D4C
JJF2016コバヤシ劇場に神庭君・小高とチーム「D4C」として出場させていただきました。
きっかけは、個人として小林さんからスカウトをいただいていたのですが「予選落ちを集めてそのままやってもなんかあんまりポジティブな企画にならないし、話を受けるならなんかいい形でやりたいな」と思っていたところ、同じように考えていた神庭君(彼もスカウトをもらっていた)から声をかけてもらって、じゃあ小高も同じ状況だし3人でやろう、となりました。「新しい試み」を提示できるならいい形だな!ということで。全くのノーアイデアでしたが「おおよその形はできている」と小林さんに大嘘をぶっこいてokをいただき、チームD4Cが結成されました。(D4Cというチーム名は3人とも出身が「男子校」だからです。「Okamotos」(神庭案)「落選カードマン」(小高案)という案もありました。お前ら俺をなんだと思ってるんだ)
◼︎考える順番について
というわけで、チーム唯一のサラリーマンであったはずの僕ですが「面白そうだしやってみるわ〜」と軽くルーティンの全体設計を引き受けてしまいました。
もっとも大きい制約として、「とにかく時間がない」ということ。神庭君からやりましょうよと言われた時点でJJFまで6日間、小林さんにご相談して、小高を押さえて、で動ける状態になってから4日間だったわけです。しかも僕はJJF前日まで仙台に出張。3人が会える時間はJJF初日の昼からチャンピオンシップまで。ソロでもこんなタイトなスケジュールやったことない。
これは本当に正確に余計なことをせず一本道で作れなければ崩壊するなと思いました。なので一番最初にやったのは、「作り方」を作っていく作業です。何はともあれここから手をつける、ここまで出来たらその段階は終了、今やるべきはこれなのでこれに集中、という「段階」がわからなければ無用に実験や相談をし続けることになってしまいます。よくいう「やらないことを決める」ですね。
というわけで決めたのが以下の順番です。
・やりたいことのブレスト
・制約に合わせてやりたいことを削る
・コア(一番見せたいところ)を決める
・曲を決めてシーケンスを配置
・2人に共有
・練習
そしてこれにざっくりと日付・時間を入れてスケジュールを決定。(新幹線が仙台に着くまでに曲は決定、仙台を出るまでに二人にざっくり大枠の流れを共有、とかそういう恐ろしいスケジュール。)慌てていて何からやればいいのやら、という状態になっていましたが、整理してみると基本的には個人の作り方とそう変わりませんでした。いつもであれば大前提に演技コンセプトを作るのですが、これは個人的に思っていることとかを掘り返したりする作業で、時間がないので今回はそれは省略。ただ、特徴のないことはしたくないので、「僕が作る」色を出せるのは構成や配置の工夫かなというところで、そこはしっかり重点的に考えることにしました。
◼︎共有方法について
チームの作品を主導的に作ったことがなかったのと練習できる期間がほぼなかったのとで、もう「これをやって」を並べていけばokなレベルで具体的にイメージを固めなければいけないし、その共有が少しでもミスると終わるなという思いがありました。僕の指示を聞いた二人が「えっ、どういうことですか」と絶対にならないには、という部分を意識しました。
というわけでひとまず決めた作り方の上から順にこなしてまずは演技を固めました。ブレストに関しては、ピースだけなら本当に3人って色々できて。残念ながら捨てたものであと2作は作れそうな分量でした。僕個人として一番見せたかったのは、「5つのボールを音に合わせて置いて、別角度から拾うと全員ジャグリングできるボールの数に揃う」というものでした。4:04くらいからです。けど、、音外すし僕は最後の一個弾いちゃうし大失敗でしたね!
るきあきらの際にも学んだことだったのですが、チームだと動きの濃さである程度視線の誘導は可能です。なので「お客さんから見て一番目立つところ」を中心に構成を考えていきました。
なので、最初に考えていたルーティンの進行表はこんな感じだったわけです
大枠の流れはこれでokだと思います。ただ今回は3人いるわけで、お客さんの見るべきポイントではなくて「小高のつもりで6分の動き」「神庭のつもりで6分の動き」を想像してみたところ「あれ、ここ俺何やるんだっけ・・・?」となる部分が多発したわけです。なので、最終的に2人に送ったのは下の形でした。
チームとしてどこに視線が集まるか、どこがメインのラインになるか、ではなくて、もう「ソロ×3」の意識でやってしまおうと。そうでないと(そうでなくても2人はうまくやってくれたと思いますが)迷いが生じてしまって時間が無駄になってしまいます。
練習できる時間が6時間ないくらいの中で、一番無駄になるであろう時間は「ここどうします?」「あ、わかんねー、決めてなかったわ」「じゃあ考えましょう」と、実験を繰り返すことだと思います。確実にそれが発生しないような形にしたかった。この各個人のタイムラインのかたちにすれば、間違いなく迷わないな、と気づけたのは今回一番の学びでした。また次に僕がチームをディレクションする立場になれば同じようにタイムラインを組んで共有すると思います。
そして、イメージは固めていたのですが、コンビネーションのパターンやボールの並べ方、などの部分は実はそこまでしっかり決めていませんでした。コアになるところなので、そこは現場で実際に動いて考えたいと思っていました。
コンビネーションのパターンに関しては小高と神庭君が結構なレパートリーをそもそも持っていて、そこから引いてこれれば問題がない、とわかっていたということ、ボールの並べ方に関しては、大枠の絵や流れを描くのが好きな僕よりも、パターンやアルゴリズムを決めるのが得意な神庭君や、細かい部分を意識できる小高に決めてもらった方が正確にやってくれそうだなと思ったからです。ここはながめくらしつで一緒にやった時に二人の考え方の特徴がわかっていたのでとても楽でした。
「僕は『並べたのを別角度からとると数がうまくあってる』って絶対面白いと思うんだけど、そういう細かいこと考えんのめんどいから具体的なやり方は君ら二人でうまいこと頼むよ」と言ったら本当にうまいことやってくれました。ありがたいです。(僕はその間グミ食ってました。)
正直言うと、もうちょっといろんなつまづきがあるだろうなと思っていたのですが、2人の実力・理解力の高さに多大に助けられ、僕の想定以上につっかかりもなく、大幅に変更することもなく、奇跡的に決起から4日で完成しました。
◼︎今回の学び
チームルーティンを作るのは、基本的にはソロと変わらないものの、共有の仕方が鍵になってくるということ。
そのためには、お客さんから見た視点からの設計ではなく、例えば3人なら「ソロ×3」の意識で考えること。
また、今回の話では進め方に絞ったので書きませんでしたが、3人の配置の考え方などもとても勉強になりました。
神庭君小高の実力の高さ・理解力の高さに依存したところがかなり大きいのですが、とても楽しかったです。そろそろ自分が出ない作品というのも作っても面白そうだなと思いました。チームのディレクションのお仕事、お待ちしています。
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