ジェフユナイテッド千葉2020シーズンふりかえり(その3 FW編)
引き続きジェフの2020シーズンを振り返り、出場している時間内の得点失点について各選手ごとに調べてみました。今回でこのシリーズ最後になります。
指標の設定 - 得点率・失点率
あらためて
得点率 = (出場時の総得点/出場時間) x 90
失点率 = (出場時の総失点/出場時間) x 90
としたうえで、チーム平均との差異をみています。その選手が1試合プレーしたときに平均して何点取れるか、何点取られるか、という指標です。
右サイド
リクエストもあったのでサイドバックとサイドハーフの組み合わせも。まずは右サイドから。
37 本村 + 20 矢田 (641分)
得点率0.70 (▼0.42) 失点率1.68 (△0.47)
2 ゲリア + 8 堀米 (578分)
得点率1.40 (△0.28) 失点率1.56 (△0.34)
2 ゲリア + 20 矢田 (544分)
得点率1.16 (△0.04) 失点率0.83(▼0.39)
右サイドの組み合わせで450分を超えたのはこの3組。最も長い組み合わせが本村+矢田の641分でこれは42試合3780分のわずか17%。ファーストチョイスになるようなセットができなかったといってよさそうです。
サイドバックを起点に見ると、ゲリアは堀米とのセットでは守備に難があり、矢田とであれば安定していました。本村は出場時間の2/3が矢田とのセットでほかの組み合わせは時間が限られていました。
短い時間ながらもパフォーマンスがよかったのはゲリア+米倉の組み合わせ、次いで終盤のアクシデント以降の増嶋+堀米のセットでした。
左サイド
33 安田 + 13 為田 (1302分)
得点率0.76 (▼0.36) 失点率1.11 (▼0.11)
33 安田 + 21 アランピニェイロ (537分)
得点率1.34 (△0.22) 失点率1.17 (▼0.04)
33 安田 + 10 船山 (494分)
得点率1.64 (△0.52) 失点率1.46 (△0.24)
49 下平 + 13 為田 (472分)
得点率0.95 (▼0.17) 失点率1.72 (△0.50)
左サイドで450分を超える組み合わせはこの4つ。安田+為田のセットが基本となりましたが意外にも攻撃面で物足りない形に。安田+アランあるいは安田+船山のセットの方が攻撃力の観点からはより効果的だったようです。その他の組み合わせで特段いい数字のものはありませんでした。
フォワード
24 山下敬大 (2220分出場)
得点率0.97 (▼0.15) 失点率1.22 (△0.00)
9 クレーべ (1931分出場)
得点率1.12 (△0.00) 失点率1.31 (△0.09)
10 船山貴之 (1340分出場) - FWとして
得点率1.01 (▼0.11) 失点率1.28 (△0.06)
44 川又堅碁 (1042分出場)
得点率1.21 (△0.09) 失点率0.69(▼0.52)
40 櫻川ソロモン (438分出場)
得点率1.44 (△0.32) 失点率1.23(△0.02)
22 工藤浩平 (278分出場)
得点率0.97 (▼0.15) 失点率0.97(▼0.24)
11 佐藤寿人 (212分出場)
得点率2.12 (△1.00) 失点率1.70 (△0.48)
ここでも「主力」と見なされる出場時間の長かった選手が必ずしもいい数字にならないという状況となりました。
山下は自身が中盤戦なかなか得点が取れなかったこともひびき、得点力の面でやや物足りませんでした。クレーべは前半戦の失点率が1.71で後半戦が0.99でした。終盤にかけて大きく巻き返したものの、前半戦の守備が大きな問題だったことは数字上もあらわれています。川又・クレーべの怪我を埋める形で、今年もシーズン途中からフォワードにまわった船山ですが、本領発揮とはいかず、どの選手も「この選手が出ないとチームのパフォーマンスが落ちる」というほどの絶対感を見せられませんでした。
この指標上もっともよかったのは川又です。特に守備面が大きく改善されていました。また出場時間は短かったのですが、ソロモンと寿人は出れば攻撃を活性化させていました。寿人はこの短い出場時間で自分で2点とっていますしね。
9 クレーべ + 24 山下 (799分)
得点率1.01 (▼0.11) 失点率1.58 (△0.36)
9 クレーべ + 10 船山 (672分)
得点率1.07 (▼0.05) 失点率1.07 (▼0.14)
10 船山 + 24 山下 (635分)
得点率0.85 (▼0.27) 失点率1.42 (△0.20)
24 山下 + 44 川又 (583分)
得点率1.39 (△0.27) 失点率0.77(▼0.44)
フォワードの組み合わせで450分を超えたのは上記の4つ。山下を絡めた3組とクレーべ+船山の昨年に続いたコンビです。これも長い時間のセットが少ない形になりました。
山下はクレーべあるいは船山とのコンビよりも、川又とのコンビで活きていました。クレーべ+船山のセットも悪くはなかった形です。
また、クレーべ+川又は時間は短いながらも得点率1.42 (△0.30) 失点率0.71(▼0.50)といい数値になりました。川又+ポストプレーのできる選手というのが2020シーズンのもっとも安定した形だったといえます。
おわりに
ジェフの戦力を語るときによく聞く言葉が「選手層が厚い」だと思います。実際、途中出場で川又だのクレーべだの出てくるというのはJ2としては非常に豪華だといって差し支えありません。
田口しかり、安田しかり、あきらかに主力だった選手がこの数値上あまりいい数字が出なかったことは、逆にいえば彼らが離脱しても戦力が落ちなかった、ということをあらわしています。少なくとも連戦が続く中でコンディションが落ちる彼らよりも、フレッシュな”控え”選手たちの方が戦力的に高かったことになります。その観点からいえば確かに選手層は厚かったですし、何度も行われた極端なターンオーバーも現有戦力を最大限使った戦い方だったといえるのでしょう。
運用としてそれでよかったのであれば、昨シーズンの結果はシンプルに保有している戦力が足りないということにほかなりません。このオフに多くの選手を手放し、新加入選手を獲得しましたが、そのことで上積みがされていることを期待して本稿を終えます。最後までお付き合いいただきありがとうございました。
WIN BY ALL !
追伸:こういった時間ごとにおきるイベントのようなものをデータベース化するのってどんな形が一番楽なのでしょうか。蓄積は手でやるにしても加工がめんどくさくて本当ならもう少し遊びたいのにという消化不良感が。アドバイスいただけるととっても嬉しいです。
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