「ちなみに私は裏で暗躍する方が好きなので、リーダーなんて面倒く……大任は務まりません」 カディアは肩を竦めた。 「今、チラッと本音が出たよな!?」 「気のせい…
「すまぬな。迷惑は……うむ、今掛けている」 ルーファスの詫びの言葉に、ナローは肩を竦めた。 「自覚があるだけ、マシだって思っておこう。ああちなみに、もしバレた…
「いや、しかしですな、その御髪を切り、染めるなど……!」 アキツカは、ルーファスの思いつきを必死に制止しようとしていたが、ナローの見たところ、それは上手くいっ…
ルーファスの提案に、ナローは唸った。 「それに、俺達を巻き込もうって言うのか?」 「ある意味では」 目の前の少女は、間違いなく国家レベルの厄介事だ。 村に…
「提案というと?」 ナローの問いに、ルーファスは答える。 「結社を作ると言っていたようなので、それに私達も参入したい」 「ルーファス様!?」 ルーファスの案…
「……でも、当然国境にはもう、帝国兵が見張りに立っていますよね?」 「そりゃまあな」 カディアの疑問はもっともなので、ナローも頷くしかない。 国境どころかそ…
「いや、ひめ、ではなくルーファス様。死の間際に重要な情報を語ってくれて、感謝するべきでしょう。まあ、行く手は多難でしょうがな」 もはやルーファスの身分を隠す気…
「この……っ!!」 ナローの目の前に、帝国兵の槍が突きつけられる。 が、 「本気を出すのが遅すぎたな!!」 動揺して威力も速度も低いそれをあっさりと躱し、…
聖句の名は『伝心(テレ)』。 ある意味、そのままであった。 この聖句を利用し、ナロー達は無言のまま、互いの連携を取ったのだ。 が、もちろん、ナローには、…
ちなみにハンメルの性別など、ナローは知らない。 キノコの性別なんか知るか。 だが、そのナローの適当発言を、帝国兵達は律儀にも真に受けていた。 「その菌糸族…
「何だと。帝国の兵かと思ったら賊の類だったか」 ナローの問いかけに、兵隊長は激昂した。 「ふざけるな! 我々はとある任務を帯びて、ある女を追っている。……貴様…
殺気だった存在は、空から現れた。 「貴様達、そこを動くな!」 高い羽音を鳴らしながらナロー達の前に降り立ったのは、スパンマキナ帝国の兵士達だ。 黄色を地に…
「そうじゃの。せっかく拾った命じゃて、大事に使うと――」 アキツカの言葉が不意に途切れ、王都のある方角を振り返った。 「むしゅ……」 次の反応したのはハ…
「荷が重すぎますよ」 明言されている訳ではないが、某国の王女様の逃亡の手助けなど、ナローの身に余る事態だ。 ナローの返事に、ルーファスは苦笑いを浮かべていた…
「ほう、結社か。人数は足りておらんようだが」 胡座を掻き、顎髭を撫でながら、アキツカはしれっと言う。 「って耳いいっすね、爺さん!?」 振り向きざまのナロー…
ナローはアキツカに状況の説明を続ける。 といっても、大した話ではない。 「それで、っすね。俺達は王都に向かってる。爺様達は逆に、王都から遠ざかろうとしている…
寺岡健冶@お仕事募集中
2017年4月7日 22:54
「ちなみに私は裏で暗躍する方が好きなので、リーダーなんて面倒く……大任は務まりません」 カディアは肩を竦めた。「今、チラッと本音が出たよな!?」「気のせいです! あと、ハンメルちゃんはー」”けっしゃ、ひと、ひつよう。りーだー、ぼくむり、ぜったいむり” ハンメルは、ボフンと頭の傘から胞子を噴いた。 ルーファス達の参入には賛成、ただしリーダーはやりたくない、という事らしい。
2017年4月5日 22:42
「すまぬな。迷惑は……うむ、今掛けている」 ルーファスの詫びの言葉に、ナローは肩を竦めた。「自覚があるだけ、マシだって思っておこう。ああちなみに、もしバレた時は」「もちろん、お主達は知らなかった、で通すとも。そこは安心して欲しい」「まあ、関わった時点で一〇〇パーセントの安心なんて、もはやないんだけどな。さて、俺はさておき他二名の意見も聞かなきゃならないだろ」「あ、私としてはリー
2017年4月3日 23:45
「いや、しかしですな、その御髪を切り、染めるなど……!」 アキツカは、ルーファスの思いつきを必死に制止しようとしていたが、ナローの見たところ、それは上手くいっていないようだった。「髪は女の命という言葉をどこかで聞いたが、髪はまた生える。命は一度失せたらそれまでだ。爺も髭を剃ればまあ、大分印象が変わるだろう」「ぬ、ぬぅ……」 ナローは、アキツカの髪を脳内で短く刈り上げ、さらに髭も剃っ
2017年3月30日 23:14
ルーファスの提案に、ナローは唸った。「それに、俺達を巻き込もうって言うのか?」「ある意味では」 目の前の少女は、間違いなく国家レベルの厄介事だ。 村に小鬼の群れが攻めてきたとか、そんな話とは格が違う。 ただ、階梯者二名、それも実力は今見た通りで、人格も悪くはなさそうだ。 公言していない身分の部分が、自分達の利になるか害となるか……そこだけが、読めない。「もちろん正体は
2017年3月29日 23:42
「提案というと?」 ナローの問いに、ルーファスは答える。「結社を作ると言っていたようなので、それに私達も参入したい」「ルーファス様!?」 ルーファスの案に、アキツカが目を剥いた。 だが、ルーファスは意見を取り下げるつもりはないようだ。「爺も言っていた通り、特に急ぐ旅でもないだろう? そも、急いているのは向こうであって、私達がそのペースに飲まれる必要はない」「む、う……し
2017年3月28日 22:07
「……でも、当然国境にはもう、帝国兵が見張りに立っていますよね?」「そりゃまあな」 カディアの疑問はもっともなので、ナローも頷くしかない。 国境どころかそこに到る街道、村や町にもおそらくは兵士が配備されている可能性は高かった。 ふぅむ、とアキツカは己の白髪を掻いた。「弱ったもんじゃのう。まあ、絶対行かねばならんという事もないが」「え、急ぎの旅とか、そういうのじゃなくて?」
2017年3月27日 22:13
「いや、ひめ、ではなくルーファス様。死の間際に重要な情報を語ってくれて、感謝するべきでしょう。まあ、行く手は多難でしょうがな」 もはやルーファスの身分を隠す気があるのかどうか怪しい、アキツカであった。 そして、言われたルーファスは深々とため息をつき、頭を振った。 そこでふと、ナローは疑問を口にした。「そういや、行くアテってあるんすか?」「うむ、西の小国ハルベスに向かおうかと思っ
2017年3月26日 23:29
「この……っ!!」 ナローの目の前に、帝国兵の槍が突きつけられる。 が、「本気を出すのが遅すぎたな!!」 動揺して威力も速度も低いそれをあっさりと躱し、ナローは帝国兵の首を刎ねた。 ほぼ同時に、カディアも残る一人の帝国兵の胸を、槍で刺し貫いていた。「逃げ……切れると思うなよ。この先にも、既に……帝国の……精、兵……はいち……」 その兵はそう言い残して、事切れた。 そ
2017年3月25日 23:42
聖句の名は『伝心(テレ)』。 ある意味、そのままであった。 この聖句を利用し、ナロー達は無言のまま、互いの連携を取ったのだ。 が、もちろん、ナローには、帝国兵達に教えてやるつもりなど、なかった。「残り四人……いや、二人っ!!」 アキツカの投げた金槌が、激しく回転しながら帝国兵を二人吹き飛ばした。 あの質量では、ぶち当たれば即死だろう。「強っ!? お爺ちゃん強っ!!」
2017年3月24日 23:37
ちなみにハンメルの性別など、ナローは知らない。 キノコの性別なんか知るか。 だが、そのナローの適当発言を、帝国兵達は律儀にも真に受けていた。「その菌糸族は女だったのか!? ……お、おい、どうする?」「だったら、三人とも確かめればいいだろ?」「な、なるほど! よし、貴様達――」 槍を突きつけようとした兵の首は、ルーファスの剣の一撃で吹き飛んだ。 ナローが注意を引きつけて
2017年3月23日 22:11
「何だと。帝国の兵かと思ったら賊の類だったか」 ナローの問いかけに、兵隊長は激昂した。「ふざけるな! 我々はとある任務を帯びて、ある女を追っている。……貴様達の中にいる、そこの二人にその疑いがあると言っているのだ。大人しくしていれば、手荒な真似はしない」 怒りはしていても、理性は残っているらしい。 勝利国であるにも関わらず、無法な振る舞いをしない辺りは、ナローとしては好感が持てた。
2017年3月22日 23:57
殺気だった存在は、空から現れた。「貴様達、そこを動くな!」 高い羽音を鳴らしながらナロー達の前に降り立ったのは、スパンマキナ帝国の兵士達だ。 黄色を地に黒の縁取りをした軽甲冑装備に、長い槍。 そして透明な羽。 一般的な、帝国兵だ。「動いてないぞ?」 一応剣こそ構えてはいるが、ナローはそう答えた。 実際、少なくともまだ、誰も動いていない。「口答えをするな! ……
2017年3月21日 21:48
「そうじゃの。せっかく拾った命じゃて、大事に使うと――」 アキツカの言葉が不意に途切れ、王都のある方角を振り返った。「むしゅ……」 次の反応したのはハンメルで、そのキノコボディを軽くナローにぶつけてきた。「おい、まさか」「あらあらあら」 ナローの表情が引きつった。 カディアも、困ったような笑みを浮かべ、槍を持ち直す。 剣呑な気配が、急速に迫ってきていた。「
2017年3月20日 23:54
「荷が重すぎますよ」 明言されている訳ではないが、某国の王女様の逃亡の手助けなど、ナローの身に余る事態だ。 ナローの返事に、ルーファスは苦笑いを浮かべていた。「ふふ、私達はまさしく重責を背負っている。関わらないというのは賢明な判断だ」「それより爺さん、とりあえず治療はしたけど、身体の具合はどうっすか?」「ふぅむ……本調子には程遠いが、まあ、何とかなるじゃろ」 超人格の、体力
2017年3月19日 23:58
「ほう、結社か。人数は足りておらんようだが」 胡座を掻き、顎髭を撫でながら、アキツカはしれっと言う。「って耳いいっすね、爺さん!?」 振り向きざまのナローのツッコミに、カッカッカとアキツカは笑った。「儂も、これでも超人格(ブレイカー・クラス)の階梯者(ランカー)でな。耳が良うなっとるのだよ」「内緒話も出来ないって事か。まあ、聞かれて困るような内容でもないけどさ」 ナローはた
2017年3月18日 23:50
ナローはアキツカに状況の説明を続ける。 といっても、大した話ではない。「それで、っすね。俺達は王都に向かってる。爺様達は逆に、王都から遠ざかろうとしている。よって、俺達はここでお別れって事になる」「そうなるのう。いや、それにしても礼を述べるのを失念しておった。傷の手当て、感謝する」「どういたしまして」 頭を下げるアキツカに、ナローは軽く手を振った。「手持ちの金は、すまぬが