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うたうたい渡辺美里アルバムヒストリー~10th. Spirits

チャプター3~鉄腕アトム足音シーズン
10th 1996年7月12日 Spirits

「MISATO IS BACK!!!」
就職して遠くに行ってしまった近所の素敵なお姉さんが地元に戻ってきてくれたような喜び。
1995年に発売されたシングル「世界で一番 遠い場所/Promise」でその予兆はありました。
1995年はデビュー10周年で様々な出来事がありました。
初のベストアルバムリリース
初のライブアルバムリリース
初の西武球場ライブ生中継(衛星放送WOWOW)
よって、オリジナルアルバムのリリースはなく、ナンバリングとしては
1994年9月7日発売の「Baby Faith」から2年が経過。
そのぶん、かなりの時間を使って制作されたと推測します。
そして唯一、本人の誕生日に発売されたアルバムでもあります。
プロデューサーは 渡辺美里本人、小坂洋二御大、そしてプロデューサーとしては初参加となる佐久間正英。伝説のプログレバンド四人囃子に参加し、JUDY AND MARYやGLAYのプロデューサーとして大ヒットを連発している最中の招聘です。
チャプター3「鉄腕アトム足音シーズン」の始まりです(勝手)
僕としては大学に入り、いろいろな意味で世界が広がり、今までと同じように渡辺美里を聴く時間がなくなってきた頃です。そのためレビューも内容が薄くなっている懸念があります。
ただ、何かのタイミングで渡辺美里を1曲聴き始めると、あれも聴きたい、これも聴きたいとどっぷりつかっておりました。これは2024年現在でも、です。


1. 「東京生活」
作詞/渡辺美里 作曲/村部淳一・後藤孝顕 編曲/西平彰・後藤孝顕
「ちょっと熱を出した寒い夜には
 鉄腕アトムの足音みたいに
 風を切って飛んできてくれた
 勇気100倍 あなたの強さ」
僕の生き方が決まった瞬間です。
「あなたの優しさ」ではなく「あなたの強さ」
そう、「強い」のです。
バブル時代には、いい意味でも悪い意味でも「メッシー君」「アッシー君」ともてはやされた男子たち。バブル崩壊後に「俺たちこのままでいいのか」と思い悩む日本男子に、示唆に富む歌詞です。
「ああ、そういうことか、間違ってないよね」です。
ぜひとも小学校の道徳で教材にして頂きたい。
アルバム「ribbon」の「tokyo calling」で嘆き
アルバム「tokyo」の「tokyo」で愛を叫び
アルバム「Spirits」の「東京生活」で喜びへと昇華。
足掛け9年、東京3部作はここに完結(勝手)
最上の物語です。


2.「とびだせ青春」
作詞/渡辺美里 作曲/石井妥師 編曲/石井妥師
これです。これ。渡辺美里です。背中をそっと押すのではなく、「バンッ!」と叩かれます。「飛び出せ青春 キラリ 輝きたいじゃん」です。
大人になっても、何歳になっても、青春です。

3.「My Love Your Love(たったひとりしかいない あなたへ)」
作詞/渡辺美里 作曲/渡辺美里 編曲/佐久間正英
先行シングルとしてリリースされた本作は、うたうたい渡辺美里の真骨頂。
とても大切なメッセージを僕らに届けてくれました。多様性の社会、ダイバーシティと言われる現在の、はるか前に答えは出ていたのです。作曲も本人がおこない、本アルバムラストにインストも入れるあたり、かなり思い入れが強いのではないかと推測。
「たったひとりしかいない あなたへ~夢であいましょう」
とてもとても意味深です。


4.「熱いふたり」
作詞/渡辺美里 作曲/渡辺美里 編曲/清水信之
恋する人魚、Nudeの姉妹曲(勝手)付き合い始めた2人の初めての夏(と推測)一番わくわくどきどき、ロマンスあふれる瞬間。やるじゃんと言われた女の子がちょっと大人になったシーンを描いているようで素敵です。

5.「Pain」
作詞/渡辺美里 作曲/渡辺美里 編曲/奈良部匠平
とてもとても大切な人のことをうたった愛の歌。ここで対象となっている人はアルバム「Lovin' you」に登場した人かしら。
「あの日 確かに 二人の愛がはねた」
「はねた」のです。もうコントロールできないところにいってしまったのです。悲しくもあり、でもやっぱり大切な人を想う歌です。


6.「LOVE IS HERE」
作詞/渡辺美里 作曲/石井妥師 編曲/石井妥師
渡辺美里による愛のステートメント。
「ラブイズヒィア!ウォー!」とロックにシャウト。これです。待ってました。愛するとは果てしない戦い、かつ生きている証なのです。
作曲、編曲の石井妥師は「いつかきっと」から加わったメロディーメーカー・本アルバム以降、多数の楽曲を提供し、とくにライブで盛り上がる、キャッチーな名曲をつくりあげる逸材です。


7.「スピリッツ」
作詞/渡辺美里 作曲/石井妥師 編曲/石井妥師
こちらも石井妥師による、ライブで盛り上がること間違いなしの名曲。サックス以外は全て自分で演奏してしまう気合の入りようです。歌詞はどこか岡村靖幸っぽく(失礼!いい意味でです。)口ずさみたくなる、声に出したい日本語です。
「泣きたいときにもVサイン」は仕事で追い込まれたときに、心意気として肝に銘じております。

8.「グッときれいになりましょう」
作詞/渡辺美里 作曲/村部淳一・後藤孝顕 編曲/清水信之
渡辺美里、佐橋佳幸、清水信之の同窓トリオが会したのは6thアルバム「tokyo」以来、6年振りです。それぞれがキャリアを積んで再び集結。渡辺美里の歌声もどこか楽しそうな印象。恋の決心=愛するということでしょうか。ある意味、悟りの歌です。
2004年のライブ映像が公式Youtubeで配信されました。アンプラグドスタイルがめちゃめちゃカッコいいです。


9.「キャッチボール」
作詞/渡辺美里 作曲/みやもとこうじ 編曲/佐久間正英
とてもとても悲しい歌です。前作「Baby faith」の「I wish」の続きの物語のようであります。当時30歳の渡辺美里が11年前の19歳のことを歌う。若いときは「どうして あんなに せかされるように」なのでしょう。自戒をこめて反省です。


10.「グリーン・グリーン」
作詞/渡辺美里 作曲/石井妥師 編曲/佐久間正英
石井妥師のメロディーラインに、どこか懐かしさを感じさせるアレンジを加えた佐久間正英。それを高らかに、大らかに歌い上げる渡辺美里。新しい経験や、未経験のことに直面しても、根っこにあるのは、あの時に一瞬光ったきらめき、きらきらした瞬間の思いを大切にしたいと思います。

11.「Life」
作詞/渡辺美里 作曲/渡辺美里 編曲/奈良部匠平
「真新しいストーリーはじめよう」というこだわりの歌詞。「新しいストーリーはじめよう」でも譜面上は問題なかったはず。それに「真」をつけるこだわり。ストーリー=ヒストリーのようにも感じられます。10年を区切りに新しい渡辺美里をはじめていく、新しい歴史を築いていく、そんな決意。当時30歳になった渡辺美里。まさしく新しい10yearsなのであります。

「My Love Your Love〜夢であいましょう〜(Instrumental)」
作曲/渡辺美里
非常にめずらしい、インストのみ。みずから作曲したメロディーを「My revolution」でキーボードを弾いた西本明が奏でます。10年前の大ヒット曲をトレースするように、新しい1ページを始めるように、西本明が弾くことでとても深いメッセージとなりました。


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