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INTERVIEW FILE:菊池 天

「野球をお祭りに」

男の名は菊池 天(きくち そら)。岩手県滝沢市出身・1996年3月6日生・背番号4・花巻東高校-産業技術短大・電気設備保守兼内野手・主将。今回はこの男の魅力に迫るべくインタビューを行った。

高校時代

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盛岡北シニアで野球を学んだ男は、祖父からの「本気で野球をやるならば私立に行きなさい」という後押しもあり花巻東高校野球部の門を叩く。菊池雄星投手で一気に全国へその名を馳せた同校。入学時、2つ先輩には大谷翔平選手がいた。

「あれもこれもでぶつかっていっても県内の有望選手が集うチームでは輝けないと思いました。とにかく守備力でアピールしようと考えました」と練習の虫になり長所が輝くように取り組んだという。

3年夏、岩手県大会ではベンチ入りし主に三塁コーチャーや守備固めとしてチームに貢献した。岩手県を制したチームはその夏、全国ベスト4と快進撃を果たすが、男は甲子園ベンチメンバーからは外れていた。

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「出場機会は多くありませんでしたが、花巻東に行って正解だったとは思います。野球の上手い下手だけでなく人間関係の幅が広がりヒトとして成長できました」

「特に印象的だったのは、『義務と権利』というハナシです。ベンチに入れなかった選手たちは全力でプレーする『権利』さえ与えられていない。だからこそベンチ入りしている選手は全力でプレーする『義務』があるという内容でした」と野球の優劣だけではなく人格形成も非常に重要視していた監督の存在を明かす。

社会人として

地域貢献や地元であること、さらにはシニア時代の羽田野監督(経済連で都市対抗出場経験あり)からの勧めもありJR東日本盛岡支社へ入社する。

野球部員の多くがいわゆる営業職(駅員や乗務員)であるのに対し、男は電気設備保守を担当する部署に配属された。いくつか経験を経て、現在は変電グループ(電気を受電し適正にして電車へ送る...etc)に所属している。

「基本平日5勤の土日休みです。多くの部員が平日の泊まり明け勤務などで練習しているなか、平日はジムに行くなどしかできていません。土日から土日となると感覚的に鈍る部分もありますが仕方ありませんし、仕事は仕事でやりがいを感じています。だからこそ自分でなにかを犠牲にしなければならないと思っています。本気で野球に向き合う以上はそこの判断が大事ですね」と愛妻の理解のもと自身の時間を使えていることに感謝していた。

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昨年、二塁手・三塁手・遊撃手と男にはユーティリティ性が求められた。「チームとしてそういったバックアップする選手が必要なのは分かりますが、やはり自分が出ないと面白くないのが本音です」と語る。苦渋のシーズンが終わり来季へ意欲を燃やすなか、新キャプテンへ就任。監督からの「頼むよ」という電話に快諾したという。

「キャプテン指名は嬉しかったです。とはいえ、もうみんな大人ですからあれこれと言う必要性は感じていませんでした。『東京ドーム出場』を達成するためのベクトル合わせが僕の仕事かなと思っています。相手を攻略する方法でも1点を獲る方法でも十人十色ありますからそのベクトル合わせですね。方向性としては走塁でプレッシャーかけられるのは守備として辛いはずなのでそのあたりは徹底していきたいです」と語る背景にはある言葉があるという。

剛毅朴訥(ごうきぼくとつ)。これは僕の好きな言葉で、派手さはないが強い気持ちでしっかりとするという意味です。自分が出るのは終盤の緊迫した場面でひとつのミスも許されないでしょうから、出ているときは強い気持ちが必要だと思っています。また今回キャプテンに任命されたので、言いづらいこともしっかり言っていきたいです」と座右の銘を胸に決意を語った。

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現在の取り組み

「数年社会人野球を経験して、強いチームは内野ゴロでも間を抜けていくイメージがあります。そこからゴロでも間を抜けばいいんだ→インパクトが強いと抜けるのでは?と考えました。しかし投手力が高くミックスされると対応に限界がありました。そこでインパクトの強さではなく、シンプルに芯で捉えた方が強い打球はいくという気づきに至りました。打たないと試合には出れませんからね。今は打撃練習のすべてで芯で捉えることを強く意識しています」

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転機

男は野球に対する考え方が変わったいわゆる”転機”が社会人野球だと語る。「時代的にもカラダの仕組みを選手レベルでも知る機会がありますし、いろんな情報に触れることも容易になっています。ここまで考えて野球をやってこなかったので今が楽しいんですよね」

さらに夢を語る。

「一番大きい夢は野球をお祭りにして地域を盛り上げたいんですよ。地域が盛り上がるときは鉄道やスポーツやお祭りが関わってくるじゃないですか。最近だとラグビーワールドカップなんかが良い例で。都市対抗野球を見に来てほしいですよね。特に子どもたちには身近にこういう世界もあることを知って欲しい」

オススメの選手

「いません。このチームの戦っている姿を応援していただけたら嬉しいです。自分で時間作って練習して1回負ければ終わりのトーナメントに挑んでいる姿を。なにより自分自身がそういった社会人野球の魅力にどっぷりと嵌っています」

最後に一言

「今までもそうですが、これからも“良い試合したね”では終われません。”目標:東京ドーム出場”を胸張って言えるようになるためにはまだまだやることがあります。もっとひとりひとり考えて野球と向き合う必要があります。そして、世代交代がないと今までの結果を上回ることはないと考えています。だからこそ自分がキャプテンに任命されたのだと思っていますし、同様に若手勢は実行によって世代交代を実現させなければなりません。付加価値を高めることは大切ですが、応援されるためには勝つことが最重要であることも忘れてはならないと考えています。今後もJR盛岡を応援よろしくお願いします!」

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菊池天という男、いかがだったでしょうか。過去・現在・未来を紐解くとそこには、輝くための道を精進する心があることに気づきました。社会人野球の沼にどっぷりとハマる男の一挙手一投足にぜひご注目ください。

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