デレマスコラボのT3-01はどう使うべきか

今回は、まもなく届くであろうT3-01 IM@S-CGをどう使いこなせばいいのかという視点で書きたいと思います。
コラボモデルが何台製造されどういう人の手に渡るのかは全く分かりませんが、「とりあえず買ってみたけど」な人に届けばいいなと思います。
大分個人的な見解が多くなり、一部オーディオの定説から外れるようなことを書く可能性がありますので、参考までに読んでいただければ幸いです。

そもそもスタジオモニターヘッドホンって?

ここからの人も居るかもしれません。言葉を分解すると分かりますが、

音楽「スタジオ」で音を「モニター」するための「ヘッドホン」です。

最終的にはGENELEC製とかのバカでかいモニタースピーカーというもので確認を行います。ですが、その前段階の細かい確認や調整を行う際には微細な音や変化まで見なければならないため、ヘッドホンがもっぱら使われます。また、スタジオのスピーカーで鳴らすとマズい様々な機会でもヘッドホンが使われています。
そのためのヘッドホンがスタジオモニターヘッドホンです。

よく言われる「高いヘッドホン直差しかよ~」

お高いコラボヘッドホンやイヤホンでよく言われるのが「そんな高いの買ったのに元はスマホ直差しかよ!」という言葉です。この言葉は歴史の変遷をたどっていて、「DAP直差しかよ!」とも言われていました。

要するに「そんなオモチャじゃそのヘッドホンはロクに鳴らない!」と言いたいのです。

代表的な事例が、「澪ホン」(けいおん!)AKG K701です。放送当時は2009年、今から11年前(!)、iPhoneは3GSが出たかどうか、DAPはiPodが至上だった時代。世間にはハイレゾのハの字もありません。
そんな時代の携帯電話やDAPにスタジオモニターヘッドホン(AKG K701もこれです。)を駆動できるはずも無く、コラボモデルでもないのに当時8万円(!)もしたヘッドホンをバイト代で手にしたオタクは直差しで首を傾げたのです。

ですが、時代は変わりました。

今や猫も杓子もiPhoneで毎日音楽を聴く時代。Apple社もスマホ各社もDAP各社もヘッドホン出力を飛躍的に進化させてきました。
(その結果ヘッドホンジャックが無くなるとは思いませんでしたが。)

また、T3-01については多胡さん自ら、

だからT3-01も音楽制作と同じで、iPhoneで鳴らしても良いバランスで聴こえるように作ったので。

e☆イヤホンブログ「TAGO STUDIOに行ってみた! メイドイン高崎のヘッドホン『T3-01』に迫る」より

と公言されているので、iPhoneしか無ければとりあえずiPhoneに差しても問題無いのではないでしょうか。

時代が変わったのです。

何につなげばいいの?

「でも、なるべくいい音で聴きたいよ。」と考えるかと思います。
当然です。自分も今のiPhoneのヘッドホン出力アダプタがめっちゃ良い音出してるなんて微塵も思いません。

いくつかコースを提示しておきますので、お好みで選択してください。

・"音質にこだわってる系"DAP
一番お手軽なコースです。どこにでも持ち運べて電源も内蔵しているので気軽に音楽を楽しめます。メーカーも多く好き勝手選べます。
というか、一台ぐらい既に持っていませんか?差してみてください。いい音鳴ってません?

・"音質にこだわってる系"スマホ
イヤホンジャックが消し去られる前はよくありました。SONYはXperiaにお得意のS-Masterフルデジタルアンプを搭載していましたし、他社もDAPに負けない高級なオーディオ部品を搭載することもありました。
一台ぐらい既に持っていませんか?差してみてください。いい音鳴ってません?

・USB DAC+ヘッドホンアンプ(予算1万円~)
新規導入するには一番お手軽なコースです。
パソコンやスマホとUSB接続するとヘッドホンが鳴ります。
ただ、星の数ほど製品があり、これという物がありません。
「とりあえず1万円ぐらいで!」という方はAJURIKAさんも買われたFiiO K3(約13,000円)はどうでしょうか。この値段にしてバランス駆動もでき、手堅くまとまっています。

・据え置き系(予算5万円~)
DAC+ヘッドホンアンプのデカい物をドカンと置いたり、DACとヘッドホンアンプを個別に接続したりしてガッツリ組みます。
TAGO STUDIOさんでは展示にPioneer U-05(終売 約8万円) OPPO HA-1(終売 約15万円)等を使われているようです。
突き詰めるともうスタジオの機材買えばいいんじゃないのという領域です。

・お店で相談(予算要相談)
アリです。e☆イヤホンとかが近所にある方は行って相談してしまいましょう。接続するヘッドホンは決まっているので予算を決めれば話の進みはとても早いです。
相談せずともDAPやアンプを試聴しに行きましょう。試すことは良いことです。
(コラボモデルを持って行くのは恥ずかしいかもしれませんが。)

おすすめしないパターン

なんでもいいんじゃないの?とでも言われそうなおすすめの仕方でしたが、もちろん間違ってもおすすめしないパターンがあります。

・パソコン直差し
一部の"オーディオ超こだわってる"系パソコンを除いて、近年珍しい「音なんて鳴ればいい回路」が搭載されています。簡単にノイズが可聴領域に侵入してきます。

・スマホのヘッドホンアダプタ
最近よくあるヘッドホンジャックの代わりに充電口に差すタイプのものです。人差し指大の基板にUSBの回路、DACの回路、アンプの回路を詰め込んでいるので、余裕がありません。

バランス駆動ってどうよ

ヘッドホン界隈で最近必ずと言っていいほど上がるのが、この「バランス駆動」です。
自分としては「DAPやポータブル機器ならいいんじゃない?」というスタンスです。

バランス駆動にはチャンネルセパレーションの向上、S/N比の向上等々色々言われていますが、一番は実質的なアンプ出力の向上です。
とんでもなく乱暴に言うと、普通と比べてアンプ回路を2倍使っているのでアンプの出力も2倍になるのです。
バッテリーのためにむやみに回路の出力を上げられないDAPやポータブル機器でも出力を稼ぐことができ、ヘッドホンの駆動に余裕ができます。
(その分バッテリーの減りは早くなります。)

今持っているDAP等にバランス出力が付いているのであればリケーブルして一度試してみるのも良いかと思います。
また、お金に余裕があるならそれ以上の構成も止めはしません。色々試してみるのが一番です。

リケーブルってした方がいいの?

T3-01は本体の改造無しでリケーブル(接続ケーブルの交換)ができますので、リケーブルに向いた機種と言えます。リケーブルには主に3つの目的があり、

・長さを変えたい
まんまです。長くしたい。短くしたい。
標準では1.8mのケーブルが付属しています。(スタジオでの使用を考慮しているため長めです。)
純正では、1.2mのケーブルT3-CB21が売っています。

・接続方法を変えたい
ジャックを変えたい。駆動方式を変えたい。
よくあります。特にバランス駆動はジャックの形式が色々とあるため、接続先の機材に合わせてリケーブルします。

純正では、
・2.5mm4極 T3-CB31 (AK方式と呼ばれます。)
・4.4mm5極 T3-CB41 (SONYはこれです。)
・XLR4ピン T3-CB51 (据え置きアンプによくあります。)
の3種類が用意されています。

社外品の既製ケーブルもありますが、似たようなケーブルでもジャック外径が太くて入らない、ピンアサインが違う等々ありますので、対応をきちんと確認してから買いましょう。
この他は自作するか、ケーブルを作ってくれるお店、個人の職人さんにカスタムケーブルの依頼をすることになります。

・音質傾向を変えたい
一番熱いところかもしれません。付属のケーブルから材質やメーカー、年代(!)を変えたりして音の変化を楽しみます。
が、多胡さん曰く

フ: ケーブルの話に戻りますが、材質などはどんなものを採用していますか?
多: あ、それはいい話がありまして(笑) 最初の頃は昨今ケーブルに凝る人が多いし、高額なものが良いだろう、という考えで銀コーティング素材のケーブルを使っていたんです。で、シルクプロテインコーディング振動板にして高域が伸びたら今度は高域になんかまとわりつく感じが出て、振動板を調整しても他をあたってもその感じが付きまとう。困っていた時、ある日ふと「ケーブル変えてみる?」と気が付いてやってみたら、一発で解消しました(苦笑)今は一般的なハイグレードOFC線材を使っています。コストダウンにもなりましたし、やはりトータルバランスでチューニングしていくものだな、と思いましたね。


フジヤエービックブログ 目福耳福「【特別企画】”DEEP INSIDE Vol.2″我々はまだ本当の群馬を知らない(Part1) TAGO STUDIO T3-01秘話。」より

なので、お高いからと銀メッキケーブルを使うと二の舞になってしまうかもしれません。奥深い世界です。

エージングってどうすりゃいいの?

自分としてはおすすめはしません。
というのも、音が変化するにしても、新品の箱を開け、初めて音を聴き、その後の変化を楽しんでいくのもオーディオの楽しみだと思うからです。

どうしてもやりたいという場合も、
・ピンクノイズ
・ホワイトノイズ
・「ヘッドホンの音が良くなる音」
・大音量
は全くおすすめできません。ここまでくると「ノイズ音を大音量で流してたら音が変になりました。」でメーカーが保証修理してくれるかという話になってくるからです。

自分が聴く曲のコレクションで、自分が聴く音量でやるのが無難だと思います。

最後に

色々と書きましたが一番は「自分の気に入った環境で自分の気に入った曲を聴く」ことです。これに勝ることはありません。
ヘッドホンこそ同じですが、お気に入りの環境を見つけてもらえればと思います。

次回は、T3-01で聴くのにおすすめのシンデレラガールズ楽曲を取り扱いたいと思います。

→書きました。


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