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ギャラリーモーニングの展覧会。「或る日、何処かの」one day, somewhere,2023年 3月14(火)~26(日)

海老 優子 EBI Yuko
岡林 真由子 OKABAYASHI Mayuko
小野 潤一 ONO Junichi

「或る日、何処かの」one day, somewhere,
声高に叫ばれる言葉よりも聞こえないほどの小さな声に耳を傾けたいときがあります。
ときには静寂の時間に身を置いて日々のあれこれから離れたいときがあります。
海老優子作品に広がる草原やたびたび登場するベッドはある種の怖さを感じる一方、神聖な安らぎの場所にも思えて誘われます。
岡林真由子が描く街角は現実世界とパラレルに存在するもうひとつの場所。音がなく夜に浮かぶカラフルな色の空間に舞台性と詩情を感じます。
彫刻出身の小野潤一作品がまとっている私小説のような空気感と少年性は、繊細で時間にとらわれない自由な心のなかを覗き見るようです。
三人三様の物語を抱えた作品をきっかけに、今、此処で、静かなひとときを過ごしたいと思います。 ギャラリーモーニング
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海老優子
展示が近付き、集中して制作している時期は、日常生活とは別の時間軸に絵を描いている自分がいるような感じがする。
実際には一日の流れの中に絵を描く時間帯があるというだけなのだけれど。
だからもちろん、私が他のことをしている間に絵が仕上がるというようなことはないが、
その感覚は、もう一人の自分が透明なトンネルの中を歩いているような感じで不思議な気分である。
作品の中の風景やモチーフは、実際の風景やものから着想することが多い。
現実の風景の中で、私にとって何か奇妙な感じがする部分だけがイメージとしてストックされるうちに、
それらの部分が混じり合い、あるいは意図的に組み合わされて一つの絵になる。
けれども、そうして絵を描いているうちに、自分でも何が元になって描いたのか忘れてしまって分からない絵が出来ることもある。
私が絵を描く工程は、夢を見る工程と似ているのかもしれない。

略歴
1973 大阪生まれ
1996 京都精華大学美術学部造形学科洋画卒業
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岡林真由子
いつも現実の風景から着想を得ている
例えば、妙な高低差のある住宅街、行き止まりの場所、曲がりくねった道、細い川の際ギリギリに立っている家、街中にポツンと取り残されたような古い小さな家
何か理由や経緯があってできた風景の存在感とおもしろさに惹かれる
キャンバス上に建物を配置して風景をつくる
建物の形はできるだけシンプルに
私がつくる風景において重要な要素は「壁」「窓」「空」
子どもがブロックでお城や町を作るように、砂場で山やトンネルをつくるように
ベストな配置を考えながらできるだけわくわくする空間をつくりたい
展覧会に作品を出品するのは4年ぶり。
この4年間で変わったことはたくさんあるけれど、根本的に描きたいものは変わらないのだと気付く。
描きたい物語や風景は変わらず、以前より色濃く、はっきりとした輪郭が見えてきた感じがする。
その中でも今回は「風景」に絞って描いてみた。

略歴
1983年生まれ 高知県、香川県 出身 
2006年 京都造形芸術大学 美術工芸学科 洋画コース 卒業

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小野潤一
ことしの冬は久しぶりに寒さ厳しいものになりました。
雪ふる中、アトリエで木工仕事をしていると自分が一瞬ドイツの田舎町のおもちゃ職人になったかのような気がしてうれしくなりました。
丁寧に作られた手仕事の工芸品は、暖かみのあるデザインや素材の魅力が静かに伝わってきます。その中に新しい美しさを感じて、自分の作品として形にしてみました。
どこかの物語に出てくる場面の挿絵のような感じで、みなさんが自由にイメージを広げてもらえる装置のようなものになればと思っています。

略歴
1979年 大阪府生まれ
2005年 大阪芸術大学大学院修了

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