時に、旦那さんに来てもらう
事になりますがよろしいですか?」
メガネくんにとって契約者って、
「何かあった時に来てもらう人」くらいのモノなのかな。
それなら私じゅうぶんだ。
「あ、そうですね、主人忙しいですから。
私の方が都合がいいですね、動きやすいですから」
主人の前で、本当は私なんて不適格なんだけど、
飽くまでも動きやすさを優先させた選択であることを
強調する私。
とにかく全部済ませて私と主人は店を出た。
いい天気。
また回想してしまう。
母は、50を過ぎて念願の洋服屋を始めた。
父が定年退職した、退職金から資金を少し出してもらった。
病弱な父を支え、母はそれこそ20年近く
獅子奮迅の働きを続けてきた。
父の長い入院中、生活費を補うために働き、
父親の役割も引き受けた。
私は小学校と中学校の卒業証書を父に、
入院先の病院へ見せに行った。
こんなに頑張って来たのに、電話線1本引くのに
お父さんのハンコがないとできないのよ

と言った母の悔しそうな顔がちらつく。
今は電話ひかなくても携帯1つ持ってれば
充分仕事になるし、
クレジッカードも非正規だってつくれるようになった。
女性の地位があがったのか?
契約者が軽くなったのかな?
きっと両方だ。
ホントのところ、
誰のメリットになって、
誰のデメリットになってるのかは
知らないけれど。
(*)夫のこと。主人、旦那等対等な関係ではない、妻より常に上位にある呼び方が当たり前の時代があった。…だんだんこんな注釈が要るような頼もしい世の中になるのかな。

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