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シリーズ終了

 上田秀人さんの『禁裏付雅帳』シリーズの最終巻です。このシリーズは、これまでの作品と違う設定が多く新鮮でした。

 まずは、主人公の剣術が人並みで、自分の身を守る事が出来ません。祖父が道場を家に作り、剣術が出来るとアピールし、『使番』という役目につきます。その影響で、道場主に出張稽古をして貰っているのに、弱いのです。

 前半は、主人公を走狗にしている権力者から、用心棒として剣術の出来る2人の部下をつけられ、後半は、潰れかけた道場主を家臣として雇い、用心棒にします。

 次に、物語の舞台は江戸ではなく京都です。京都で、武家と公家の板挟みになり、お互いの闇に触れて、悪戦苦闘します。大阪在住なので、地名が身近でイメージしやすく、楽しめました。

 最後は結末、あっさり話が終わります。その後の説明みたいな物もありません。『なんで⁇』と思いつつあとがきを読んだら、『読者の皆様の想像にお任せします』との事。

 単行本で出版した『天主信長』は、2つの結末を考えていて、片方を選択。もう一つも世に出したくて、文庫化する時に表と裏に分けて、2冊を出版した作者。色々な結末があるけど、あえて読者に任せたと想像してます。

 作家生活20年なのに、常に変化と新たな手法を試していて、『後輩達に負けずにチャレンジせねば』と思わしてくれるシリーズでした。

 でも続編を出して欲しいな〜

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