浮かび続ける言葉

気に入ってもないのにたまに頭に浮かぶ言葉とかリズムがあると思います。
僕はそれが本当に嫌で勝手に浮かんできて嫌な気持ちになったり恥ずかしくなったりします。

5年前くらいに配達のアルバイトをしていました。配達の仕事は1人になれるしあまり気にすることがなくストレスなく時間が過ぎていきます。走っている時は暇で考え事をしたりネタをつくったりもしていました。独り言をぶつぶついいながらバイクを走らせていたので周りからみたら少し不審な感じがしたと思いますが、今すれ違う人ともう一回会うことなんてそうそう無いだろうという気持ちだったので1人で掛け合いの漫才とかをしたりもしていました。

そうすると家で1人でいるときも独り言を話してしまうようになり、永遠自分と自分の掛け合いをして収拾つかない事もあります。たとえばもうしゃべりすぎだなと思って「しゃべりすぎだぞ」というともう一方か「しゃべりすぎってしゃべっちゃうから終わらないんだぞ」と言って1人水掛け論をしたりもします。側からみたらキモいですが家で1人なので少しキモいくらいかなと思います。

しゃべるのも面倒くさくなり頭の中でそれを繰り返すと少し頭が痛くなったりしました。

ある時、北新宿にある「オキズキッチン」という飲食店に配達に行った時です、頭の中に「お気づきになられたキッチン」という言葉が浮かび上がりました。忘れかけそうになるとまたその配達先に配達に行くことがあり忘れられませんでした。
「なられた」という部分が頭の中に浮かぶ度に恥ずかしさがどんどん増していき、思い浮かぶ度、自分はこんな恥ずかしくなることを考えついてしまったのかと自分への自信も無くなっていきました。(オキズキッチンは何も悪くありません)

そのバイトは3年前くらいに辞めたのですが、今も頭の中にたまに出てきては僕を辱めます。
ですが今こうして文字にして書くことにより思い出してもいいんだという気持ちになりました。前は思い出すな思い出すなと思っていた言葉が今は寄り添えるようになりました。
ただ今まで「お気づきになられたキッチン」という言葉を口にして出したことはありません。
勇気がないというか口に出す価値もないと思っていたり口に出したら終わりだと思っていました。
ですがこうして何年越しに文字にする事ができたので、今から口に出して言ってみます。

大した事はありませんでした。
文字にした時点でもう言ったのと同じだったのかもしれません。つぶやきを投稿した時点で言ったのと同じなのかもしれません。
でもトイレの個室で言ったのでちょっと恥ずかしかったです。

僕の頭の中にはこれからも浮かび続けて消えないと思いますが、これで誰かの中にも浮かび続けるような言葉になればいいなと思います。
その時は一緒に北新宿を散歩しましょう。

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