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ずうずうしい時間

小さな扉を押しあける。カラダをナナメにしながら入ってゆく。
大抵はすいていて。
平べったいソファは特等席で。
ココアを注文して。
サンデーを読む。
ビッグコミックを読む。
ひとつとして同じ椅子のないその店はイニシエのカンジのジャズを流していた。
昔は白かった壁が茶色くなっている。当時、喫茶店はタバコを吸うための場所でもあった。
あれこれ。
夕方がやって来て路面電車の中の乗客が浮かび上がる。2両編成。そこにもあれやこれやがあり。右から左へ。左から右へ、ひっくるめて路面電車が運んでいく。
あっちからもこっちのガラスから漏れ出る時間が見えている。
レコードは回り続ける。
この絵には、あの頃が嵌りこんでいて。その香りが今も、白の余白に漂っている。
あんなふうな時間は、消えてしまった。
何が違うんだ。と、考える。
それは、ずぶとくない残り時間との関係なのかなと、と。
思う。今は。

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やって来た秋に。
80年代のマツモトヨーコさんの作品。
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きょうのすみずみ
JOY ArT HOME
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