【読書ノート】『異能機関」by スティーヴン・キング
スティーブン・キングは普段はあまり読まないけれど、2024年版「このミステリーがすごい!」にランキングされていて気になったので手にとってみました。
結果、とても良かった!!アメリカの片田舎の情景が目に浮かんでくるようで、臨場感に溢れていて満ち足りた読書体験となりました。
あらすじは簡単にまとめると以下。超能力を持つ子供たちが各地で秘密裏に拉致され〈研究所〉に集められ、その超能力を高めるために様々な不快な実験が何十年にも渡って続いている現代アメリカ。主人公の天才少年ルーク(12歳)が拉致され、〈研究所〉でTPやTK(テレパシーやテレキネシス)の能力を持つ他の子供たちと出会って….。
読み物として優れてるなぁと感じたのは、導入部はティム・ジェイミースンという元刑事(42歳)の話から始まるところ。警察を退職したティムがフロリダから友人のいるニューヨークに向かうが、ひょんな流れで途中の南部の片田舎に留まることに。60ページに渡りティムの物語が展開されるので、もうこのままティムが主人公の物語で最後までいってもいいんじゃない?と思った読者は割といるに違いない笑
ティムとルークの人生が交差するのは、上下巻の下に入ってから。2人が出会う前に読者がピンとくる箇所があるのですが、興奮してうわー!と叫びたくなったほど。全く違う世界にいる物語の重要人物同士が出会う場面が読者にもたらすエクスタシーよ。
私は以前アメリカに5年ほど留学していたことがあり、アメリカの片田舎の風景やロードトリップがとても好きなので、大分物語に入りこみました。
少しだけネタバレになりますが、途中でルークが決死の覚悟で研究所を脱出して、なんやかんやあり、ぼれぼろになって貨物列車にこっそり乗り込んで逃亡するシーンがあり、その一連の流れがこの本の中で一番印象的でした。この本は毎日夜中に読んでいたのですが、その時間帯のマジックでもあるのか、本の世界に入り込み、ルークを身近に感じ、心の底からハラハラしました。
このハラハラ緊張する感じは、映画「グーニーズ」や「スタンドバイミー」を思い起こさせました。(ま、「スタンドバイミー」は同じくキング著なので、空気感が似ているのは当然とも言える)
特別な能力を持った子供たちに対する人体実験の数々の描写は読んでいて辛いところも多々ありますが、この本を読むことができて良かったです。夏休みの読書におすすめ。
夏に何か小説でもじっくり読んでみたけど何がいいかな〜?と考えている方がいらっしゃったら、候補のひとつにしてもいいかも。バイオレンスやグロいシーンも結構あるので、苦手な方はご注意。